ちょっくら離婚調停いってきます
七津 十七
序章・そうだ、調停しよう
第1話 旦那が消えた日
詳しい日は書けないが、その日、息子が誕生した。
体重は2100g。低体重児だった。産前、成長が見込めないと言われ続け、病院に通いまくっていたのでわかっていた数字ではあったが、予想体重を大幅に下げて産まれた事にビビりつつも、無事産まれた事にほっとした。
息子をあれやこれやと調べて綺麗にしてもらった後、記念撮影をさせてもらい、即保育器に入れられあっという間にNICUへ。
あれ? 私、産んだよね??
なんて思ってしまうくらいあっという間に息子はいなくなった。
と、同時にいなくなった人がもう一名。
旦那である。
旦那。私の夫であり、婚姻を結んだ人であり、息子の父親である。
が、家に帰ってこなくなり、音信不通となった。
産んだ時にはいたのだが、産まれても喜ぶどころか、産後ハイで喜びはしゃぐ私に向かって「うるさい、黙れ」ときたもんだ。ハイである私は当時何も感じず「サーセンwwwww」と返したのだが、こうして思い出すと中々酷いもんである。私もサーセンって。マタニティハイを引きずっていた。
そして次の日、家からいなくなった。荷物もなければ何もない。本気で行方をくらましたのだ。
は? なんで????
誰もが思うだろう。
子どもは同意の上で作ったし二人とも早く欲しかった。ちゃんと話し合った結果の子どもだ。性別についても、どちらでもよいねと話し、私は男の子の名前を、旦那は女の子の名前を考えていた。
二人とも赤ちゃんを待ち望んでいたはずなのに、旦那は息子を見ようともしなかった。それどころか、いなくなってしまったのである……。
産前、お腹の中の赤ちゃんが成長せず、病院に通いまくったのだが原因はわからず。医者は首をひねり、障害が出るかもしれないと言った。
それについて夫婦で話し合ったのだが、その日から二人にズレが出てきたように思う。私は塞ぎ込む事が多くなり、旦那は帰ってこない日が度々あった。いよいよ予定日になっても、旦那は帰って来ない事は多くあった。
こ、このせいなのか!?
しかし息子に障害はなく、体重のみで至って健康。保育器は早々に出てコットの中で大きな声で泣いていた。
でも、見に来ない。
――その後、病院中から離婚する間、そして現在に至るまで、旦那が息子を見る事は一度もなかった。
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