第3話魔法老婆ババサレ
神谷バーを出た俺は元魔法少女の占い師に会うべく歩いていた。
2つ目の交差点を曲がるとそこはただただ薄暗いだけで、占い師がいるような様子は無かった。
辺りをきょろきょろと見回しながらゆっくりと歩を進めて行くと、突然背後から声をかけられた。
「ちょいとそこのお兄さん、お兄さんは何か道に迷っていますな?人生の道、1つこの老婆に聞かせてみてはどうだろうか。私は見ての通りお兄さんよりも長く生きている、生きているからと言って経験値が多いというかと言えば、そうと限らない事もあるだろう、しかし話し相手くらいにはなるかもしれないよ」
長いな…、「ちょいとそこのお兄さん」で良くないか。
ん、というか何処から出てきたこの婆さん。
確かに暗い色の服装だけれど、まったく見えなかったぞ。忍者か何かか。
しかしよく見ると占い師らしい白い小さな机を構えている、件の占い師なのかもしれない。
「えぇ、探し人がいるのです。この辺りにいるという元魔法少女だという占い師をご存知でしょうか。」
俺はおそらくそうだろうと思いながら尋ねてみた。
「ご存知も何も私がそうですよ。」
やけに順調に話が進んで行く。
「それでは、ご相談があるのですが。魔法少女になるにはどうしたらいいのでしょうか。」
俺は改めて老婆の方を向き直した。
「お兄さん、魔法少女になりたいのですか。魔法少女というのは元来女の子、ギリギリのラインで女性がなるものも相場が決まっている。なってなれない物ではないが…」
老婆は少し口をもごもごさせた。
「お兄さんはひょっとして変態というものなのかい」
そして老婆は品定めをするかのように俺を見上げた。
「いいえ、俺は変態ではありません。かくかくしかじかで魔法少女を志している者です。」
俺は背筋を伸ばし少しでも見栄えが良く、健全に見えるようにした。
「そうですか。それならば関東拗音委員会と、浅草濁点倶楽部を尋ねて見なさい。」
関東拗音委員会…浅草濁点倶楽部…
突然話がきな臭くなってきた。
「その組織はどんな組織なんですか。何やら怪しさが溢れているのだが。」
しかし行けば分かると老婆は2枚の地図を渡し、俺から5000円を徴収した。
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