第2話 仲直り<昔話系>
おむすびとおにぎりが旅の途中でばったり会った。
二人はあんまり似ているので驚いた。
「どこから来なさった?」
「わしは東の方から来たが。お前さんは?」
「わしは西の方から」
「もしかしたら親戚じゃないか? 似ておるのう」
「そうかもしれんのう。どうじゃ今日はここで宿をとってゆっくり話でもせんか」
「うんうん。急ぐ旅でもなし。そうしよう」
二人は宿でご馳走を食べお酒も飲んでいい気分になった。
お酒が入ると遠慮もなくなって、名前自慢になった。
「わしの名はむすびの神様から頂いた高貴な名じゃ」
「それがどうした。わしの名はお袋さんがあったかい手で握ってくれたところからついた。お袋の味のありがたい名じゃ」
「さよか。わしなんぞは貴族の女房に愛されたものじゃ」
「何を言うか。お袋様ほどありがたいものはない。わしなんぞは全人類に愛されておる」
だんだん激しくなってとうとうつかみ合いになった。
「まあまあ。お二人ともやめなはれ」
割って入ったのは漬物。
「聞いとくなはれ。私は漬物です。しかし、東に行くと漬物、西では香の物とかお香香て言われます。根は一つ。お二人とも同じちゃいますか?」
「そうやろか?」
「こんなところで喧嘩しててもしようがありません。お風呂にでも入って仲直りしましょ」
というわけで三人でお湯に入ると崩れて混じって美味しいお湯漬けになりましたとさ。
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