第5話 孤独の終わり
ダガーウルフから使える素材を剥ぎ取っている間、助けた
残った死骸を『
「よし、こっちの準備は出来た。場所を移すか」
「ああ…」
学園にある裏山の頂上付近に移動する。そこは人の気配が無くかつ近づかれても分かりやすいからだ。まあ、俺が地理を把握してないからってもあるんだがな。
「この辺で良いな。お互い自己紹介が必要だよな」
俺がそう言うと男も頷く。すると急に苦しみ出したように呻きながら…
…
…
はあ!!
「お前…
「む?…ウルフリング?とは何だ?」
参ったぜ。この世界特有の種族なのか?俺は『元いた異世界』にいた種族の話をしていく。話せば話すほど男は首をかしげる。
「初めて聞くことばかりだ。俺の変身は家系でな。と言っても変身できるのは親父と俺だけだった。俺たちは『何故、変身できるのか』『未知の怪物は何なのか』知りたくてこの島に来た」
「なるほどな。摩訶不思議な現象がこの島に集まってるらしいしな」
「噂と呼べるほどでもないがな。知る人ぞ知るってやつだ。…で、お前は何者なんだ?」
男は『そっちの事も教えろ』といった感じで腕を組みプレッシャーを当ててきた。…確かにここで答えないのはフェアじゃないな。それにコイツの事は信じても良さそうだ。直感でそう感じた。覆面替わりの布をはぎ取り名乗った。
「俺はツヴィン・ローディ。異世界から来た冒険者だ。目的はこの世界に混乱をもたらす『異世界の異物』の回収、または破壊だな」
俺がそう言うと男は何故か頭を抱えて呟いた。
「…普通なら『馬鹿な事を』と思うことだが…まさか『転校生』が魔法?を使う『異世界人』などと…すまん、少し考えさせてくれ」
「ああ」
こっちの世界の情報に乏しい俺は考えるほどでもないんだが相手はかなり混乱したらしい。折角だからと情報のすりあわせをした。で、わかったことなんだが…。
■彼らは自身を
■この世界に大々的に見つかると人体実験にされる可能性が高い(俺も含めて)。
■上記の理由により
■魔物は偶発的に現れる。基本この世界には存在しないはずなので見つけた場合は秘密裏に処理してきた。
■魔力の感知はできない。
■そもそも魔術師 (魔法使い等)は空想の産物で声高らかに言おうモノなら頭がおかしいか恥ずかしい事らしい (中二病という謎の病に侵されてると思われるとか)
結論、わからないことが増えた。以上。
まてまて、魔術師名乗ったら夢見がちな妄想ボーイと思われるとか…一番の情報を得た気がした。
…にしても
…
……
………
自分とその家族がなぜ、そのようなファンタジー系の物語の住人なのか彼を含め誰も知らない。ただ一人の親族である父親も今は行方知れずだった。いなくなる前に莫大な財産を残してくれたから今なお苦労せずに暮らしていけるわけだが…。
朝起きて顔を洗い身支度を整えると部屋を出る。いつもの食堂に向かいながら昨日の事を思い出していた。
【魔法を使う転校生】
自分と同じ異形の秘密を持つ人物に初めてあった。その彼の言い分も余りに突拍子のないものだったが信じている自分がいる。恐らく自身が彼と同じレベルの異形だからだろうか。
「よお、奈崎も朝飯か?」
正直かなり驚いた。自分に親しげに話しかけてきた人物は今まで居なかったのだから。声の主は件の【転校生】だった。一見考え無しにみえる俺との交渉もこの男なりに何かあるのかもしれない。ともかくは戦闘の技術を教わるとしよう。
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