56-1 大人デート
久しぶりの放課後ティータイム、俺は自宅のリビングで妹とまったりとしながらコーヒーを飲んでいた。
ああ、やっと俺の日常が、穏やかな日常が帰ってきた。
「ねえお兄ちゃん」
「ん?」
俺好みに仕上げられたコーヒー、美味しい手作りレアチーズケーキ、ああ落ち着く……
「私達一応付き合っているんだよね」
「ああ、うん、まあ……」
あとこれでのんびり本でも読めたらもう言うこと無いな~~。
「じゃあさ~~」
「ん?」
「私達もそろそろ少しはエッチな事してもいいと思うんだよね」
「うぐう! ぐふぉ、ぐえぅげふぉ、げほ、ごほ」
コーヒー飲んだタイミングで言うって絶対にわざとだろ?!
「だ、大丈夫お兄ちゃん?」
「ぐえっふ…………し、栞……今……なんて?」
「え? だーーかーーらーー、私達もそろそろエッチな事を」
フキンでテーブルを拭きながら答える妹……やっぱり聞き間違えじゃなかったか。
「し、栞! ちょっとそこに座りなさい!」
「もう座ってるよお兄ちゃん」
「俺の横じゃなくて前に座りなさい」
「えーー私の指定席はお兄ちゃんの隣なの~~~」
「いや、えっと、じゃあちゃんと聞きなさい」
「お兄ちゃんの話しはいつでもちゃんと聞いてるよ」
「あ、うん、まあ……いや、そうじゃなくて……えっと、えーー」
「ん?」
「いや、えっとその、なんだ、え……な事って……」
「エッチな事?」
「いやいやいやいやいやいや」
「変かなぁ~~? だって私達付き合ってるんでしょ? 今時の高校生が付き合ってキスだけって逆に変じゃない?」
「変じゃない、いや、キスしてない! いや、俺達兄妹だぞ、兄妹として付き合うって約束だよな?」
「えーーキスしたよお、いい加減認めてよ~~、それに兄妹として付き合うって変じゃない?」
「何を言ってるか分からんが、だ、ダメだよ」
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「えーーーが長い、駄目な物は駄目」
「お兄ちゃん私に興味ないの!!」
「興味って……」
「だってベットのマットレスの下にある本の女の子達には興味深々なんでしょ!」
「う!」
そう、もう隠すの諦めた……かといって部屋に堂々と置くのもなんなんで元の取りやすい場所に……
「そう言えば、お兄ちゃん最近なんかゴスロリ系のエッチな本多くない? まさか……やっぱり美月ちゃんに興味が……」
俺の腕ぴったりとくっついている妹の身体が僅かに離れる……
「俺はロリじゃねええええええええええ! そして見るなって言ってるだろおおおおおおおおおお!!」
「ロリじゃなくても美月ちゃんの身体に興味がある時点でそれは…………」
「べ、別に美月の身体になんか興味持ってないもん、断じてないもん!」
「もんって……それにお兄ちゃんが持ってる漫画って中には小学生みたいな女の子を……その……しちゃう漫画だって」
「あれは18歳だ! そういう設定なのおお」
「なんで18歳がランドセル背負ってるのよ!」
「そこは突っ込んじゃ駄目な奴なの!」
「じゃあ、ロリじゃないなら、私の身体に少しは興味を持ってよおおおお」
「じゃあってなんだよ、じゃあって」
「だってえ、お兄ちゃん全然私に構ってくれないんだもん」
「構ってるだろ? 今だって」
「こういうのも大事だけど……もっと大事な事あると思うの、そろそろ私との関係で妹だからって前置詞は要らないんじゃない」
「前置詞って英語かよ My sister」
「だから妹はもういいの! ちなみにsisterは姉でもあるからyoungerかlittleを付けようお兄ちゃん」
「意味通じるから良いの、いやそうじゃなくて……そんな事言ったって、栞は妹だし」
「よし、分かったお兄ちゃん、私は要求します」
妹が姿勢をただし真っ直ぐ俺を見つめる……
「よ、要求? 改まって……な、何をですか栞さん……」
「学園祭の賞品と会長選挙のご褒美を要求します!」
「要求って……それで?」
「今度の休み、私を恋人としてデートに連れていって!」
「へ?」
「妹としてではなく、お兄ちゃんの恋人としてデートに連れていって!」
「いや、それは、前にも……」
「私が熱出して終わった奴の続きのデート、あれ以上のデートを要求します!」
「あれ以上って……」
「嫌なの? 私達付き合ってるんじゃないの?」
「いやまあ、告白受けて完全に別れたわけじゃないから、一応付き合ってる……」
「私は! お兄ちゃんの事が好きなの!、大大大好きなの!、お兄ちゃんになら何をされてもいいの!!」
「いやいやいやいや」
「お兄ちゃん、約束でしょ、なんでも一つ言うこと聞くって」
「いや、それは俺の出来る事の範囲でって」
「お兄ちゃんの出来る事プラス今回のご褒美迄で良いから!」
「プラスって」
「限界、越えてみよう!」
「いやいやいやいや」
「う、う、うえーーーーーん、私今回も頑張ったのにいいい、お兄ちゃんに敵認定迄されても我慢したのにいいいいい、お兄ちゃんの鬼ぃ、鬼いちゃん!」
妹は手を目に当ててベタにメソメソ泣き始める……いや、多分これはいつもの奴……
「いや、それ駄目な呼び方だから」
「うえーーーーーーーん、お兄ちゃんのばかああ、鬼、人でなしいいい、鬼畜、ロリコン」
「なんだよ最後のは関係……わ、分かった、分かったから」
「本当!」
「やっぱ嘘泣きかよ……涙で出てないし……分かった、分かったから、今回は本当、栞には悪いことしたと思ってる、凄く助かったし……分かったよ俺の俺達の出来る限りの事迄なら」
「限界越えようお兄ちゃん!」
キラキラと目を輝かし俺を見つめてガッツポーズをする妹……
「どこの修造さんだよ!」
「一線越えようお兄ちゃん!」
「それは越えない……、まあ、そうだな、最近デートしてないし、じゃあちょっと大人のデートって奴でもしてみるか……」
「本当! やったあ、お兄ちゃんと大人デート、えへ、えへへ、えへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ」
「おい、栞?……ああ、これも久し振りだな~~栞の異世界行き……まあ、ある意味日常が戻って来たって事か……」
俺と妹……栞との大人デート、大人デートって言っても、まあお酒は呑めないし深夜には出歩けないし、何をすれば良いんだろう?
栞の妄想同様に俺も思案の海に沈んで行く……
この辺は本当似たもの同士、やっぱり……兄妹なんだよな~~~
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