モルグズ異世界殺戮行路
14 susve losxute cu? had ers yuridin zerosefma dewma fo+sef.(ようやく気づいた? あれがユリディン寺院の二つの塔よ)
14 susve losxute cu? had ers yuridin zerosefma dewma fo+sef.(ようやく気づいた? あれがユリディン寺院の二つの塔よ)
あるいは腹を下すようなものも有益だ。
厠の前にユリディンの僧侶や魔術師たちが行列をつくるような状況であれば、一気に内部に侵入しやすくなる。
ただし、ユリディン寺院でだけ病が流行るのも不自然だ。
そのあたりは、これから考えねばならないだろう。
さらに、モルグズは「半アルグの力」を使うことも考えていた。
認めたくはないが、自分の性フェロモンが女性を惹き寄せている可能性は高い。
それを逆に開き直って使ってしまえばいいのだ。
つまりは、色仕掛けでユリディン寺院の女性をたらし込み、内通者にしたてあげる。
これは地球の情報機関も実際に使っている方法である。
ハニートラップと呼ばれる、女性工作員が男性にしかけるものが有名だが、現実には女性をたらしこむのが専門の、男性の工作員も存在すると言われている。
魔術師といっても、やはり人であることにはかわりはない。
どれだけ厳重な警備であっても、絶対というものは存在しない。
たとえば金を使った賄賂などもまた、有効な手段となりうる。
さらに魔術師たちも個人的には、人に言えないような隠し事があるかもしれない。
事実、ラクレィスが愛した男は同性愛者であることが露見し、殺されることになった。
特殊な性的嗜好も相手を脅す手となりうる。
ノーヴァルデアも、あるいは使えるかもしれない。
もちろん彼女に「相手をさせる」つもりはないが、nulano:kresが「変態」と同義で使用されているのだから、この地にも小児性愛者がいることはありうる。
我ながら、おぞましいことを考えているとは思う。
しかし、すべてはノーヴァルデアのためだ。
それなのに、ふとどこかでこうして計画を練ることを愉しんでいる自分に気づき、慄然とした。
もともと、自分は邪悪な存在なのかもしれない。
自らの醜さに吐き気がするが、だからこそゼムナリアはこの自分を選んだのではないか。
そのとき、石造りの建物が多い町並みの向こうで、恐ろしく高い塔が二本、そびえていることに気づいた。
この地にきてから、間違いなくもっとも高い建物だ。
二十階、あるいはそれ以上の高さがありそうだ。
susve losxute cu? had ers yuridin zerosefma dewma fo+sef.(ようやく気づいた? あれがユリディン寺院の二つの塔よ)
とはいえ、いろいろな意味であの塔の高さはおかしい。
地球で高層建築が本格的に建てられるようになるのは、近代になってからだ。
特にニューヨークでは、競うように高層ビルが建てられた。
だが、高層建築が存在するためには、単なる建築技術とは別に、きわめて重要となる技術が存在する。
エレベータだ。
そもそも、高い建物にもしエレベータがなければ、階段をわざわざ登っていくしかないのである。
この地にエレベータを作れる技術があるとはとても、思えない。
つまりあの塔には、例によってなにか魔術的な仕掛けが存在することになる。
だが、それもユリディン寺院、つまり知識と「魔術」を司る神の寺院であれば、当然かもしれなかった。
さらにいえば、あの高さの塔はゴシック建設の技術でも、作れるかどうかわからない。
明らかに石造りの建物のようだが、その重量を支えることは、たぶん通常の技術では不可能だ。
つまり、塔そのものが魔術的な構造物としか考えられないのである。
ふと、ユリディン寺院のいままで白っぽかった外壁が、鮮やかな紫色に輝き始めた。
これも魔術なのだろうが、まるで地球におけるイルミネーションのようでもある。
ただ、メディルナの人々はさほど気にした様子はなかった。
wob hasos cu?(なにが起きているんだ?)
くすりとスファーナが笑った。
deniya reysile so:rolzo.(人々に時間を伝えているのよ)
つまり、特定の時間になるか、塔そのものが紫色に光るらしい。
つまり、あの塔そのものが巨大な時計のようなものなのだろう。
何度か塔は明滅を繰り返したが、やがて収まった。
ers jen akce tup.(今は第八刻ね)
セルナーダの地では、一日を十二等分して時間を数える。
第一刻は午前二時であり、第二刻は午前四時だ。
つまり、tup、モルグズが勝手に刻と呼んでいるものは二時間に相当する。
そして第八刻というのは、午後四時だ。
どおりで、周囲が薄暗くなっていくわけだった。
セルナーダはそれなりに高緯度にあるらしく、もう冬の初めなのでそろそろ日没を迎える。
冬至あたりでは、下手をすると第七刻半、つまりは地球でいう午後三時あたりには日が暮れるかもしれない。
とりあえず、宿を探すことにしよう。
すべては、それからだ。
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