第2話  海

「まだ4じかぁ」

私の家は一番学校から遠い場所

皆と一緒に帰っても 最後で まぁそれは疑問に思ったことはないのだけども__

自然と顔が下を向いて歩いてしまう

潮風に吸い寄せられるように海の方へと足が行く

            ・

            ・

            ・


「まっくらに なっちゃった もどろう」

そんな独り言を言いながら 駄菓子屋で買ったいつものお菓子を食べ終えた頃

子供なりに重い腰というのもあるようで お尻に着いた砂をはらい住んでる家に戻る。


「にゃー」


野良猫のちょんがお迎えなのか 家に入れろと急かすのかいつも玄関で待っている

私は首に掛かっている 家の鍵 を取り出し 鍵穴へ____

その瞬間ちょんは勢いよくそのドアを抜ける

私はその反対で ゆっくり ゆっくり____


ガチャン____


その瞬間重いドアの隙間からこぼれていた光は無くなり真っ暗な世界に変わる。

一つ二つとため息をつきながら靴を脱ぎ玄関からすぐの机の上にランドセルを置く

そうしていると野良猫のちょんがご飯を寄こせと足元にすり寄ってはにゃーにゃー

「はい ちょんどーぞ」

待ってましたと言わんばかりに ちょんはご飯に夢中 そして私は自分がお腹が減っているのに気が付く 視線の先は冷蔵庫____


『チンしてたべなさい』


冷蔵庫にはいつものクリップボード そこには一度書いた文字をそのまま残されている 要は 使いまわし


________食べませんけどね。


人それぞれだと思うのだけど 大嫌いなものばかりで作られたご飯

独りで食べろって言われても そりゃまぁ 捨てますよね・・・子供だもの


そしてまた着替えたら 海に 帰る____  

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