第5話 ラジオ
今日は、昼休みに『ラジオ部』という部活が、毎週月曜日と金曜日の昼休みに放送している校内の人気番組、『乃木ラジ』に俺とゆきがゲスト出演する日である。
番組は、生放送で昼休みに放送室で行われている。
放送時間は30分間だ。
パーソナリティは週替わりで、4人の部員が交代交代でやっている。
今日のパーソナリティは部長の
***
いよいよ生放送の時間がやってきた。 俺は何度もゲストとして呼ばれているが、ゆきにとっては初めての経験なのでどうなるか楽しみだ。
と思っていると、オープニングBGMが流れた。
BGMの音がだんだんと、小さくなってくると河野が
「みなさんこんにちは!!!! さぁ始まりました。 乃木ラジ!今週のパーソナリティは月曜日に、引き続きこの僕、河野和馬がお送りします。 そして今日は素敵なゲストにお越しいただきました。 生徒会長の内山涼介さんと、松岡雪乃さんで~す!!」
「宜しくお願いします」
「よろしく頼む」
ゆきはいつも通りのまだ、若干キャラが定まりきっていないような口調で挨拶をした。
「松岡さんは、今日が初ラジオということですが、緊張していますか?」
「うむ、ラジオは前々からやってみたいと思っていたので、こういう機会を頂けて光栄だ」
「それは、よかったです。 内山さんはどうですか?」
「僕は昨年度まだ生徒会役員が、自分1人だった時にたくさん、ださせていただいて、ものすごく楽しかったので、今日も楽しみにきました」
割れながら100点の回答だったと思う。流石に何回も出ていればこれくらいちょちょいのちょいだ。
「そうですかぁ〜 それは大変恐縮です!さて、 えぇ、今回は生徒会の御二方がゲストということでメールテーマは御二方への質問&メッセージです。 早速たくさん来ているので読ませていただきます。ラジオネーム 『生徒会長イケメンすぎわろりんちょ』さんから頂きました」
なかなか、頭おかしそうなラジオネームだな……
「中々、凄まじいラジオネームですね。 アハハ」
俺は、愛想笑いを交えながら言った。
「えーっと、 みなさんこんにちは! 早速質問なんですが、内山会長と松岡副会長は、 付き合っているのですか? あ〜 これはよく校内で噂されていますね! どうなんですか?」
!? 唐突になんてこと聞いてくんだこのリスナーはああああああ!!!!
しかぁし!!!この質問は、既に予想していたので大丈夫だ。
「いえ、付き合っていませんよ。 雪乃さんは素晴らしい仕事仲間です」
「あぁ、 その通りだ。 内山会長はなんでもできる人で私の仕事がいつもものすごく、少なくなってしまうくらいだ。とても助かっている」
「へぇ〜 さすが、去年たった一人で生徒会長をやっていたということは、伊達じゃないですね!」
よぉし、無事にこの質問はクリアだ。
「それでは続いてのメールに行きましょう。ラジオネーム『リア充は死ね』さんから頂きました。 おねがいですからラジオネームで、本音を言うのはやめてくださいね」
そういえばこの番組は、毎回毎回こんなわけのわからんラジオネームばっかりだったな……
もう少し、ちゃんとしたのを考えてきてらどうだよ……
「え〜、 お二人共勉強が、とても得意だと言うことで知られていますが、 何かいい勉強法はありますか?なるほど、これは僕も聞きたいですねぇ。 何かあるんですか?」
この質問に対して、俺とゆきは同時に
「「授業を真面目に聞いて。 教科書をひたすら読む!」」
と答えた。 それはとても綺麗なハモりであった。
「御二方割とも、極々当たり前のことをおっしゃいましたねぇ!」
「はい、このような当たり前のことがしっかりと出きていれば成績もしっかりと上がるでしょう。 授業を聞いてわからなかったら先生に聞いて教えてもらえば完璧です」
当たり前のことを当たり前のようにやることはとても大事なことなのだ。
「流石は生徒会長! 心にしみるお言葉頂きました。 さて番組も、終盤に差し掛かってきたところで学園長から大事なお知らせがあるということで、ただ今こちらのスタジオに向かっているとのことです」
!?南さん来んの?
めんどくさい事になりそうだからいらないなぁ……
そんなことを思っているうちに放送室に南さんが登場した。
すぐさまマイク前に座ると
「みんなに大事なお知らせがあります! 生徒会メンバー2人がこの前、新入生歓迎会で歌ったのが恐ろしく好評だったので、文化祭でlive&CDを発売したいと思います!!!!」
そう南さんは堂々と言い切った。
!?!?聞いてない聞いてない聞いてない聞いてなぁああああい!!!!
「す、すみません。学園長。 我々そんなこと一切聞いてないんですけど」
「今初めて言ったんだから、当たり前よ」
!?言えよおおおおおおお
ここでふと、ゆきの顔を見てみたが、死ぬほど困ったような顔をしていた。
そりゃ困るよな……
ここでゆきに喋らせたら素が出てしまうかもしれん…… それだけは避けねば。
「ほうほう、それは素晴らしい発表ですねぇ! ユニット名はどうなさるんですか?」
河野が盛り上げつつ質問をふっかけてくる。
「乃木坂2(仮)よ」
と冗談交じりな言い方で南さんは答えた。
めちゃくそパクリじゃねぇかあああああああああ。
しかも人数少なっ
「学園長!!!! それはいけないと思います」
「わ、わわ私もそう思う」
ま、まずい、ゆきが崩れかかっている。
「だから、(仮)って言ってるでしょ! もっとカッコイイ名前を考えとくから楽しみにしておいて頂戴」
そう言って南さんは去っていた。
それからは、校内のお知らせを河野がいい、俺達が最後の挨拶をしてラジオはなんとか無事に終わった。
***
家に帰ると、ゆきは俺の部屋にすぐにきた。
「せんぱぁーい。 あの話ほんとなんですか?」
「俺が知るわけないだろ! ただ、南さんが言うんだ。 嘘はないと思う」
「私、聞いてないですよ〜」
「俺も聞いてないわっ! あんなんびっくりするに決まってんだろ」
「まぁ、さっき聞いた時は、突然過ぎてびっくりしちゃいましたけど、先輩と歌うの楽しかったので別にいっかなぁって気がしてきました」
ゆきは笑顔で言い放った。
「マジかよ……」
これまためんどくさいことになったもんだな……
とりあえずユニット名どうなるんだろ……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます