第3話 神様の贈り物<生き物系>

皆の者、頭を下げて隠れるのじゃ。

敵は空から攻めてくるぞ。

なんという大きさじゃ。

危ない。


アアーッ、一番がさらわれた。


みんな、もうすぐ援軍が来る。

それまでの辛抱じゃ。

敵は大きすぎる。

我々では歯が立たぬ。

もっと奥に隠れよ。

それ、またやってきた。


今度は二番が。


神様、早く援軍を。


「あっ、カラスだ。こら~。棒を持ってこい」

「あっちへ行け。何をしてるんだ」

「にいちゃん、まだあそこの電柱の上にいるよ」

「よし、車庫の扉を閉めよう。入ってこられないように」

「ねえ、ツバメの数が減ってるよ」

「やられたか。可哀想に」

「まだ3匹残ってるから、カラスが来られないようにしよう」

「どうやって? 扉も閉めっぱなしじゃツバメも出入りできないし」

「カラスの形をしたのを入り口にぶら下げよう。通販で売ってたよ」

「ツバメは平気かなあ。やってみよう」


神様、ありがとうございます。

なんとか援軍が間に合いました。

2匹は攫われましたが、3匹の子供が残りました。

いま、城の入り口付近に黒い敵の姿をしたものが下げられています。

敵がいつもの木の上から伺っています。

黒いものが怖いのか、こちらに来ないようです。

神様、素晴らしい贈り物に感謝します。


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