第7話 閑職のゼロ課

不自然な間が開く。異能力と呼ばれる物を目の当たりにして居ないが、前提として神無は信じていた。そして、自分は感じたことがない、何か方法があるものだと勝手に思っていた。しかし、答えで言えば存在しないと言う事になった。


「普通はですね、異能力を持っている人は脳のここら辺が活発に活動をするんですよ。そして、桜空さんも現段階では動いています。しかし、これを使って何かをしているのは確認されません」


脳の模式図で説明されるが、神無は良く理解できなかった。ただ、言える事とすれば、自分は異能力が使えないと言う事だけである。


「って、事は。クビ、ですか・・・?」


声を窄めながら尋ねると、氷室はバツが悪そうに首を横に振った。


「いえ、解雇ではありません。そういった例外の方が集まる専用の場所があります。しかし、そこはお勧め致しません」

「何でですか?」


答えたくないのか、少し答えを焦らす。それでも神無は氷室の目を見続け、根負けした氷室は口を開く。


「私達能力者は先程言ったように普通の人々と距離をとっています。それは無意識にも敵対的な思いを抱いています。そして、その環境下では心にゆとりが持てません。しかし、あなた方、異能力者の筈が異能力者ではない者達は格下の様に見られ、差別的な扱いをここで受けます」


遠回りしながら説明するが、神無は敢えて、ストレートに聞く。


「嫌われてるって事ですか?」

「差別等の所為で、表に出れないのに、自分たちも差別をする。愚かな話です。一応、私みたいに、大丈夫な方は少数ですが居ます。ですが、居心地は良くありません」

「え?」


神無はその程度?と思ってしまい、間抜けな声を出した。嫌われると言う行為は、過去があるので慣れている。それも日本全土から嫌われた神無にとって、こんな狭いコミュニティで嫌われて差別されるくらい、どうってことなかった。


「働くのですか?」

「はい、働かせて下さい」


一旦、氷室は呼吸を整える。神無と言う少女がどんな境遇を生きてきたか知っているが、それは予想を簡単に上回る物であった。そして、口を開いた。


「ゼロ課。課長の東条が常に金欠なのと、能力がないと言う二つを合わせてゼロ。だからゼロ課と呼ばれています。そこに向かってください」


そして、一話へ戻る。

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