第3話 七神の期末テスト〜前編〜

 三学期制の七神中学校では、6月と11月、そして2月に期末テストを行う。学年ごとに 順位が掲示されるため、皆上位を狙おうと集中して取り組む。

 一学期末テストは6月20日。一週間前にあたる13日から、『戦闘』の訓練は一度お休み。勉学に励むこととなるのだが……。


「頼むよ翔陽。教えてくれ!」


 6月17日、月曜日。三組の大輔が筆箱と英語の教科書を持って一組の教室に飛び込んできた。


「おいおい、またかよ」





「とか言いつつ教えてくれる翔陽。優しいなぁ」


 机を動かし、翔陽と大輔は向かい合わせに座る。


「あのな。お前入学試験では、奨学金取れるほどの高得点だったじゃないか。あの時の威勢はどこ行ったんだ」


「それとこれとは別! な、さっさと始めようぜ。ここなんだけど……」


――仕方ない。申し訳ないが、今日限りにしてもらおう。こっちだって最近思うような点数取れなくなってんだからな。


 翔陽は手際よく教えていく。彼の思いを知らないまま、大輔は話を聞いた。





「さすが麗奈ね! 何でも出来ちゃうもの!」


「褒められるのは嬉しいんだけど、鈴菜ちゃん、そこできてないよ。それと綾乃ちゃんも同じ所」


 こちらは五組の教室。麗奈、鈴菜、綾乃の三人が勉強会を開いていた。


「んーチクショウ! 何で同じとこでミスるんだ!?」


「復習してないでしょ。あ、もしかしたらどこで間違えたのか分かってなかったりして」


「げ、弦葉……。お前時々鬼になるよな」


「私そんな顔してた?」


 顔じゃなく、言動が。綾乃はそう返したかったが、勉強に集中することにした。


「そういえば銃礎。お前確かこれでもヤツと争ってたよな。勝手に、だけど」


「う、うるさいわね。何度負かそうと思っても届かないんだもん!」


 鈴菜はヤツ、つまり一組の鎌野秀一を常に敵視している。これまで幾度となく勝負を挑んでは返り討ちにされていた。やがてそれは秀一の同意なく始められるようになったが、それでも勝つことはできなかった。戦績は32戦32敗。


「今度こそは、絶対勝ってみせるんだから!」


「んー、ほどほどにね」


「そうだぞ。そのうち飽きられるかもな」


「こんなことしてる余裕はないっ! 麗奈、ほかにも教えて!」


――あ、ダメだ。いつものパターンだよ。


 対抗心のせいか、たまに話を聞かなくなるときがある。鈴菜の悪い癖だ。

 どうしようもなくなった二人は、そのまま続けることにした。

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