46-6 葵の行く末


「まいう~~~カレーまいう~~~」


「ヘイヘイ……なんて娘だよ」

 栞を隣に座らせカレーを頬張るえっとなんだっけエリザベスじゃなくてイギリス大使の娘セシリー、しかも某国ってぼかしておいて、次で思いっきりイギリスって言っちゃうし……


「セシリーは栞を知ってたんだ?」


「ええ、そうどす、栞氏は有名やって、うちの学校にも何人も信者がおるさかい、写メを見せてもろたら偉く可愛いくて、紹介せいやと言ってたとこデース」


「だから凸はやめて……」


「栞氏は可愛いな~~カレーの次は栞も食べてもええ?」


「駄目です!」

 食べるな!


「お兄ちゃん……」

 俺を見て嬉しそうに微笑む妹……


「ほへ? お二人は確か兄妹でしたな」


「いかにも」

 なんか俺まで喋りがおかしくなってきたよ


「妹氏に焼きもちとは、ラノベ的展開なのでは? 妹魔王がこんなに可愛くてお兄ちゃんは愛さえあればいい劣等先生みたいなお二人でっしゃろか?」


「どんな展開だよ! しかも良く知ってるな!」

 いくつあった?


「セシリー、あのね私とお兄ちゃんは付き合ってるから~~」


「マジですか! それは禁断の愛的展開って事ですか? これは……」

 そう言うとセシリーはカチャリとスプーンを皿に落とすと下を向きプルプルと震えだす……え? 泣いてる


「くっくっくっく…………詳しく!! ケイダブリュエスケイ、詳しく!」


「えーー? じゃあ今から私とお兄ちゃんの愛の物語を最初から語ってあげようか~~えっと私が物心ついた時に~~~」


「語らなくていいから! 何処から語る気だよ!」


 何時間掛ける気だよ、ほら美月も先生も美智瑠もドン引きしてるじゃないか。


「日本はそもそも禁断の愛から作られた国やってん、禁断の愛……いい響きやね~~」


「それはもういいから……」


「You言うたかなお主、わたすも、お兄ちゃんと呼ばせて頂いてもよろ?」


「何でだよ!、あとなんか俺の名前の発音おかしくなかったか?」


「えーーだって私と栞氏が付き合えば、必然的にyouは私のお兄ちゃんになるぞよ?」


「……………………お前……栞狙いか……」


「え? 私付き合わないよ? だってお兄ちゃんと付き合ってるから」


「いや、今は付き合って無いから……」


「じゃあ栞は私と付き合っててもよいわけですな?」


「嫌!、ねえお兄ちゃん! そろそろいい加減に私が好きな事を認めなよ」


「いや、好きだけど兄妹だし」


「そうだよ、お兄ちゃま、そろそろ結論を出した方が良いんじゃない? 美月の事好きって言ってくれたでしょ?」


「そうだ! 一体君は誰が好きなんだ! 僕の告白は一体どう考えてるんだ!」


「いやだから俺は栞が好きなんだって……」


「お兄ちゃん!! 嬉しい……さあ、お兄ちゃん今日は一緒のお布団で」


「えええ、だ、駄目よ……先生兄妹でそう言うのはよくないと思う……あと小学生とかも……ねえ裕君……年上とかってどう思う?」


「どうって……、どういう意味かわかりませんが、とりあえず先生は俺の中で年下です」


「え! そうなの、じゃあ年の事考えなくてもいいのね?」

 言ってる意味が分からないが、少なくとも美月と同級生くらいの感覚です。

 そして俺はロリじゃない!!



「お兄ちゃま、一緒のお布団で寝たし、一緒にお風呂に入ったし、ファーストキスもあげたし、美月……責任取って欲しいな~~」


「み、美月! 人聞きの悪い事を言うな、そして脅すな」


「き、ききき、キス!! 小学生とキスまでそして風呂? ひいいいいい」


「美智瑠落ち着け! 相変わらずそう言う事に弱いな」


「Youはモテモテですねえ? やはり栞氏はわたくしとお付き合いするのがいいのデース」


「お兄ちゃん、私が一番なんでしょ!!」


「お兄ちゃま! 私でしょ!」


「えっと裕君年下なら……」


「しょ、しょ、しょじょじ、しょじょじのにわわ」


「ああああ、もう一体なんなんだああああああああ!!」



 このカオスな状況に俺が耐えられず大声をあげた、その時リビングの扉が開き麻紗美が入ってくる。



「ちょっとぉ、なに騒いでるのぉ? せっかくぅ葵ちゃんがぁ寝たのにぃ、起きちゃったよぉ」


「え? ああ! ごめん麻紗美」

 そうだった隣で麻紗美が会長を寝かしつけていた事を忘れてた……


「えっとぉ?」

 麻紗美はセシリーを見て首を傾げる。


「うお、また可愛い娘さんが! やはりここは天国でっしゃろか? セシリー言いますお見知りおきを~~」


「ああ、酒々井麻紗美ですぅ」


「麻紗美ちゃんか~~、巨乳やね~~、栞に麻紗美、巨乳に美乳……うーーーーんどっちがエエかな~~悩む」


「麻紗美まで……」


「しかし……将来を考えてここは……ロリにしておくのも悪くない手かもですね……」


「ロリって……」

 本当のロリは一人しかいないけど……



「にいに、まだ~~?」

 麻紗美の後ろから、ロングTシャツで目を擦りながら会長が俺に声を掛ける。


「あ、ごめん、起こしちゃったか」


「うおお! 金髪美少女まで! やはり天国でした…………あれ?」


「ん?」


「さっきこの娘の事、あおいって言ってなかったどすか?」

 

「ああ、那珂川 葵だけど?」



「なかがわ……………………ああああああああああああああああああああ!!」



 今度はセシリーが大声をあげる、なんだ?


「ケイの妹じゃんかああああああああ!! 超美人になって、て言うか…………生きてたんだ……」


「ええええええええええええええええええええ!」


 最後はあっさりと……でも遂に、にいに、にたどり着いた……


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