第11話 衝撃の事実

 結局俺たちは、横溝先生の依頼を引き受けた。

 今生徒会室には、俺とゆきの二人である。


「受けたはいいけど、どうするよ」


「まぁ、とりあえず横溝先生と源先生のクラスにそれとなく行って、源先生の好きな人について聞くしかなさそうですね」


 まぁ、そうなるか。


「最悪、源先生本人に聞けばいいしな」


「先輩にそんな勇気あるんですか〜?」


「うるせえええ。何とかしてやるよ」


「言いましたね! 絶対ですよ!!」


 俺は思いっきり、何とかしてやると言ってしまったが教師に対して、好きな人をきくとかものすごく怪しい生徒じゃなかろうか……

 そして俺にそんなことをする勇気は、今のところ微塵もない!!!


「あ、あぁ、まぁまずは生徒だ。それでダメだったら源先生の所に行ってみよう」


「そうですね!」


 ☆☆☆


 俺たちは1年生の教室が並んでいる、廊下やってきた。

 冷静に考えると、まだ教室に生徒は残っているのだろうか?もう授業が終わってから結構たってるからな……


「勢いで来てしまったが、まだ人はいるのだろうか?」


 ゆきは、俺の言いたかったことを、代弁してくれた。



「わかりませんが、いなかったらいなかったで部活をしている生徒の元にいけばいいでしょう」


「そうだな」


 1年1組の教室について、ドアに付いている小窓のところから教室をそっと覗いてみると、教卓に源先生が、座っていた。

 それを見た俺は、ゆきにしゃがむようにジェスチャーをし、耳元に近づいて


「おい、どうするよ? あそこに今回の件の張本人さんがいるぞ。 話しかけるか?」


 と、超小声で言った。


「どうしましょう…… 迷いどころですねぇ、 ここは、突撃しましょう!行ってきてください先輩!」


 と、ゆきは小声で返してきた。

 全部俺に投げやりかよ……

 まぁ可愛いゆきの頼みなら仕方ねぇ。


「よし行くぞ」


「了解です」


 俺たちはこしょこしょ話を終え、教室に入っていった。


「失礼します失礼します。生徒会の内山です。学園長に頼まれて、教室の掃除用具の個数を確認しに来ました」


 俺はなんとも、それっぽいことをいって教室に入っていった。


「あらあら、大変ねぇ。お疲れ様」


「いえ、仕事ですので」


 ゆきはそっけなくかえした。

 ゆきのキャラが未だに、若干定まっていないのが気になるが、だんだん定まってくるだろう。


「それにしてもあなた達、職員の中でも付き合ってるんじゃないかとか、噂されているわよ」


 この人笑顔で何言ってんだ。源先生の可愛いというより、美しいと言った方が、良さそうな顔立ちから放たれる笑顔は、一瞬見とれてしまいそうになるが、話の題材が、自分たちのことだと思うと、見とれてなどいられない。


「へぇ、職員室でも噂になってるんですか。 それは意外ですね、一体誰がそんなことを言っているんですか?」


 俺は生徒会長スマイルを、崩さないようにしながら質問をした。ふとゆきの方を見てみたが、相当動揺しているようで、顔が真っ赤だ。

 ゆきのやつ、大丈夫かなぁ……?


「だいたい、そういう噂を持ってくるのは学園長先生ね」


 その答えは、俺にとって予想外だった。

 あのくそばばああああああ!!!!

 なにしてやがる…… 実は生徒達が流してる、噂を流してるのも南さんなんじゃ……

 ゆるさん、いつかしばき倒してやる。


「へ、へぇそうなんですか。学園長ってそういう冗談いうんですね。そういえば、源先生も横溝先生との噂が流れてましたよ」


 ふふふ、この話の流れからならいい感じに先生のことが聴けるぜ。 咄嗟にそう思った俺は南さんへの、恨みを押し殺して源先生に横溝先生の話を、ふることに成功した。


「あらあら、やっぱり噂になっちゃてるのね」


 どうやら、源先生には、自覚があるらしい。


「でも最近、横溝先生と全然話している、姿が見えないというところや、話してても源先生が素っ気ない態度をとるから破局の噂までたっていますよ」


 俺はさらに、追い打ちをかけた。 これで源先生の横溝先生に対する、思いが少しでもわかればいいのだが……


「そこまで話が進んでいるなんて、びっくりしたわ」


 まぁ、おおかた横溝先生に聞いたことを、噂で聞いたかのように話したから嘘みたいなものだから、驚くのも無理はない。


「実際のところどうなんだ?」


 さきほどから黙っていた雪が突然口を開いた。 しかもタメ口で……

 おいおい、キャラが定まっていないにしてもだろ!もうちょいしっかりしてくれ。

 俺がこころの中で叫んでいると、源先生から質問に対する答えがきた。


「隼人のことは、好きよ。もうずっと好き。小さい時からね」


 なに!?やけに素直に答える上に、この上なくハッピーエンドの予感だな。逆に怪しくも思えてくるぞ。


「じゃあなんで、最近破局の噂が経つほど、横溝先生にそっけない態度をとってしまってたんですか?」


「あぁ、それは最近隼人のやつ、髪型を変えてメガネからコンタクトにしやがったのよ」


「それがそっけない態度と関係があるのですか?」


 そういえば、最近イメチェンしたとかで元々人気だったのがより人気になってたな。


「いやぁ、その姿がかっこよすぎて……直視できないのよぉ!」


 !?!?嘘だろぉぉぉぉおおおおお。そんなわけのわからん理由があってたまるかあああああ!!!!

 生徒会室での、少し真面目になってしまったあの時間をかえせえええええ。

 はぁ、もうどうにでもなりやがれ!

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