第4話 異世界での初陣
ここ
ともかく俺はシャツの下に鎖帷子を着こんで『見た目は普通』を装った武装をして寮からこっそり出た。
雑木林の枝の間をヒュンヒュンと跳びながら走り抜けていくと裏山の山頂らしき地点に到着した。俺はポケットに突っ込んであった懐中時計を見ると夜の10時だった。ちなみにこの懐中時計は島に来て初日の露店商で買ったお気に入りだ。…っとと、俺は木の上から辺り一帯を見回す。これは明け方まで待つパターンか?そう思った矢先だった。
犬か狼の遠吠えのような声が聞こえた。野犬だろうか?凶暴化した野犬は人を襲う。ハズレかもしれないものを待つより当面の安全確保か?ともかく俺は声の発生源に向かった。
ドォン!ドォン!
強烈な打撃音が響く。これじゃまるで
そこにはDランク魔獣 ダガーウルフと
ちょっと待て!何でこっちに魔獣がいやがるんだよ!…あとで考えるか。そのダガーウルフは全部で5…いや、奥に2匹いるな。それに対し
「おい!厳しいなら手を貸すぞ!」
!!
「くっ…見られた!俺が気づかなかっただと…」
男は何やらショックを受けているが傷だらけの満身創痍にしか見えない。あれだけダメージを受けてなお立っていられるのはさすが獣人といったところか。
俺は『
「だから甘えぇって!」
回避ざまに2匹を斬り、そのまま走り抜け奥のボスに飛びかかった。
(『
人ならざる速度に2匹のダガーウルフは驚愕の顔を浮かべたように固まった。
…
ヒュン!と音をたてて剣の血を飛ばし布で拭き取りながら鞘にしまうと男を見た。男は呆然と立ちすくんでいる。
「お互い、敵じゃねぇと願いたいんだがな」
俺がわざと魔術を撃ったり剣で斬り飛ばしたりしたのは威嚇と牽制だ。相手は確かに身体能力で俺より優れている。だがこちらも相応の能力があることを誇示して対等な立場にもっていくつもりで見せつけたのだが効果はてきめんだったらしい。
「頼む!俺に戦い方を教えてくれ!」
土下座された。てきめん過ぎたようだ。
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