12 narhainma zereys ers u:tav zad!(ナルハインの僧侶は最悪だっ!)
had reys cajogo gxafsuzo!(あの男が子供を助けたぞ)
ers go+defe!(すごい)
otsgum ers.(勇気あるなあ)
面倒なことになった、と思った。
なぜ、こんな馬鹿なことをしてしまったのだろう。
明らかに、目立っている。
いま一番、避けなければならないことをやってしまったのだ。
かつての自分なら、絶対に考えられないことだった。
思わず、舌打ちしそうになる。
あわてたようにヴァルサが駆け寄ってきた。
eto gu+za cu?(怪我は?)
mende era ned.(問題ない)
だが、そう言った瞬間、右肩のあたりに激痛が走った。
あれだけの大きさの動物とぶつかれば、無事でいられるはずもない。
しかも相手は結構な速度で走っていたのだ。
まずい。
こんなところで、負傷してしまった。
しかも右肩だ。
これでは剣をうまくふるうことができない。
guzas li foy.(怪我しているみたいだな)
lumbuv zereys cu?(僧侶を呼ぶか)
ここでは誰かが負傷したときは、医師のように僧侶を呼ぶのが一般的らしい。
一人の若い男が言った。
eto gardores cu?(守護神は?)
kiliko ers.(キリコだ)
キリコという神が守護神のふりをしろ、と街に入るときにヴァルサが言っていたことを思い出す。
kilikoma zereys yas ned cod to:jsunxe.(この街にキリコの僧侶はいないんだ)
あるいは守護神によって、僧侶がzertigaを使う対象は限られるのかもしれない。
たとえば、特定の神の信者は同じ神の僧侶からしかzertigaをかけてもらえない、ということはありうる。
いきなり、悲鳴らしきものと罵声とがあがった。
人々の視線の先に目をやり、そしてモルグズはあんぐりと口を開けた。
とんでもない格好をした若い男が、空に浮いていたのだ。
年齢は二十代前半ほどだろう。
褐色の髪と青い目の持ち主で、顔立ちは悪くない。
ただ、着ている衣装が異常すぎた。
毒々しい紫色に染色されたズボンに、水色の地に真紅の水玉模様の上着、という姿である。
顔にはなにが愉しいのか、にやにやと笑いを浮かべていた。
さすがにこの世界でも悪趣味な服装らしく、誰もが顔をしかめている。
だが、もっと驚くべきことは「彼が空に浮いている」ということなのだ。
ers narha!(馬鹿だっ!)
すると、空中に浮いた青年が言った。
erv ned narha! erv narhainma zereys!(僕は馬鹿じゃない! narhainの僧侶だよ!)
僧侶を名乗っているからには、narhainというのは神の名前なのだろう。
だが、一体どんな神なのだ。
名前の一部にnarhaがついているのが気になる。
馬鹿、愚か、といった意味を持つ名詞を含む神とはなんなのだ。
ふと、昨夜の夢を思い出した。
死の女神は言っていたのだ。
「道化」が動き出した、というような意味の言葉を。
まさにいまのこの青年の風体は、道化と呼ぶにふさわしい。
mevi az tenas zertigazo pxunusle!(俺はこいつがpxunusにzertigaを使うのを見たぞっ!)
一人の中年男が叫ぶと、まわりの群衆も罵声をあげた。
narha!(馬鹿っ!)
nedi:r to:jsupo!(街から出てけっ!)
narhainma zereys ers u:tav zad!(ナルハインの僧侶は最悪だっ!)
かなり嫌われているようだが、肝心の僧侶のほうは平然としながらモルグズにむかって宙をすべるように近づいてきた。
menxav,menxav.(ごめん、ごめん)
ごめんですめば警察はいらない、と言いたいところだがこの世界にはそもそも警察そのものが存在しない。
gu+za era e+tefe cu?(怪我、痛い?)
melrus ers!(当たり前だっ)
さすがに腹がたってきた。
この僧侶が余計なことをしたせいで、こんなことになったのだ。
mende era ned.iriv tom gu+zazo.(問題ない。僕が君の怪我をiriv)
右肩のあたりに手をかざすと、奇妙な言葉をナルハインの僧侶はつぶやいた。
piley popomco panxa!
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