第2話 七神親衛隊〜後編〜

 七神親衛隊。依頼を受け、校長からの許可が降りさえすれば、どんなことでも解決する団体だ。中学校にやってくる悪人を追い払い、秩序を守るために結成され、今では学校公認の何でも屋を営んでいる。

 彼らは今、グラウンドに来ている。曰く、落とし物を探してほしい、とのことだ。

 グラウンドをくまなく探すNGG。翔陽は物陰からこっそり見ていたが、彼らのあまりの必死さに、つい吹き出してしまった。


「ん、そこに誰かいるのですか?」


 吹き出しただけで、リーダーの鮫島弘輝さめじまこうきに気づかれた。彼の耳は地獄耳なのだろうか。

 翔陽はしぶしぶNGGの前に出る。


「剣崎君でしたか。ちょうどよかった。実はある生徒がハンカチを落としてしまったようでして」


――そんなの知らねぇよ。


「この広いグラウンド。我々だけでは見つけ出すのは困難です。ですから、貴方にも協力していただきたい」


――え。今?


 どうやら翔陽だけが、この流れに付いていけなかったようだ。弘輝にどういうことか尋ねようとするも、


「みんな、剣崎君が協力してくれるそうだぞ!」


 話を聞く素振りなど見せず、しかも勝手に決めてしまった。


――どうしてこうなった。 こんな時に眼が使えたら……!


 翔陽の言う『眼』とは、彼の持つ未来眼ブルーアイのことである。これは彼の意図に関係なく突然発動するものであり、自分、もしくは相手に関する、少し先の未来が見えるという能力である。

 翔陽はため息をついたが、幸い昼休み中の予定は無かったため、手伝うことにした。


「あ、そうそう」


 今度は何だ。翔陽が振り返ると、弘輝はこんなことを言い出した。


「皆、もう一人手伝ってくれる人がいるみたいだ! これでより見つけやすくなったぞ!」


 NGGのメンバーが歓声を上げる。そしてこうも言った。


「手伝ってくれますよね? 鎌野君?」


 少しして、秀一本人が現れた。翔陽は驚いた。いつの間にそこにいたのか、そしてそれに気づくこの男は一体何なんだ、と。


「まさか気づかれるとは。鮫島、どうして分かった?」


「あなた方ともなると、他の人とは違うことがすぐに分かるんです。雰囲気というか、オーラというか」


 鮫島弘輝。彼は今後化ける。翔陽と秀一はそう確信した。





 昼休みも終わりに近づいた頃、目的のハンカチが無事発見され、すぐに持ち主に届けられた。依頼人が何度も何度も頭を下げてお礼を言う。

 依頼を終えて礼を言われるのは良くあるが、その度に弘輝は決まってこう言う。


「僕達は七神親衛隊。困った時は、いつでも声をかけてください!」


 今回付き合わされた翔陽と秀一は、彼らの活躍を再確認することとなった。





「鮫島さん! また新たな依頼です!」


「よし、今行く!」


 彼らの活躍は、まだまだ続く。

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