14-1 二人きりの夜
父はいつも遅い、遅いは遅いが、毎日帰っては来る
土日は、一日寝ているが。
母は看護士の為、夜は居たり居なかったり
夜勤の日は当然居ない。
いつものリビングでの放課後ティータイム、このフレーズいい加減やばいかな?
妹がウキウキしながら話し始める。
「お兄ちゃん、今晩二人きりだねー」
「え?そうなの?父さん帰って来ないんだ、そういえば母さん夜勤だろ?なんで今いないんだと思ったんだけど、なにかあったの?」
「うん、お父さん出張だって、で、お母さんがなんか泣いてた」
「泣いてた?!」
父さんが出張で母が泣く?泣くかあの母が?
「なんかこないだ しおりいい、お母さんの病院3交代制から2交代制になるのおおおたすけてえええって」
いきなり母親の物まねを身振り手振りも加えてやりだす、妹うますぎ。
「はは、似てる、ところで、2交代制って何?」
「え、お兄ちゃん聞いてないの」
「ないね、相変わらず俺には何も言わない、おれは家でもぼっちか…」
学校と家でぼっちとか何?俺もう生きていけない…
「私がいるからボッチじゃないよ~~、2交代制ってなんか仮眠が入って12時間以上働くとかなんとか」
「12時間以上?、へーー労働基準とか平気なのかな?」
「仮眠があるから平気なんじゃない?」
「軽いな、で今日は夜勤なのか」
「つまり、お兄ちゃんと私の二人きりの夜、えへへへへへへ」
また違う世界に行ってしまう
「またか、おーーーいなんにもしないぞー別に」
「えーーー、しないのーーー」
一瞬で戻って来て手をグーにし、がんばるぞいポーズをしながらの抗議
「何をするんだよ!」
「えーー、ゲームとか、トランプとか、夜明けのコーヒーを二人で飲むとか?」
「最後のは俺たち兄妹だと、ただの朝食って意味だけどな、ていうか今さらだろ、父さんが出張で母さん夜勤って前にもあっただろ」
昔から二人でご飯を食べてたし
「でもぉーー私たちぃ今は付き合ってるしぃーー」
体をもじもじさせながら、口に人差し指を当て上目づかいで俺を見る、あざといぞ、まあ可愛いけど。
「元カノで、今は兄妹としてだけどな」
「元鞘って言葉知ってる?お兄ちゃん」
「本ばっかり読んでる俺に聞くな、本来あるべき姿に戻るって意味では、今の状態が元鞘だ」
「ぶうううううう」
口を尖らせて横を向いてすねる。
「来週から中間だろ、遊んでる暇なんてないだろ」
正確には土日挟んであと5日
「お兄ちゃん勉強できるじゃない、中学の時のテストだって、いつも結構いい点取ってるし」
「なぜ栞が俺の点を知っている?」
「私はお兄ちゃんの事は何でも知っています!そういう能力の持ち主です!」
「はいはい、部屋に忍び込むのは止めような」
「ううう」
泣きまねしても駄目、そういえば告白の時に例の本ばれてた、場所変えないと。
「栞は試験勉強しないのか?」
「え?お兄ちゃんは試験勉強ってするの?」
「は?」
「栞、勉強しないの?」
「うーーん、試験勉強って意味ではしないかなー?」
「日頃から家でしていると…」
さすが優等生は違うな
「え?、学校で勉強してるよ」
「…図書館とかで?」
俺と一緒に帰っているからいつ図書館で勉強しているのか?分からないが聞いてみた。
「ううん授業で」
「……家では?」
「学校の勉強って意味ではしてないかな?学校の勉強は授業聞いて教科書読んでるだけだよ」
は?あのコミュ力といい勉強といい、うちの妹ってチートなの?。
俺は妹をまだまだ侮っていたのかもしれない……
「はあ、そうですか…、じゃあ部屋でいつも何してるんだ?」
お互いの部屋にはほとんど行き来した事がない、今もリビングだし。
「お兄ちゃんの事考えてる!」
「……俺の事以外は?」
「うーーーん友達にライン送ったり、メール送ったり、友達の頼まれ事とかしてたり?」
「さすが友達多いだけあるなー、趣味とかしてないのか?」
「本とかは読むけどー、あ!お兄ちゃんの為に何かを作ったりしてるー」
「……」
妹の愛が重いというか、心配になってきた。
「よし分かった遊びに行くぞ!」
「え、朝まで、やったえへへへへへ」
「補導されるから夜中は駄目だよ、今からだと近場だなーカラオケかなー?ボーリングでもいいか?」
18歳未満は23時以降外出してはいけません@県条例
「その代わり帰ってきてから数学見てくれよ、高校になってからちょっとやばいんだよ」
「うん、えへへへお兄ちゃんと、夜デートに夜のお部屋でお勉強」
まあ、栞に勉強見てもらう口実にはなったかな?
こうでもしないとプライドが邪魔して言えないからな……
さてどっちに行こうか、どっちの方が楽しめるかだな。
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