50-4 学園祭


「ああああああああああああもうううううううう」


「ど、どうした栞!」

 生徒会を出て家に帰る途中、突如妹が発狂する……


「ううう、またお兄ちゃんのハーレムがまた一人増えたああああああ」


「だからそんな組織は存在しないと何度言ったら」


「ふええええええええええん、やっぱり思った通りになったああああああああ」


「思った通り?」


「お兄ちゃん高校に入ったら絶対にモテるって」


「何か前にそんな事を言ってたけど、そうなのかな?」

 ぶっちゃけはっきり告白されたのは3人だし、妹を含めて勘違いなんじゃないの? って正直思ってる。

 

 だって俺を好きっていう理由を聞くと、俺を買い被りすぎているとしか思えない理由だし。


「お兄ちゃんの魅力って外見じゃないの! 子供には絶対に分からない魅力なの!」


「まあ、そう言われると悪い気はしないけど、でもある意味外見は悪いって言われている様な」


「お兄ちゃんの外見は悪くはない! でもそんな事じゃないの……お兄ちゃんの魅力はお兄ちゃんだからなの!」


「言っている意味が全くわからない」


「と、に、か、く、これ以上ハーレムを大きくしないで」


「だからしているつもりも無いし、そもそも存在して無いから」


「とりあえず、麻紗美ちゃんと美智瑠ちゃんは現状で満足している感じだよね、やっぱりこないだお兄ちゃんとデートさせて上げたのが効いているのかな? やっぱり美月ちゃんがお兄ちゃんの趣味としては一番危険だったけど当面こっちには来ないと思うし、会長は幼児モードじゃなければお姫様としての自覚が邪魔するし、白井先生はまだ余り自覚してないし、セシリーはとりあえず今の所私に興味を向けさせているし、後は苺ちゃんに…………」


「なんか、怖いセリフがポロポロ聞こえてるんだけど、させて上げたとか、向けさせているとか、そもそも俺の趣味で何故に美月が一番なんだよ!」


「お兄ちゃん! 自覚の無いロリコンは一番危険何だからね!」


「俺はロリコンじゃねええええええええ!」


「お兄ちゃんが毎晩美月ちゃんと電話で話しているのを私は知っている……私はお兄ちゃんの事なら何でも知っている……」


「怖!」


「お兄ちゃん、今日から私との新婚生活が始まるんだから、女性関係はキッパリと精算してハーレムは解散してください!」


「いやいやいやいや、もう何処から突っ込んでいいのか分からないよ、そもそも新婚生活じゃないし、精算も何も俺は誰とも付き合ってないし、ハーレムもないし…………あれ? 今、今日からって言った?」



「うん、今日からお兄ちゃんと私の新婚生活がスタートするんだよ、ああ、今晩遂に初夜を迎えるのねお兄ちゃん」


「迎えないって……え、ちょっと待って、父さん週末からって言ってたから分かるけど、母さんは?」


「今日昼に引っ越しの荷物運んだんだけど、『あはははは、荷物運んだらこっちで寝るところ無いじゃない、めんどくさいから母さん一緒に行くね』って今日から行っちゃった」


「また適当だああああああああ!」


「まあ、お母さんだからね、だから今日から二人きり、えへへへへへへへへへへ」


「マジか、今日からか」

 妹はボーッとしながらも歩いている、空想と言う名の異世界にまた旅立っている、ヤバい今日から空想が現実になりかねない、いつもは父さんか母さんが帰って来ると言う保険と言うか歯止め見たいな物があった、要するに妹がどんなに迫って来ようとも俺が耐えて居れば両親のどちらかが帰宅と言うタイムアップが必ずあった、でも今日からは時間無制限の勝負になるって事だ。


「ブレーキの無い車か……」

 それがどれだけ怖いか、運転したことの無い俺にはまだ分からない。


「そうだお兄ちゃん、お買い物行こうよ~晩御飯何が食べたい?」

 妹が現実に戻って来るとそう提案する。


「あーー、だったら今日は何か食べに行かないか?」


「ええ! 二人の門出を祝ってお兄ちゃんとホテルのレストランでお食事……そしてその後はバーでお兄ちゃんとの甘いひととき、お兄ちゃんはシャンパンを片手に『栞との二人きりのこれからに乾杯』って言ってくれて、私はお兄ちゃんを見つめながらシェリー酒を一飲み『あ、少し酔っちゃった』って言うの、優しいお兄ちゃんは『じゃあ休んで行くかい?』そう言うと鍵をそっとテーブルに、ああお兄ちゃん最初から……もう私をお酒に酔わせてお兄ちゃんにも酔わせて、わ、る、い、ひ、と」


「声出てる出てる、なるほど栞の異世界ではそう言う展開になっているんだな、まあホテルのレストランからして行かないから、バーとか未成年だし、最初から部屋の鍵ってどんだけ金かけてるんだよ」


「えーーー初めては高級ホテルでしょ、だから食事に誘ってくれたんじゃないの?」


「俺が作るのめんどくさいだけだよ、一緒にやるって言った初日から栞に任せたらこないだのやり取り何だったんだ? って事になるだろ」


「そうか……今日から一緒にお風呂だ!」


「入りません」


「えーーーーこないだ入るって言ったのにいいいい」


「言ってない言ってない……ってスマホを出すな、とりあえず近所にしよう、焼き肉かファミレスか」


「もう……お兄ちゃん焼き肉なんて……そんなに最初から精力付けて、私壊れちゃう」


「そこまで言うとオヤジのセクハラ発言と一緒だから止めとけ、栞は人気者なんだから、そういう事を言ったら友達減るぞ」

 まあ、少し減ったから何だってレベルだけど……


「私はお兄ちゃん以外には興味無いから別に人気とか要らない、お兄ちゃん以外の好意は遠慮してます」


「好かれて迷惑ってどんだけだよ……あ、そう言えば今日はセシリーあっさり帰ったな、ここの所毎日家に遊びに行かせろってうるさかったのに」


「好かれて迷惑からセシリーを連想するってお兄ちゃんも大概酷いけどね、まあ確かに今一番迷惑だけどね……でもセシリーがお兄ちゃんの魅力に気付いたらかなり危険だからタゲは常に私か会長に向けておかないといけないから仕方ない……」


「タゲって、栞ネトゲとかやってんのか?」


「うん、たまにアートオブドラゴニアってゲームやってる、最近リンちゃんって言う人とお友達になったの、そうそうお兄ちゃん、その人兄妹で付き合ってるんだって! やっぱし居るんだね私達以外でも」


「ネットでの話しを信じるんじゃありません、まあとにかくセシリ……」

 家の前になにやら黒塗りの高級外車が止まっているのが見える……、見慣れないナンバープレートを付けている……外って確か外交官ナンバーって奴だっけ?……まさか


 そう思っているとその車の後ろの扉が開き人が降りてくる…………やっぱか


「栞殿~~~~~、来ちゃった……えへ」


 セシリーが俺達の前でテヘペロをしている。


 俺は栞の顔をそっと横目で見ると、ああ、言えない言ったらマジで栞のファンが減る……


 そうそう、いい忘れてましたが……実は今日は二人きりになるって聞いた日から一週間経った金曜日です……ごめんなさい。




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