63-5 悪夢の転校生(初瀬川雫、澪、百合姉妹の野望)


 雫……私の雫……大好きな私の妹……ずっとずっと好きだった。ようやく、ようやく雫と私は相思相愛になれた。二人の愛を確認した。これからずっとずっと続く永遠の愛を……



「お姉ちゃん~~」


「雫~~」

 今日も部屋でイチャイチャしている、、最近毎日イチャイチャ、昨日は私の部屋で、今日は雫のベットの上で、雫~~~


「お姉ちゃん大好き大好き大好き~~」


「雫……好きよ雫、ずっと、ずーーっと一緒に居ようね」


「うん、お姉ちゃん、チューする?」


「良いの雫?」


「いつも私が寝てる時にしてる癖にぃお姉ちゃん」


「し、知ってたの!」


「うん、うっすら目を開けてお姉ちゃんのキスが顔見るのが楽しかった」


「酷い~~」


「ううん、とっても可愛いかったよお姉ちゃん」


「もう……雫の馬鹿~~ああ、雫! 雫! 雫~~」


「ああん、お姉ちゃん~~」



####



[そして…………30分後]



「お姉ちゃん……」

「雫……」


 二人でイチャイチャした後に、私は雫をそっと抱きしめる。幸福の時間が過ぎて行く……でも……私は雫に言わなければいけない事があった。


「雫……もうすぐ私卒業しちゃう、寂しい……折角こんなに雫と仲良く出来たのに」


「お姉ちゃん……でも大学って家から通うんだよね?」


「あ、あのね……雫……私ね、一人暮らしをしようかなって……思っているの……」


「え?」


「ここから通えない距離じゃないけど……」


「い、嫌だよ! お姉ちゃん!」


「雫……違うの……来年二人で暮らす為に、雫を迎える為に先に準備をしようかなって」


「え!」


「来年二人で同時にだと父さんも母さんも怪しむでしょ……だから私が先にって……」


「お姉ちゃん……」

 澪は雫の髪をゆっくりと撫でる。髪を撫でられ雫の顔が恍惚な表情に変わる。



「でも、でも……心配……私が卒業したら、生徒会は綺麗な人ばかりだし」


「私……お姉ちゃん以外の女の人には興味無いよ、今日もまた一人凄く綺麗な人が来たけど」


「凄く綺麗? だ、誰!」

 私が居ない時に! ああ、全く卒業迄生徒会に通わないと駄目かしら。


「えっとね、なんかアンちゃんの婚約者とか、将来の相手とか言ってた」


「はあ? あいつまた女連れ込んだの?」


「うん……アンちゃんモテモテ……」


「ああ、益々心配、学校内じゃあ、あそこって長谷川ハーレムって言われているし、私の可愛い雫があいつの毒牙にかかるかもっていつも心配で、どうしよう留年しようかしら……」


「アンちゃんはそんな事しない…………でも……」


「……でも?」


「……あ、あのねお姉ちゃん!」

 雫はうつ向き少し考えてから顔を上げ、思い詰めた表情で私を見つめた。


「な、何?」


「私とお姉ちゃんって……ずっと一緒だよね? 来年から、ずっとずっと一緒に暮らすんだよね?」


「え? あ、当たり前よ、雫は私の物、もう誰にも渡さない」


「うん、私も……お姉ちゃんが大好き……凄く嬉しい……」


「それで?」


「うん……でも……ずっとずっと二人って寂しい気がするの」


「寂しい?」


「うん……ずっと二人、年を取っても二人きり……だ、だから……欲しいの……」


「欲しいって何を? 雫の欲しい物ならどんな物でも」


「本当!!」


「え? ええ、それで雫は何が欲しいの?」


 そう聞かれ雫は顔を真っ赤にしながらうつ向いた。そしてか細い声で言った。



「…………ちゃん」


「え?」


「赤……ちゃん」


「……は?」


「お姉ちゃんと私の……赤ちゃんが欲しい」


「ええええええええええ!」


「……」


「えっと……雫は……その……作り方は……知ってるの?」


「ああああ、お姉ちゃん私を馬鹿にして、高校生で知らない人なんていない!」


「ご、ごめんなさい……でも……だったら」

 

「うん……だから私とお姉ちゃんの子供として……私が産みたいの……」


「産みたいって……魚の産卵じゃあるまいし……どうやって…………し、雫! あ、あんたまさか!」


「うん……あのね……アンちゃんに頼んで」


「だ、だめ! ば、馬鹿な事言わないで!」


「でも……お姉ちゃんは男の子駄目なんでしょ?」


「そ、そうだけど……」


「私も嫌い……でも……アンちゃんなら……アンちゃんとなら、大丈夫な気がするの……」


「そ、そんな……事」


「お姉ちゃんお願い! 絶対にお姉ちゃんと一緒に暮らすから、アンちゃんは栞ちゃんに返すから、一度だけ、一度だけでいいから、目をつむって……」


「だ、だめ……だめ……駄目よ」

 一度だけって、そんな……私の雫が…………


「私の赤ちゃん……お姉ちゃんと二人で……」


「雫……」


 雫の欲しい物……それだけは私ではどうにも出来ない、でも……それだけは、雫があいつとなんて……じゃあ、どうすれば……


「雫……私が……私があいつと……」


「お姉ちゃん!」


「条件は一緒よね、もしそうなら納得出来る……の?」


「うん……お姉ちゃんの赤ちゃん……可愛い……赤ちゃん」

 雫が私をうっとり見つめる、私達の未来を想像して……

 雫とあいつがなんて私には耐えられない……なら……私が先に……





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