第4話 

(すごい…。根っからの理系なんだ…。)

この子に成り代わって私は生きていけるのかと心配になった。でも、

(答えは…わかるんだよな…)

やはり成り代わる以上考え方や知識量も受け継がれるらしく私も同様に答えがわかった。でも受け継がれるのは成り代わるまでだ、そこから数学としての知識を増やすのが大変そうだと思った。

(まぁ、ここまで数学好きなんじゃ大学入試すぎるくらいまでは大丈夫そうだけど)

問題は国語と英語の文系だった。今日体験したところ得意とは言えないようだったし変に成績を落とすと怪しまれる。大変そうだなと思うより他がなかった。とりあえず国語を勉強しようと机に向かう。机には本が積み上げられていた。ここまで本があるとなると気になって来るのはどれくらいどんな種類があるのかだ。私は勉強をそっちのけて本棚に向かってみた。想像していたため今回は驚かなかった。本棚には参考書と教科書以外文系の本がなかった。すごいなぁとあきれに似た尊敬までわいてくる。私が帰ってきたらなぜこんなに数学が好きなのか聞いてみよう。と私は今度こそ机に向かった。そして音楽を聞きながら国語を勉強する。もう何曲目かわからなくなった辺りで時計を確認する。20:30そろそろ親が帰ってきても良い頃だと言うのに聞こえて来るのは耳が痛いほどの静寂だった。仕事が忙しいのだろうと自己完結しキッチンに向かう。まだ料理は出来ないのでお茶漬けとかで良いやと思っていたら玄関が開いた。

「ただいま。遅くなってごめんね」

それは私に似た女性でこの女性が母親なのだと頭の中で結びつけた。

『おかえり』

と言葉を返す。そのあと作ってくれた料理は美味しく、暖かかった。だからこそわからなくなってしまった。なぜあのとき自分が消えるとわかって喜んでたのか。そしてそのあと他愛のない話をして部屋に戻る。お風呂に入ったりまた勉強したりしていたらいつの間にか23時を回っていたみたいだから私はベッドに入って寝ていた。そして聞こえた。ガチャっという音が自分の部屋のドアが開いたのだ。そして何かを取ってそのまま別の部屋に行った。シャワーの音が流れて来ることからシャワーを浴びているのだろう。私はこの音はきっと私だとまた自己完結し眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る