5-1生徒会長


 朝眠そうな母にプレゼントのお礼を言い、食卓に座る妹を見る。

 いつも通りパンを食べつつ


「お兄ちゃんおふぁよう」と挨拶してくる、その刹那昨日の事が頭をよぎる。

 自分の顔をが赤くなるのを感じ、あわてて


「あ、俺今日学校に用があったから朝飯いいや、いってきます」と家を飛び出した。


「やべえ、母さんの前で妹見て顔を赤らめる俺の姿なんて見せたら……」

 家の前で立ち止まり心を落ち着かせる。

 特に用はなかったが、こんな所で突っ立ってもしょうがない


 まだひんやりしている朝の空気で、火照った顔を冷やしつつ学校に向かった。



 家からちかいという理由で入学しただけに、直ぐに到着してしまう。


 校内はまだ人気が無くガランとしていた、上履きに履き替え教室に向かう

 勿論下駄箱にラブレターも果たし状も入って居ない……


 いや果たし状はいらんけど……



 うちの教室は2階、階段を上がろうとすると早朝なのに上から女子3人組が降りてくる。

 制服のリボンの色から上級生とわかる。


 その3人の真ん中の女子に目が引かれた。

 赤いメガネが特徴のメガネ美女、比較的高い身長若干赤みがかった長いウエーブの髪

 制服の上からでも分かる整った身体は男心をそそる。


 その美女は俺を見るなり一瞬ハッとした顔をするが、直ぐにすました顔に戻る。


 どこかで見た気がするなーと横を通り過ぎた時、その美女が横目で俺を流し見る。


 今の目、横顔どこかで見た気がする。

 しかもごく最近


 通りすぎながら階段の踊り場に立った瞬間思い出す。


 今の横顔!!!


「あーーーーーー!!!昨日の透明ゴンドラのカップルーーーーーー!!」

 あまりの驚きに大声を出してしまった。


 あ、と思い振り向くと階段の下に居た美女が一人だけ固まっている。


 美女の隣の女子が


「会長?」


 と声をかける、かいちょう?名前?


「ごめんなさい、ちょっと先に行っててくださるかしら」


 二人に声をかけ、こっちに戻って来る美女

 いや、今は美女ではない、凄い顔になっている。


 その凄い顔の元美女のかいちょう(仮名)さんは俺の制服のネクタイを持つと


「ちょっといらっしゃい」と引っ張っり上の階に連れていかれる



「ちょっと待て、く、くるしい」


 ネクタイで首の締まる俺の事を気にもせず、躾の悪い犬の様に引っ張り続けられ

 そのまま生徒会室と書かれた部屋に連行された。


 部屋に投げいれられ、扉の鍵を閉められる。

 そして、威圧的な態度と目で見下される


 え、え、なに、なに?俺殺される?。


 ああ、こんな事なら昨日妹ともっと色々と……、など不謹慎な事が頭をよぎる。



「なんでわかったの?今までバレた事無いのに」


 昨日の女は髪も金髪、眼鏡も外して化粧も濃く今の彼女とは別人だが俺の記憶にバッチリ残っている



「あーー……、雰囲気と横顔と特に目かな」


 目は昔悪かったが今は結構度の強いコンタクトをいれているのでよく見える。

 さっきすれ違った時の横顔と昨日の記憶とピタリと一致した。


「と言うかこんな所勝手に入って大丈夫か?」


「あんたあたしの事知らないの?」


「昨日の変態キス女として以外はしらん」


「誰が変態よ!」


「あんな所で他人に見せつける様にキスしてまさぐりあってる女が変態じゃないと?」


「しょうがないでしょ彼が求めて来たんだから」


「もとめって、知るか!」


「あんたたちだって抱き合ってたじゃない、どうせ見えない所でしてたんでしょ!!」



「妹とそんな事するかあああああああああ」


「妹?」


「あ!」


「妹と夜の観覧車で抱き合ってたの?」


「あ、いやあれは妹が乗りたいっていったから付き合っただけで、付き合うっていっても食事に付き合うってとかって意味の付き合いで、抱き合っていたわけじゃなく高さとかあんたらにビックリし驚いて抱きついてきただけでえーーーっと」


 しどろもどろになりながら言い訳をしていると


「どうでも良いわよあんたと妹の関係なんて」


「私はこの学校の生徒会長よ!」



 はいきたああ!、入学式の俺だけの謎の、若い美人担任に美少女新入生代表に

 最後の美人生徒会長が揃いましたよ。


 心になかでコンプリートと叫び現実逃避をしていたが


「ちょっと聞いてる?」

 と会長に声をかけられ引き戻される。



「私はここの生徒会長なの、上品、清潔、優しく、淑やかで通って要るのよ」


「勿論彼氏なんて居ないわ!」


「自分で言うかそれ、あーーー猫被っているわけですねそうですね」


「うるさい!」

 

 脛を思い切り蹴りあげられる。


「いってえええええ」


「いいこと、バラすんじゃないわよ、バラしたらただじゃおかない」


 脛をさすりながら会長を見上げ


「バラしたらどうなるんっすか?」


「生徒会長の力を使って、あんたが妹と付き合ってるって嘘を言いふらしてあげるわ」


 はい、ピンチ来ましたーーーー!



 てか、嘘じゃないんだよねそれ…







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