契約した相手に、千年に及ぶ寿命とこの世の覇権をもたらすとされる黄金の竜。その血を受け継ぐメルトロー国王女フェイリットは、人里から隔離されて育てられてきた。いずれ、父王に血の契約を捧げる為に……。
十六歳になった彼女の許へ、王の迎えがやって来た。逃げ戻った彼女が目にしたのは、愛したひとの死だった。フェイリットは、嘆きのあまり変化してしまう。
墜落して重傷を負った彼女を助けたのは、敵国イクパルの中隊長コンツェだった。優しい彼に心惹かれるフェイリットは、小姓として宰相の許へ。彼女に強引に迫る謎の男が……。
やがてフェイリットは、皇帝の妾妃として、ハレムに送られることになってしまう。
竜の力と王者の野望、国同士の争いと王位をめぐる権謀術数、二人の男性の間で揺れる恋と……大河ファンタジーの魅力がたっぷりな作品です。随所に描かれる街の風景や、国々の風俗、食事も素敵です。じっくり読ませていただきます。