第8話 ゲームをする日曜日 中編

  「内山涼介:5つ隣のクラスに遠藤カトリーヌ鈴子っていう、先生がいたなぁ。 入学式の時に見たけどものすごく可愛かった! よし彼女にしよう」


「おい、こいつは何を言ってるんだ……」


  俺はため息混じりでつっこんだ。


「本気でカトリーヌ鈴子を攻略しようとしてますね」


「成功率が極めて低い上に、カトリーヌ鈴子は一体何者なんだ」


  俺はそう思いながら、ゲームを進めていった。

 どうやら、内山涼介(ゲームキャラ)は休み時間に、遠藤カトリーヌ鈴子に会いに行くべく職員室にいくらしい。

 

【 コンコン、俺は職員室のドアを叩いた】


  ゲームからドアを叩くSEがなった。

 

「内山涼介:失礼します。カトリーヌ鈴子先生いますか?」


  こいついきなり、職員室に押しかけるのか……相当な強者だな。


 内山涼介(ゲームキャラ)がカトリーヌ鈴子を呼んでから数分後、カトリーヌ鈴子は内山涼介(ゲームキャラ)の目の前に現れた。 画面に映し出されたビジュアルは若干ハーフよりの超美少女だった。


「カトリーヌ鈴子ちゃんと可愛いじゃないですか」


「あぁ、俺は一瞬どんな奴が来るかと身構えてしまったが普通に可愛いな」


「遠藤カトリーヌ鈴子:あなた、どこのクラスの子?一年生よね?私になにか聞きたいことでもあるの?」


「内山涼介:はい! ちょっと数学でわからないところがあって!」


「カトリーヌ鈴子、数学の教師なのか。 勝手に英語だと思ってた」


「私もです」


  俺と、ゆきは普通に驚いた。 このゲームセオリーが通じないようだな……


「遠藤カトリーヌ鈴子:私国語の教師なのだけれど。 それと、今日入学式だったんだからこのタイミングで質問はおかしいでしょ」


「おいおいおいおい、カトリーヌ鈴子国語教師じゃねぇか!!!」


「涼介、絶対顔だけで判断してるからカトリーヌ鈴子のこと何も知らないんですよ。きっと。 とんだクズ男ですね」


「おいそれじゃあ俺がクズみたいだからやめてくれ」


「アハハ、すみません」


  今、ゆきに涼介と呼ばれて実は少し嬉しかったと言うことは内緒の方向でお願いしたいところだ。


「内山涼介:(なんということだ。俺の完璧な、授業で分からないところあったから教えて作戦が失敗してしまった。こうなったら直接思いを伝えるしかない!) カトリーヌ鈴子先生!!!」


「遠藤カトリーヌ鈴子:なに?」


 とここで選択肢が出てきた。


 1, 僕付き合ってくれてもいいんだぜベイベー


 2,あなたの顔が好きです!中身は一切知りませんけど僕と付き合ってください。


「どっちも告白の文章として酷いな……」


「まだ、2番の方がマシな気もしますけど。 どのみち振られるでしょうね」


 よし、2番にしよう。 まだマシな気がする。


「内山涼介:あなたの顔が好きです!中身は一切知りませんけど僕と付き合ってください」


「遠藤カトリーヌ鈴子:はい? 無理に決まってるでしょ! 家かえって頭冷やしなさい」


 内山涼介(ゲームキャラ)はシンプルにふられた。


「こいつにもう、勝機はないな……可哀想に」


「可哀想な先輩」


  ゆきは、全然そんなこと思ってないようになく振りをして言った。


「絶対思ってないだろ!」


「バレましたか。テヘ」


  「よし多分次は、ゆきのターンだぞ」


「まかせてくだい!」


  そう言ってゆきはゲームのコントローラーを握った。


  2日目 松岡雪乃のターン


「松岡雪乃:はぁ……なんであんなこと言っちゃったんだろ」


「あれ、雪乃さんなんだかため息ついてるな」


「そう見たいですね。 あんな意気込んでたのに」


  まぁ今更このゲームのストーリー展開の予想なんてつくはずもないので、進めていくしか道はないな。


 「松岡雪乃:はぁ……私実は、涼介のことが好きだなんて……今更言えないわ」


  なんてこった、そういうパターンかぁ……


「なるほど、そういうパターンですか…… 私実は先輩のことが好きみたいですよ」


 「あ、あぁそうみたいだな。 これは、どうやって進めるんだろうな」


  !?今俺はドキッと胸が高鳴った。

  なるほど、人は美少女に告白じゃないとわかっていてもそうと取れる、セリフを言われるとドキッとしてしまうのか。ゆきに好きに言われるなんて……録音してとっときてぇええ。

  とまぁ、それは置いておいてゲームの方に戻ろう。


「松岡雪乃:まぁ、あいつに彼女なんて出来るわけないし、私もこのまま何も動かないで告白のチャンスを待てばいいのね」


  雪乃(ゲームキャラ)はそう言って、荷物をまとめ帰ろうとしていた。 しかし、後から


  「???:松岡雪乃さん?」


 と声をかけられた。


「一体何事でしょうか?」


「わからん」


 「松岡雪乃:なに?なんかようかしら?」


「???:僕は、遠藤カトリーヌ健三郎っていいます」


  !?!?とんでもねぇキャラクター出てきやがった。


「!?おい、なんか健三郎出てきたぞ」


「ここの世界では、遠藤カトリーヌが流行ってるでしょうか? 」


「いや多分、というか確実に兄弟か親戚だろ」


  この健三郎とかいう男、ものすごくカトリーヌ鈴子にビジュアルが似ているのである。


「やっぱりですか……一体私(ゲームキャラ)に何用で来たんでしょうか」


  ゆきは、そう言いながらコントローラーのボタンを押した。


「松岡雪乃:カトリーヌさん?誰だが知りませんが、一体何しに来たんですか?」


「遠藤カトリーヌ健三郎:雪乃のさん。 僕と付き合ってください! もちろん恋愛的な意味で」


「!?嘘だろ……このゲームどんだけイレギュラーなんだよ」


「!?!?!?なんで私は、こんな訳の分からん輩に告白されたんでしょうか……」


  俺とゆきはお互いに、驚いた反応を見せた。

  ゆきは驚きながらも、コントローラーのボタンを押した。 すると選択肢があらわれた。


 1,いいわよ。付き合ってあげる。


 2,全速力で逃げる


 3,殴って蹴ってサンドバック化


  おいいいいぃ、まともな選択肢がないじゃないか!!!

 果たして、どうなるんだ……

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