六節目

あの時の私はバカだったのだろう

私をゴミを見るような目で見てくる貴族が

私に情けをかけてくれると思っていたなんて


少し考えればわかったことだ

彼らが、私を売ろうとしていることくらい


簡単なことだ

白い髪に赤と瑠璃のオッドアイ

そりゃあ高くも売れる


この容姿を恨んでも意味ないとわかっているからこそ

貴族が憎くなってしまったんだ


私を買った人は

自分で選んだはずなのに

私を毛嫌いしてて


たくさん叩かれた


たくさん蹴られた


時には髪を燃やされることもあった


自暴自棄になるのが容易いような

そんな環境だった


でもある日見つけちゃったんだ

お屋敷の隅にある抜け穴を


ここから出られれば私は自由だ

そう思って飛び出した


逃げたかった、ずっと嫌いだったものからは

案外簡単に逃げることが可能で

私は自由になれて



でも元の生活に戻って、また





ひとりぼっちになっちゃったんだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る