第45話 対峙
太古の昔、神と
愛ある民を
“
しかし、それと同時に、道徳をはき違えた者の間で争いごとが増えていった。
心を満たす為には、他人を蹴落としても仕方ない。
自分の為なら奪っても構わないという、曲がった解釈が芽生えた。
人々の心の中を、欲望が支配し始めた。
それを見ていた、
「愛の力があれば、欲望なんか抑えられるはずよ!」
それを見ていた、
「その戦いに正義はあるのか? 悪に負けてはいけない」
「知恵とはそうしたものよ。知恵がつけば欲望を満たそうとしても仕方のないことよ」
いつの間にか
「
「
「だから……今こそ“強い者”が“弱い者”を支配する世をつくるのよ。全ての人間を私たちに従わせるのよ! この国を私の物にするのよ~~!」
その
「そんなことになったら……この国は地獄になるぞ~!」
それまで黙っていた
「しかし……
「そうじゃ! 妖怪は人間と共に生き、人間を守る為に存在しとるんぞ~」
神の末席に位置する“
彼らは日本中に散らばり、陰ながら人々を見守っていた。
「だったら、そんな妖怪も滅ぼしてしまえばいいのよ~~!」
その語気の強さに
「……そんな……さすがにそこまでは……」
「私の言うことが聞けないの!」
「…………」
「ちょっと待って~! それは違うでしょ! 人間達は愛で導かないと」
今度は、
「そうだ~! 我々も妖怪の一族! それが妖怪も滅ぼすなんて……そこに正義はないだろ~」
「おだまり! いつまで私に楯突くつもりなの~~~!」
「なんだと~! 自分の言っている事の恐ろしさに気づいていないのか~~」
二匹の怒りに満ちた覇気が辺り一帯に充満した。
憎しみが交差しあって、一触即発だった。
ザッザッザァ~~~~!
優柔不断な
二匹の大蛇と、六匹の大蛇は一つの胴体を引っ張り合うように対峙した。
そして、焼けつくような睨み合のまま
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