50-5 学園祭
おいおい学園祭どこ行った
学祭準備よりもまず、妹と二人きりの生活の方が大事、今日はその初日、そんな大事な日に……お前か……
「いやあ、色々調べましたよ~~学校は教えてくれへんから、皆に聞いてようやく、いやあ、栞氏は凄いですな~~皆知ってたよって、以外に簡単でしたわ」
「それでここを知ったのか……」
「セシリー、それっていけない事だよ! そんな事したら駄目です! 私怒るよ!」
おっと、いつも優しい妹が結構な感じでセシリーに言い寄った。
「でもお、何度も行きたい言うても栞氏教えてくれへんさかい、わて寂しくて、寂しくて……、こっち学校に来たのやて……栞ちゃんとお知り合いになったからやし……そんな冷たくしなくても…………じゃあ……帰ります……ごめんなさい……」
セシリーは、とぼとぼと車に戻る、そんな姿に何も言えず俺は妹の顔を見た。
妹は一度俺を見て、はああああっとため息を吐く、そしてセシリーに向かって言った。
「あああーーーもう、分かったから……、今からお兄ちゃんと、ご飯食べにいくんだけど、セシリーも一緒に行きましょう、家は色々あって散らかってるからまた今度ね!」
「ひょええ? 本当? いくいくいきますうう、ああああん行っちゃううう」
「おいおい」
セシリーはスキップしながら妹に近づき腕に抱き付く
「はああああ、栞ちゃんの匂い、良い香り~~~」
腕を抱き、首筋に顔を寄せクンクンと匂いをかぐ……
「ちょっとセシリーやめて」
「はあああああああああああああ」
「お、おいセシリー栞が嫌がってるから……」
「は! すまんこって、お兄様、つい……それでお食事会はどこへ?」
お兄様って……まあいいか、えっとお食事会……うーーんどうするか、セシリーってかなり良いところのお嬢様だろ、変な所には連れて行けないよな~
「うーーーんどうするか」
俺が悩んでいるとセシリーが俺のそんな姿を見て提案してきた。
「行くところ決まってないんでしたら、うちとこで食べません?」
「え、ええええええええええ? 大使館でか?」
セシリーは大使の娘、当然家は大使公邸なはず。
「あ、イヤイヤ、別宅ですな、大使館はちょっと物々しいので、わては他に住んでます」
「へーーーそうなんだ、栞どうする?」
「うん……いいよ」
「ほんまですか! 栞殿をうちとこに呼べる何て夢のようだす、ではいきませう」
そう言うとセシリーが車の方に歩いて行く、セシリー近づくとスーツ姿の運転手の女性が降りて来てドアを開け、セシリーが乗り込む。
俺と妹は目配せをして、セシリーの後に続き車に乗り込んだ。
初めて乗る高級外車、3人並んで乗っても広々している。
俺と妹がキョロキョロしていると、セシリーが言った。
「すぐ付きますよ、少し我慢してお乗りくださいね」
えええええええええええええええええええ!
ちょ、喋りが普通……俺と妹はびっくりしてセシリーを見る、セシリーはこっちを見てニコリと笑い、凄く良い姿勢でそのまま前を向く。
な、なんなんだ?
今のセシリーの話し方に疑問を抱いたまま何も言えずに30分程経過。
大きな門の前で一度車が止まる。
監視カメラに手を上げる運転手の女性、瞬時に自動で門が開き車がそのまま中に入り、少し走ると家が見え、程なく家のエントランスに到着した。
「うわーーーーーー」
俺と妹はその家を見て声を上げた。
着いたのは都内某所、少し古い感じの洋館……もう門からここまでで、長谷川家の数倍の大きさ、やっぱりお金持ちって居るんだな~~と思わされる。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
玄関からメイド服姿の女性が数人が外に出て車の横で挨拶をしている。
一人じゃない数人がだ……しかも車の到着と同時に……、そのうちの一人が車のドアを開けた。
「お邪魔します……」
最初にセシリーが降り、俺と妹が続いて車から降りると、少し慌てて一人のメイドがセシリーに話しかける。
「That's just fine」
何か言われて、セシリーがそう言っているので、俺は妹を見る……
「問題ないって」
妹がそう言う、えっとなんとなくは分かってるよ俺だって……勿論……
「さあどうぞ、食事の準備はすでに出来ているそうです」
セシリーそう言うと家の中に入って行く……もう何が何だか……
玄関から廊下が既になにこれって言うくらいの大きさ……広さ、キョロキョロ見回しながら、そのままセシリーついて行くと……さらに映画でしか見た事の無い大きさの食堂、絢爛豪華なその食堂には当然ながら大理石がふんだんに使われている。
「さあどうぞお座りになってください」
セシリーそう言ってメイドが引いた椅子に座る。
俺達も一緒に座ると、すぐにスープが運ばれて来る、早!
「制服で良いのかな?」
そう思いつつもスープを一飲み……うま!
「お口に合いましたか?」
笑顔のセシリー、えっとそろそろ突っ込んでいいかな?
「あのさ……普通に喋れたんだセシリー」
「普通? えっと何の事ですか?」
「いや……大阪弁って言うか……学校だと変な喋り方だよね」
「え? 日本ではキャラを作らなければと聞いたのでああいうキャラにしたのですけど? ひょっとして……自宅でもキャラを演じ続なければならないのですか?」
「そんなわけあるか!」
「そうですわよね、そこまで……でも、お兄様はいつもと一緒ですけど?」
「いやえっと、まあ」
ああ、何て言えば、確かに作ってる奴もいるけど、居るんだけどえっと
「素晴らしいですわね、私も見習わなくては」
「いや、あのね」
「お嬢様」
俺が正しい事を言おうとすると最初にセシリーに話しかけたメイドが再びこそこそと何か言っている。
「What did you just say?」
今度びっくりしている様子……妹を見る。
「何ですって?って」
いや、まあわかるよ、そうじゃないかなと……って言うか……何かあったのか?
「お兄様、申し訳ありません、ちょっとこっちに」
セシリーは立ち上がり俺の手を取る、ええええええええ!
「何だ、何かあったのか?」
「お兄ちゃん!」
俺はセシリーに手を引っ張られ廊下に出る、後ろから妹が付いてくる。
すぐ近くの部屋に入ると扉を閉め明かりを付ける、寝室? えええええええ!
「お兄様、申し訳ありません、急いで制服を脱いで下さい」
「は、はああああああああああ?」
「セシリー! な、何を言っているの?」
一緒に来た妹がセシリーに詰め寄るとそれを無視するかの如くセシリーが制服を脱ぐって……ええええええええええええ!
「ちょ、ちょっと待てセシリー一体」
「急いで! 栞様も早く脱いで下さい、そしてこれに着替えて!」
下着姿のセシリーがクローゼットから服を3着出す、えっとこれって……ドレス?
パーティーとかで着るドレス3着……ちょっと待て……え? 何? 俺も?
「お願いします、急いで下さい! hasten!」
セシリーがそのドレスを着込む、俺は妹を見ると妹も制服を脱ぎ始めるっておいおい……
「お願い、please」
必死の形相で俺を見るセシリー、仕方なく俺も制服を脱ぎ始めた。
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