第49話 シンクロ
神との戦いに敗れたサタンは、地獄の底から更に幾層も深く沈んだ、地獄の最下層に
サタンの下半身は分厚い氷に包まれ身動きできないでいる。
全てを引き裂いてしまうその鋼のような腕をどんなに伸ばしても、もはや天空に届く事はない。
ただ漆黒の闇の中で空を掴んでいる。
闇を切り裂く
荒ぶるサタンが地獄の最下層から抜け出せる条件はただ一つ。
数億、数千万にも及ぶ人々の渦巻くような恐怖。
暗くて深い悲しみの淵に落ちいく絶望のオーラを集める事だった。
それが、サタンを再び地上に呼び戻すパワーとなるのだ。
しかし地上は神が統治する場所である。
その地上を地獄に変える事がいかに困難かは容易に想像できる。
だから、自分と同じ邪心と、強い力を持つ者を利用するしかない。
サタンは知っていた。
“
その者の力を利用してサタンは復活を遂げる。
そして再び神に戦いを挑み――勝利する。
日本を統治する神であれ、サタンとオロチの連合には手を出すこともできない。
サタンが
「なるほど……そういう事が……。しかし、君はどうしてその事に気づいたんだ?」
「私は、
「
「そうよ……でも、その時は、単なる
「いつごろ確信に?」
「徐々に変わっていく彼女を見ていて……」
「どうして、俺に相談してくれなかったんだ?」
「私も、
「仲間だものな……それも、一心同体の……」
すべてを理解した
「しかし……なぜ、俺たちを……」
「どうして私が胴体から切り離したか……知りたい?」
「私とあなたは……愛と正義の神。
「そりゃそうだろう! そこに正義はないだろう……」
「だから、サタンは
「そんな……そんなことができるのか?」
神の下僕――
悪に心奪われるような事はないだろうと憤慨する
「あなたらしいわ♪ その正義感が好きよ♪」
「そ、そんな事を……急にいうなよ……」
「でもね……相手はあのサタンなの。天上神たちを相手に、勝利目前にまで追い込んだ悪魔なのよ。私たちの想像つかない知恵を持っているわ」
「そんな方法が……本当に?」
「現に、
「なるほど。確かに……あの
それだけに悔しそうに唇を噛む
「これから俺は何をしたらいいんだ? 遠慮なく言ってくれ。俺はやる! サタンなんかの思い通りには絶対にさせない」
この前向きな考えも
「
「探す? 邪魔な俺たちが居なくなってホッとしているだろ?」
「残念ながら……それは違うと思うわ」
「俺たちが敵に回るからか?」
「それもそうだけど……彼女にとってはもっと深刻な理由よ」
「…………」
戦闘力は高いが、疑うことを知らない
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