第7話 ゲームをする日曜日 前編

ゆきの手当をしてから、1晩がたち日曜日になった。

かと言って特に何もすることがないな。よし、昨日買ってきた小説でも読むかぁ。

俺はそう思い、本棚に向かおうとしたその時、机の上に置いてあったスマホが震えた。震えの種類的に電話のようだった。

だれだろう? スマホを手に取るとゆきからの電話ということがわかった。


「もしもし」


『あ!出てくれましたね! 先輩』


「そりゃ出るに決まってるだろ。 んでどうしたんだ?」


『足が痛くて、外出が出来ないんですけど、宿題とかやるべきこと全部終わっててやることがないので、私の部屋に遊びに来てください!』


なんと、ゆきからの遊びの誘いだった。なんだか出会って1週間くらいなのに、どんどん積極的に俺と仲良くなろうとしてくれてる気がする。 なんだか凄く嬉しいな。


「わかった、今すぐ行くよ。 あっ、ゆきの部屋ってパソコンあったよな?」


『はい。あります! なんでですか?』


「まぁそれはお楽しみということで、待っててくれ」


***


ピンポーン


俺は電話を切ったあと、早急に支度を済ませゆきの部屋にいきインターホンを鳴らした。


「鍵空いてるんで、入ってどうぞ〜」


ゆきから、そんな返答が来たので俺は遠慮なくお邪魔することにした。


「おじゃましま〜す」


「先輩、来てくれて嬉しいです!」


「まぁな。 ゆきとはもっと仲良くなっていきたいと思ってたから、俺も誘ってくれて嬉しかったぜ。 いきなり部屋で遊ぶのは、少し難易度が高いと思ったけどな」


そう、いきなりこんなにかわいい女の子が健全な男子高校生を、部屋に招くのはあまり宜しくないと俺は思う。

だがしかし、俺はとても嬉しかったのでそんな一般論など気にせず普通に遊びに来たのだ!


「まぁまぁ、いいじゃないですか。 私は先輩と遊びたかったんです!」


「あ、あぁ。 とても嬉しいよ」


な、なんて可愛いんだこのあと俺は死ぬんだろうか……

こんな可愛い女の子にこんなことを言われるなんて、いっそもう死んでもいい!


「なにぼーっとしてるんですか? さて、何します?」


「あぁ、今日はこれを持ってきたんだ」


そう言って俺はゆきにCD-ROMを見せた。


「なんですか?これ」


「これは、うちのゲーム部が作った対戦型恋愛ゲームだ。二人で対戦しながらやる恋愛ゲームらしいが、何を対戦するかはやって見なくちゃわからん。 生徒会の意見が聞きたいとかでこの前俺に届いたから、これをやってみようぜ」


「へぇ〜『ドキドキメモリーズ〜リア充になるための物語〜』ですか、クソゲー集がしますけど、面白そうですね。 さっそくやりましょう!」


どうやらゆきは楽しんでくれそうである。しれっとクソゲーって言ったけど……


やると決まったら俺は自分の部屋から持ってきたコードとコントローラーを、繋げパソコンとテレビを繋げコントローラーで操作できるようにした。


「よし、早速やってみるか!」


「そうですね!」


ゲームを立ち上げると、まずタイトルロゴが現れた。そしてタイトルが出てきた。

俺はメニュー画面で、ニューゲーム、二人でプレイを選択する。

プレイヤー名の入力表示が出たので内山涼介と打ち込んでおいた。すると次に2Pの入力画面がでた。


「2Pの名前は松岡雪乃でいいよな?」


「はい!」


ゲーム部の部長は恋愛ゲームとか言ってたけど対戦型って一体どんなゲームなんだろうか……

そんなことを思いながら、ゲームスタートの画面でAボタンを押した。


『内山涼介:俺の名前は、内山涼介。今日からこの学校に通う。高校一年さ!高校生になったんだから彼女をたくさん作るぞぉ〜』


「おいちょっと待て、彼女はたくさん作っちゃダメだぞ」


俺はテキストを読み終えると同時につっこんだ。


「あははははっ、その通りですね! なんですかいきなりこの文章」


すると、ゆきはお腹を抱えながら笑った。


「松岡雪乃:なにアホなこと言ってるのよ。まぁでも恋人の1人くらいは欲しいわよね。まぁ私なら秒でできるけど」


今度は、ゆきのキャラが出てきた。


「むぅ、私こんなこと絶対いいませんよ」


「そうだな、流石にゆきにこんなこと言われたら全力で引くぞ」


まぁ、ゆきくらいの可愛さがあれば恋人なんて、秒でできるとは思うけどな。と思ったが恥ずかしかったので口には出さなかった。


「内山涼介:じゃあ、勝負しようぜ」


「松岡雪乃:なんの?」


「内山涼介:どっちがさきに恋人ができるかだ!」


「松岡雪乃:へぇ〜面白そうじゃない!いいわねやってみましょう。まぁ勝つのは私だけどねふふ」


「なるほど、こうやって対決してくゲームなのね」


「そう見たいですね。 それにしても私のキャラの調子乗ってる感が否めません」


確かに、ゆきのキャラは全然普段のゆきとは違うが、見ていて面白いので良しとしようじゃないか。


「まぁまぁ、いいじゃないかゲームなんだし。楽しもうぜ」


「まぁそうですね」


ゲームの画面に戻ると、画面に


1日目 内山涼介のターン


と出ていた。


「どうやら最初は俺からみたいだな」


「内山涼介:よぉし、手始めにだれから彼女にしようかな」


涼介は謎の発言をした。 そして選択肢が出てきた。


1. 隣の席の前島京子まえじまきょうこちゃん


2. 5個先のクラスの担任、遠藤カトリーヌ鈴子ちゃん


「ちょっと待てぇぇえええい、カトリーヌ鈴子めちゃくちゃ遠いじゃん。 しかもカトリーヌとか誰だよ。しかもどっちが先に恋人できるか争ってるのに、難易度高いの選択させようとすんな!」


俺は全身全霊をかけてつっこんだその時


「えいっ!」


ゆきは笑顔で俺の持っていたコントローラを操作して2のカトリーヌの方を満面の笑顔で選択したのであった。


「あっ、ゆき! なにするんだ!!」


「ふふ、こっちの面白そうだったのでつい」


てへぺろ、みたいな顔をして許されるとでも思ったのか、と言いたいところだが実際すごく可愛いので許してしまうのだ。


それにしても……このゲーム相当しんどそうだぞ。

今日中にクリア出来んのかな……

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