第25話

翌日。

残りのシーンを近藤と撮影していく赤間。

和気あいあいとした空気で撮影は進んでいく。



さらに翌日。

とあるマンションの一室に来ている赤間と近藤。


「初めまして、赤間と申します。」

「初めまして!菊池です。」


菊池はパソコンの前の椅子に座って、爽やかに挨拶をした。

「菊池くん、急なお願いで時間も無くてごめんな?」

近藤が申し訳なさそうに謝る。

「いやいや、コンちゃんからのお願いだからね!楽しそうだし!」

「・・・ありがとうございます。」

赤間も深々とお礼を言う。


「事前にもらってた映像は若干いじってみたんだけど、どうかな?」

素早くパソコンを操作し、簡単なCGが追加されたシーンを2人に披露する菊池。

「え!すごい!」

「さすが菊池くん!」

予想以上のクオリティの映像に思わず笑いが止まらない2人。

「あ、よかった!じゃあこの感じで進めちゃうから、ちょっと待っててねー。」

安心した笑顔でそう言った次の瞬間には顔が切り替わり、パソコンに向かって作業を始める。


「コンちゃん・・・すごい人紹介してくれてありがとう。」

「よかったな!これでもっと面白くなるよ!」

「うん・・・!」


赤間と近藤もパソコンを取り出し、どんどん映像を編集していく。

何時間も沈黙で作業を続ける3人。




明け方。

「お・・・終わった・・・。」

「終わった!」

「終わりましたね!」

3人は顔を見合わせ、無言でハイタッチをした。

朝日が3人を優しく照らしている。


フラフラになりながらも片付けをしている3人。


「・・・あっ!」

眠そうな目を急にパっと見開いた赤間。

「えっ?どうした?」

突然の赤間の声に驚く2人。

赤間は気まずそうに2人の方を向く。

「あの・・・菊池さん・・・。」

「えっ、ぼく?」

「この完成した映像、DVDに焼いて、持田に届けたいのですが・・・。」

「あ、うん。」

「宅急便役・・・お願いしても大丈夫ですか・・・?」

「えっ!」

「お前ー、菊池くんをそこまで巻き込むなよ・・・。」

「いや、でもすごい想像通りの好青年宅急便屋さんだから・・・!」

好青年という言葉に嬉しそうな菊池。

「しょうがないなあ〜、面白そうだし、いいよ!」

「ありがとうございます!!」



赤間は用意していた小さな小包にDVDを入れる。

架空の宅急便屋の伝票に持田の名前を書いていく。



準備が整うと、近藤がカメラを手に取り赤間へ向ける。

「はい、じゃあ撮るぞ。」

「うん。」



「よーい、スタート。」




「持田さん!今からこのDVDをお届けします!」



カメラに向かって満面の笑みで赤間はそう言った。

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