第18話 渦巻き星雲<宇宙系>
ある日、渦巻星雲が訪ねてきた。
「こんにちは。お時間よろしいですか?」
「なに? 忙しいんだけど」
「あ、ほんのちょっとでいいんです。話を聞いていただきたいのですが」
「本当に、ちょっと?」
「もちろんです。あっという間ですよ」
「じゃあ、手短にお願いしますよ」
「実は、僕はこの間から放浪していまして。どうして? それは今までいたところが合わなかったからですよ。隣の暗黒星雲がちょっかいを出して来て、僕を飲み込もうとするから。これは耐えられませんよ。まあ、そんなわけで旅に出ようと思い立ったわけです。
それから何光年か宇宙を放浪しているわけでして。それがつい先日、とても美しい銀河系に出会ったのですよ。当然僕は一緒になろうと持ちかけました。彼女はなかなかウンと言ってくれなくて、僕の気持ちは宙ぶらりん。どうしようもなくて、毎日フラフラしています。
そして今朝、気がついたんですよ。銀河系のことは銀河系の人に聞けば良いと。どうですか? 何かいい案はありませんか?」
遠くでドッドッドという振動音が響いて目が覚めた。
「ああ、今日から表の道路工事が始まるんだった」
二〜三日前に、道路工事会社の人が挨拶に来て名入りタオルを置いて行った。タオルには『渦巻道路工事株式会社』と書かれていた。
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