第20話 夏なんて嫌い!<恋愛系>

夏なんて嫌い!


私、7月生まれ、真夏の子。

ず~っと暑いの大好き、って言っていた。

けど、今年は夏なんて大嫌い。


夏は恋の季節っていうけど、私はそうは思わない。

この暑さ、恋って雰囲気じゃない。

海だって気持ちいい場所じゃない。

潮風はべたついているし。そりゃあ水の中は浜辺よりは涼しいけど。

そんなに長く浸かっていられるわけじゃないし。

砂浜は裸足で歩けないほど焼けているし。

日焼け止め塗ってもすぐに取れちゃうし。

下手に塗るとまだらになるし。

第一、あの視線。

酔っ払いや若い男のグループが、品定めするようにチラチラと視線を向けて来る。

中にはカメラを向けて来る奴もいる。

冗談じゃないわ。

暑苦しい視線は鬱陶しいし、好みじゃない。


街中だって、一歩外に出れば灼熱地獄。

ビルの反射光で歩いてもいられない。

雑踏は汗臭いし人臭い。


ホント、夏はいや。

秋が恋しい。

だって、駿と出会ったのは秋。

駿が去ったのは夏。

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