20-4 夏休み、海、水着!!


 羽田から3時間ちょっとのフライト、飛行機が高度を下げる始めると、石垣島が見えてくる。

 今まで見ていた海とはまったく違う青さに、我を忘れる程に見とれてしまう。


 離陸程怖くは無いが、やはり着陸の時は歯をくいしばってしまう。

 妹はそれでも俺の手を笑顔で握ってくれていた……


「おおーーー暑いけど、結構からっとしてるなーー!」

 美智瑠が大きく両手をあげて、太陽の光を浴びている。

 銀髪美少女な上に、ヘソだしルックのお腹がさらにめくれあがり、ただでさえ目にとまる白い肌がさらに俺の目を釘付けにする。


「ぎゃあ!」


「さあ、いくよお兄ちゃん」

 妹が持っていたキャスター付きキャリーバックで俺の足を踏みつつ前を歩いていく。

 本日二回目、ああ、こうなるのは分かっていたけど、見ちゃうだろー

 さっきの飛行機の中とは大違い。


 いや、だからこそか……



 空港到着が既に夕方近かった為に、観光には遅いし、買い物するには、荷物が邪魔となり、結局ホテルに向かった。

 石垣島は電車が無い、移動は免許が無い為、バス、又はタクシーになる。

 ホテル行きのバスに乗る、途中道沿いに見える、青い海と珊瑚礁、めんそーれー、の看板、椰子の木に南国気分がどんどん高まる。


 しばらくすると大手航空会社の系列、三角形の形をしている石垣でもトップクラスのホテルに到着した。


「す、すげえ、ここなんだ」

 写真やテレビでなんとなく見たことのあるホテルに感動し麻紗美に感謝した。


「じゃあぁ、わたしぃチェックインして来るからぁ、みんなはぁここでまっててぇ」


 麻紗美はそう言うとフロントに向かって歩いていく

 シーズン真っ只中とはいえ、やはり平日それほど人は多くないがやはりフロントは若干並んでいる。



 広いロビーで若干緊張をして待っていると、麻紗美がフロントから戻って来る。



「チェックイン終わったよぉー、案内の人がぁ忙しいからぁ待っててくれって言われたけどぉ、大丈夫ですってぇ言っちゃったぁ、鍵渡すねぇ、はいゆうくんとぉ栞ちゃんのぉお部屋の鍵ぃ」


 そう言って、1枚のカードキーを渡された。


 ……え?一枚、妹と俺?


「じゃあ、とりあえずどうする?ビーチに行くかい?」

 美智瑠が今後の予定を確認する。


「えっとぉ、ディナーの時間がぁ早い時間しかぁ空いてなくてぇ、もうすぐなんだぁ、だからぁお風呂先にぃ入ってぇ、晩ご飯だねぇ」


「そうか、じゃあ水着披露は明日だな!、お風呂は温泉とかあるのか?」


「えっとねぇ温泉はないけどぉ、大きなバスとサウナがぁあるよぉ」


「よし、じゃあ皆で行こう、といってもゆうは一緒には入れないぞ……どうした?」

 美智瑠と麻紗美が会話している間、俺は妹を見続け、妹は俺から目線を反らしてニコニコしていた。


「いや、二部屋なんだって思って……」


「ペアチケットにぃ足したからぁ二部屋になっちゃうんだぁー、でも4人部屋だったらぁゆうくんはぁ誘えないよぉ」


 そりゃそうだ、しかも俺がいるから妹以外とは一緒の部屋になれない、でも妹と一緒の部屋、マジか……


 4人で部屋に向かう、部屋は同じ階だが離れていた。

 エレベーター前で反対側方向になるためそこで一度別れる。


「じゃあぁ、後でお部屋にぃ迎えに行くねぇー」


 そう言って美智瑠と麻紗美は廊下を歩いて行く


「さあ、お兄ちゃん行こう」


 俺の手からカードキーを奪い取り、部屋の方に歩いていく。

 まだだ、ここでは騒げない……

 俺は黙って後を追う……


 妹がカードキーを差し込み扉を開け中に入る

「うわーーー凄いーー広いーーーー」


 入るなりそう言って部屋の中に駆けていく

 扉がかチャリと閉まった音がした……


「し、し、し、しおりいいいいいい、お前が言ってたのはこれかああああああああ」


 夕陽のオーシャンビューを背にこちらを振り向いた妹が、満面な笑顔で舌をチョロッと出す。


「だってぇしょうがないでしょー、あ、お兄ちゃん麻紗美ちゃんと二人がよかった?」



「いや、そんな事出来る訳が、いや、でも……」


「えへへへへへ、私たち兄妹だもんねーー」


 兄妹が同じ部屋に泊まる、倫理的に問題は無いが、それって俺たちに当てはまるの?、いや別に俺が妹に手を出すとか、そういう事じゃ無いんだけど、あれ? そうか、だったら別に良いのか、え?でも……


 そんな事を考えていると、妹が荷物をごそごそやり始める。


「ねえ、お兄ちゃんホテルだから浴衣とか無いよねー、あ、そもそも部屋の外は浴衣とかで歩いちゃダメか、お風呂どうしよっかなー、とりあえず着替えかー、ブラと、パンツと、Tシャツとスカートでいいかー、でもディナーってレストランだよねーあんまりラフな格好だとダメなのかなー?」


 俺の目の前でカラフルな下着や、スカートを取り出す。


「いやいやいやいや、ちょっと待て栞、もう馴染んでるけど、てか、恥ずかしくないのか下着とか出して……」


「え? お兄ちゃん興味あるの?、はいこれ今日の下着ねー可愛いでしょ、このリボンが特に可愛いんだよー」


 妹が俺にピンクのショーツを開いて見せつける。


「いやいやいやいやいやいやいやいや、見せんでいい」


 そうこうしていると部屋のチャイムが鳴ってノックの音がする。


「あ、麻紗美ちゃん達来ちゃった、お兄ちゃんは?」


「ああ、俺は一人だし部屋のでいいや、行っておいで」


「はーーい、じゃあ行って来るねー」

 妹はそう言って3人で大浴場に向かった。


 一人ベットに腰かけた俺は、反対側のベットに置いてある服や下着を見ながら思った。

「ああ、まじか、だから気乗りしなかったんだよー」


 明日からどころか、今夜から始まるこの気の置けない状況……



「はあ、家でゆっくり本でも読みたい……」






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