50-3 学園祭


 結局セシリーが金と権力に物を言わせ、こちらを手伝うと言う事になった。


 会議を続けるべく皆席に着く……ちなみにセシリーは危険なので一番端に座らせ、その横に先生を座らせた……セシリーが先生の腕をさわさわしてるけど…………見てないぞ。



「えっとそれでは改めて7人で学園祭で何をするかを」


「7人……ちょっと待って、えっと……私も入ってるの?」


「まあ、顧問なので……駄目ですか?」


「まあ駄目じゃないけど……そう……」


「はい……では……改めて、えっと何をするかと言う…………話しを…………えっと……何を……………………」

 

 ん? 何か会長の様子が……大丈夫か?



「に」


「に?」


 会長が一旦下を向き、少し震えた後に顔を上げ、子供の様な満面な笑みで俺を見つめながら叫んだ……



「にいに~~~~~♡」

 


「ええええええええええええ」


 お誕生日席に居た会長がその横の俺に、にいにと叫びながら腕に抱きつく。


「え、え、ええええええええええ」


「か、会長!」


「お兄ちゃん!」


「にいに~~にいに~~~」

 えええええええ、会長がまた幼児化してるうううううう! なんでええええええ?


「ちょっと待てちょっと待てどういう事?」

 俺が戸惑って居ると先生が冷静に言った。


「あーーーーこれか……」


「これって、ちょ、先生何か知ってるの?」


「うん……なんかこっちに戻って来た時に、会長がまだ精神的に不安定なのでって言ってたんだけど」


「いやいやいやいや、これって不安定何てレベルじゃないでしょ?」


「うーーーん、なんか気が張ってる時は平気なんだけどって言ってたけど、今リラックスしてるって事なんだろうけど……困ったわね、議長がこれだと会議が進まないわね」


「いやいやいやいや、心配するところ……そこ? それよりこの会長どうなっちゃうの?」


「ほっとけば治るんじゃない?」


「いやいやいやいや」


「お兄ちゃん! 何デレッとしてるの!! 離れて」

 俺の隣の妹が腕を引っ張る、いやそっちの腕引っ張っても反対側の会長は離れないだろ?


「にいに~~~♡」

 会長が俺に腕を抱き肩に頬をスリスリする……く……可愛い……


「えっと……離れてくれって言って離れてくれるなら、前の時にとっくに離れてるって」


「で、では、わたくしに、葵殿、わたくしの腕にぜひいいいいいい!」


「いやいやいやいや、セシリーまでこっちに来るな!」


「き、君はまたそんな、ハレンチな事を! 一体君って奴は自分がどういう立場なのか分かって居るのか!」


「あああ、めんどくさい! 美智瑠が一番めんどくさい」


「め、な、何おおおおお!」


「………………」


「あああ、また麻紗美が殻に閉じ籠ってる、麻紗美~~! その技最近使い過ぎてるぞ、帰ってこれなくなるぞ~~~!」



「ねえねえ、にいにってばああ、あ!、にいに、今日のチューーはまだだね、はい、チューーーーー」


「ぎゃああああああああああああああ」

 会長が俺の……いや、ほっぺだぞ、ほっぺただからなっ!



「ああああああああああああああああ、お、お兄ちゃんんんんん! 私もおおおおおおおおお!」


「ぎゃあああああああああああああああ」

 ここでするなーーー皆の前でするなああああああ!



「ここここ、こんな所でまた、き、キス、ずるい、あ、いや……き、君って奴はあああああああ」


「あああ、う、怨めやましい……せ、拙者、拙者にも接吻、栞殿と葵殿の夢のツートップ接吻おおおおおおお」


「……………………」



「なんだよこの次に続くって感じは、まだだよ!」





 そして30分後……


「えっと……あれ? みんなどうしたの? なんか疲れてる様な?」

 ああ、なんだか良くわからないが、突然会長が元に戻った……はあ……助かった……


「あんたのせいだ、あんたの!」

 ぐったりしながら俺が言う。



「え? 私が? 何で?」


「会長! 会長は、お兄ちゃんの事好きなんですか!!」

 俺の腕に絡み付いていた妹が立ち上がり会長を指差す……また始まった……


「え? えええええええ? 栞さん、急に……何?」


「今、会長お兄ちゃんにキスしたじゃないですか!」


「え? ええええええええええええええ?」


 会長は先生の方を見ると、先生が頷く。


「あちゃーー、なっちゃったか~~~」


「なっちゃた?」


「うん、イギリスに行ってる時に2、3回幼児化になってたらしいんだけど……」


「らしい?」


「お兄様がそう言ってたけど、私はその時の事は記憶にないんだよね~~、この間こっちでなった時の記憶はあるのに、変だよね~~」


「だよね~~じゃないよ!」


「うーーん、でもイギリスに行った時は、お兄様の前でだけなんだよね……やっぱり安心しちゃうんだね、お兄様と……にいにの前だと、えへ」

 金髪美女のテヘペロとか……可愛いけど……


「えへじゃねえよ!」


「あああああ、また……また、お兄ちゃんのハーレムが増えた~~、もうこれ以上増やさないでーーー! お兄ちゃん! やっぱり生徒会手伝うの止めようよおおお、クラス演劇で私と熱いラブシーンをしようよーー!」


「やらないやらない」

 俺は首を振る、まあどっちにしろ大変には変わりないけど、少なくともこっちなら妹の好き放題には出来ないだろうからな。




「あのぉ、今更、凄くどうでもぉいいかもぉ知れないんだけどぉ……」

 麻紗美が、意識を失って事を過ぎるのを待つと言う必殺技から帰還するなり、何か言い始める。


「ん? どうした?」


「うん、あのねぇ、そろそろ下校時間だとぉ思うんだけどぉぉぉ」


 麻紗美に言われて時計を見る…………え?


「あ、あああああああああああああ!」



 結局初日は思った通り何も決まらないままに終わってしまった……


 (だって本当に決まらなかったんだもん……)





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