第10話 ターブヒヒvsターナー①
2回戦第1試合。
ターブヒヒvsターナー
先ほどの1回戦、女の子相手に加減しつつもしっかりと勝利を収めたターブヒヒ。その実力はターナーにとって強敵となりうることは間違いない。
「ターブヒヒくん、よろしく!」
「お、お手柔らかにね」
初めてターブヒヒの名前を呼んだターナーは対戦相手の強敵に一定の敬意を表している。これから始まる試合への真剣さを物語っていた。
「はじめっ!」
モローカが合図をする。
先ほどのイズミルコ戦同様に挨拶がわりの魔力を放つターナー。しかし全く表情を変えずにいるターブヒヒ。
「そうこなくっちゃ!」
ターナーは嬉しそうに奮起し構えた。師匠マローノから教わった直伝の技を放つ。
「エア魔法剣・壱の型」
スピード重視の居合の一撃である。もちろん魔法具の使用は禁止されているので〈エア魔法剣〉を用いた。
「おっと!こ、これは速かったなぁ」
「とか言いながらしっかりガードしてるじゃん!」
ターブヒヒはターナーの魔力の斬撃を見切り魔力の壁で防いでみせた。
「こ、これはもろに受けてたら怪我するんじゃない??」
「ターブヒヒくんならガードするだろうと思ったからさ!」
ターナーは楽しんでいた。そして畳み掛けるように次の一撃を放つ。
「エア魔法剣・弐の型」
弐の型では斜め十字型に2太刀の斬撃を放つ。しかしこの攻撃もターブヒヒには通らない。
「ま、全くおっかないなぁ、2.3歩動かなかったら防ぎきれなかったよ。」
「2.3歩かぁー、やるなぁターブヒヒくん!」
2.3歩という言葉にターブヒヒの実力の裏の自信を感じ、よりターナーの勢いはヒートアップする。
ところがこの瞬間ターナーは身体に異変を感じる。〈そうか来たか〉とすぐに理解した。
「ふっ、体重魔法使ったね?」
「あ、あんまりちょこまかとされると厄介だからさぁ」
ターナーは動きが鈍くなる。キャホリン戦の時とは違い靴だけではかった。身にまとっていた服が重くなっていた。
「これは全然動けないね、、」
「あ、安心して!自分以外を重くしようとしてもせいぜい10倍くらいで限界なんだ!」
つまりターナーの来ている服の総重量が800gだと仮定すれば8kgの重量に変化したということになる。するとターナーは突然1mほど宙に浮かび上がる。
「ぅおっ!?」
「で、でも軽くするのは得意なんだよね。自分を軽くするのはできないのに。へ、変な能力だよね。」
ここでターナーには一つ疑問があった。浮いているのにまだ身体には重りが垂れ下がったように行動制限がかかっていた。
「なんでまだ身体が動かないのかな?」
「そ、それは自分で考えてみて!」
ターナーの身体は意思とは裏腹に丸枠の外へと移動していく。
「モローカ先生、場外に足がつくまで負けじゃないですよね?」
「ああ、そうだよ!」
ターナーはモローカに確認をとり、すぐさま技を繰り出す。
「エア魔法剣・参の型」
鋭い突きがターブヒヒの元へと飛んでいく。
「ひ、ひえー怖かったぁ。」
そう言いつつまたもや防いでみせたターブヒヒ。観戦のクラスメイトのムードもターブヒヒに勝負アリといった雰囲気が漂いターナーはもはや万事休すかと思われた。
しかしターナーはターブヒヒの背後へと回り込んでいた。
「え、え!なんで!?」
闘技場の空気が一気に変化し、ターブヒヒがようやく真に驚いたリアクションをとった。
「わかっちゃった。ターブヒヒくんの弱点。」
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