4-2制服デート
「誕生日おめでとうお兄ちゃん」
そうだ、今日誕生日だった
妹と同じクラスの為に、毎年恒例の双子?の説明が殆んど無かったのですっかり忘れていた。
今日の妹の強引さは、全部俺の為だったのか。
にっこり笑う妹の背景にはお台場の夜景
妹の顔がキラキラ光っているようで
あ、ヤバイこれってヤバイ
妹の顔がまともに見れない。
「はい、お兄ちゃん誕生日プレゼント」
妹は鞄から手のひらよりやや大きめ、綺麗に包装されリボンと手紙が添えられている箱を取り出し渡してくれる。
「ごめん俺の為に、こんなに…ありがとう」
今日の妹は変だ思ってしまった罪悪感から妹に謝罪し、俺の為に色々してくれた事に感謝した。
「違うよ、私の為、特別な日に特別な場所で特別な事をすればお兄ちゃんの記憶に残るかなって、私はお兄ちゃんの記憶に残りたい、残れたら幸せなの、だから全部自分の為」
正面を見つめている妹の横顔、そして初デートで意識してしまった唇。
ヤバイ、綺麗だ、可愛いい、待て妹だぞ!でも彼女だ。
夜のお台場、二人きりの観覧車駄目だもう何も考えられない。
「しおり…」
肩に手を置き呼んだ瞬間妹の顔が真っ赤に染まる
「ひ、ひ、ひっ、」
前を向いたまま、なにやら声にならない悲鳴が
んっ?と妹の向いている正面を見ると
前にいる観覧車の窓からカップルがキスていうか
もうすんごい事をしているのが見える。
前の観覧車はここの名物のシースルー観覧車
全身丸見え
服は脱いではいないがマサグリ合う二人、恐らく制服姿の俺達高校生カップルに見せつけてやろう的な事なのだろう。
「ひいいいいいいいいいいい」
真っ赤を越えて青ざめ、悲鳴を上げながら俺に抱きつき胸に顔を埋める妹
「ああ、よしよし怖くない怖くない」
もうませてるのか、うぶなのかよく分からない妹の頭をなでつつ
まあ、まだまだ子供なんだろうな俺達
と思いながら前のカップルから目を逸らし外の夜景を眺めていた。
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地上に着くと既にカップルは居なかった。
よろよろと後から降りてくる妹の手を取り繋いだまま公園のベンチに座る。
お台場の夜景をバックに観覧車を見ていると無性におかしくなってきた。
「はははははははははは」
妹と俺が同時に笑う
二人同時に笑ったのがまた可笑しくて再び大声で笑う。
暫く笑っていると、妹は笑顔で泣き出す。
「えーーーーんひどいよおおおおお」
「記憶にはバッチリ残ったぞ」
妹がなんで泣いているか、わかった俺は親指を立てウインクしながらこたえた。
「ひどいよおおおおお、こんな思い出やだよおおおお」
「まあ、これも想い出だよ、良い思い出も悪い思い出も栞との大事な思い出だ」
妹の手をぎゅっと強く握りしめ妹も握り返してくる。
「嫌な思い出はやだよお、お兄ちゃんとは楽しい思い出ばっかりにしたい」
そんな、事できるわけないとは思ったが否定はせずに
「そうだな、そうだといいな」
妹の手を握り夜景を見つつ本当に妹の思い出が良い思い出ばかりになってくれたらいいなと心から思った。
「そうだ、プレゼント開けても良い?」
「うん、でも恥ずかしいから手紙は後で読んで」
手紙をポケットにしまい包装を丁寧に剥がし
箱を開ける
中にはブックカバーが
しかも手作りっぽい
「これ作ったのか?」
「うん、お兄ちゃん良く本読むからいいかなって」
「本当はもっと良いもの作りたかったんだけど、なかなか上手くいかなくってこんなものになっちゃってごめんね」
「ううん嬉しいよ、ありがとう栞、喜んで使わせて貰うよ」
微笑む栞の頭を撫でブックカバーを見る。
布製のブックカバー
どこかで見たことある柄
何処かで、毎日のように見ていた気がする。
嫌な予感がしたが、ふと訪ねてしまった。
「栞、この生地ってさあ」
「うん!私の中学の時の制服」
栞の中学3年間が染み付いている制服の生地のブックカバー…
「いつも私を感じて欲しい記憶に残って欲しいと思って作ったの、ずっと使ってねお兄ちゃん」
「…」
妹の愛が重すぎる…
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