第6話とぼとぼと徒歩

「きっと君は来ない〜、1人きりのウェスタンデー」


梅雨の初めの霧雨の中、俺はうろ覚えの曲を口ずさみながら歩いていた。

行き先はもちろん関東拗音委員会の事務所だ。


だが今日の目的は関東拗音委員会の連中と面会する事では無い。

先の面会に向けてのシミュレーションであり、こないだの浅草濁点倶楽部の様に一方的に流れを掴まれない為の予習なのである。


俺はふんわりと咲く紫陽花に向かってニヒルな笑みを投げかけた。


しかしながら、予習と言え何をしたら良いのだろうか。

当日優位に立つ為に、なるべくなら一方的に情報を得る必要がある。

つまりは俺は隠密行動をする必要があり、それは決してバレてはいけない事になる。


俺は心の中でふははははと、魔王と忍者の中間くらいに笑った。


そうこうしているうちに、元魔法少女の老婆に渡された地図による、関東拗音委員会の事務所付近へと近づいていた。


ここから先は敵陣。

よもや魔法少女の前に忍者に転職するとは思わなんだが、何かのIIIで賢者の前に戦士になるようなものだと妙に納得し、俺は歩を進めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法少女、俺 える @qweendoll

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ