第2話 新しい部活
朝会が終わり、俺らはそれぞれ教室に戻り授業を受けた。
授業が1通り終わると、次は生徒会の仕事である。
今日からは1人ではなく二人で仕事をすると思うと多少は楽になるな。
俺はそう思いながら、生徒会室に向かった。
生徒会室に入ると、既にゆきが机に座っていた。
「遅かったですね。 先輩」
「ああ、少しホームルームが長引いてな。 わるい」
よかった、朝会みたいな低めできつい口調じゃない。
「さっきの朝会のときはビックリしましたか?」
「当たり前だ!!!! あんなキャラになるとは思わなかったわ!!まじで、あと1歩で叫ぶところだったぞ」
「いやぁ、すみません。 学園長にやれって言われたので」
「あのキャラ保つの大変じゃないか?」
「まぁ多分平気ですよ。 生徒会室ではこうやって普通の口調で喋れますし」
「まぁ、それもそうか。 んじゃ今日の仕事をやるぞ」
「はい! 頑張りましょう」
やっぱり何度見ても可愛いな……
ええい、雑念を捨てろ内山涼介。
俺は、これから仕事をするんだ!
「今日の仕事は、『新部設立届け』の内容を見てその部活を認めるか否かの判定を俺たちで行う」
新部設立届けとは、新しく部活をつくる時に、出す書類の事である。
今回は新年度なので量が割と多いのである。
「そんなの私たちで決めちゃうんですか!?」
「ああ、うちの学校の生徒会は、学園長の次に権限がでかいからな。 今までは俺と学園長でこの書類に目を通していたが、メンバーが増えたということで、俺たちで話あった後に、俺達が採用したものを更に学園長が、目を通してようやく新部設立という流れになった」
「へぇ〜。 確かにうちの部活色々なものがありましたもんね。 教室も多いですし」
「ああ、学園長があんなのだから、校風がすごく自由なんだよ。 よくこんな学校つくれたな……とずっと思ってるよ」
「アハハハ。 それじゃあやっていきましょ」
「よし、まず最初はこれだな」
俺は、机の上に置いてあった書類の1番上のものをとった。
「どんな部活ですか?」
「え〜っと『ラクロス部応援部』内容、ラクロス部を応援する」
「普通にいいんじゃないんですか?ちょっとマニアックな気がしますけどどうせ部室も有り余ってるんですし認めちゃいましょうよ」
いやいや、流石に速戦即決すぎだろ!!!
まぁたしかに、ラクロス部応援団的な存在としては、素晴らしいものだろう。 だけどなひとつおかしい点がある。
「あぁ、たしかにこれを見ただけではそうだろう。 だけどなうちの学校にラクロス部なんて存在しなああああい!!!」
「ええええぇ!? じゃあ何でそんな部活の申請をしてきたんですか??」
「そんなもん知るかぁああああ。 この部活は却下だああ」
「分かりました!!! 次の部活にいってみましょう! え〜っとなになに『Twitter炎上クラブ』内容、Twitterを炎上させる」
なんだこのアホな部活は!?
「却下だ!!! この部活のメンツには勝手にやってろと言いたいぐらいだ」
「そのとおりですね」
「よし次だ、 『ボウリング部』内容全国大会を目指して頑張っていきたいです。 ボウリング場なに行く費用が欲しいので部費もご検討ください」
なるほどやっとまともなのが来たじゃないか、ボウリングの大会は実際にあるらしいしな。
「こういうのこそ、採用じゃないですか?」
「ああ、その通りだ。 これは学園長のところに持っていこう」
「じゃあ次ですね。 『ボーリング部』内容 穴を、広げる?」
!?そっちのボーリングかよおおお!!!
なかなかわけのわからない活動内容だな……
「そんなもん却下に決まってるだろ。なんで穴を広げるとかいう謎部活を承諾しなきゃいけないんだ」
「そのとおりですね……アハハ……」
ゆきも苦笑いをしながら却下の印鑑を押した。
「次で、最後の部活だな『恋人作り隊』内容、彼女が、彼女が欲しいんですううううううう」
「アハハハハ…… かわいそうな人たちですね」
つーか、もはや部活ですらないじゃん。隊って付いてるじゃねぇか。
「なんか、 こいつら可哀想だな…… すごく悲しい。この文字から悲壮感が漂ってるぜ。 よぉし南さんがなんて言うかは知らんが、この部活を認めよう」
「!?認めちゃうんですか?」
ゆきは驚いていた。
「あぁ、認める。 可哀想だろ。 男というものは1度は彼女とかが欲しかったりするんだ。 わかって差し上げろ」
「は、はぁ、わかりました。多分女の子も恋人は欲しいと思いますからこの人達にもきっと、いい人が見つかりますよ」
そう言ってゆきは承認の印鑑を書類に押した。
「よしじゃあ、今回は『ボウリング部』と『恋人つくり隊』を南さんの所に持っていこう」
「はい!」
「今日はなんか疲れたし、仕事ももうないから生徒会活動は終了!!!」
「ラジャー」
こうして第一回目の生徒会活動は終わったのであった。
せっかく新メンバーが入ってから1発目なのに、こんな内容でよかったのだろうか……
としみじみ思う俺であった。
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