...回想 燕視点…

私は謝那シャイナ様を送り出した後、何事もない顔で来るであろうファンを待ち構えていた。


しばらく経つと、下のものを従えた煌の姿が見えた。私は静かに頭を下げた。



「取り次げ。」

「...申し訳ありませんが、ただ今謝那様は不在でございます。」


私の返事に、煌はぐっと眉間にシワを寄せた。

「何?...入って早々、放浪してるというのか?」


「...夜風に当たっています。中でお待ちいただくように言われています。」


「...分かった。」


煌は納得したのかスタスタと謝那様の部屋に入っていった。


...何も知らずに。



そして一時ほど経った頃、謝那様がさっそうと戻ってきた。



しかし謝那様が部屋に入って数分経って出てきたのは煌の姿であった。


「ッ!?...煌様...。」

「...。」


煌は私を一瞥いちべつして、スタスタと去っていった。


煌が先に出たという事は、謝那様の命がとても危険にさらされているという証拠。


私は慌てて、部屋の扉を叩いた。

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