第3話再会

 電話で退職依頼をして、呆気なく受理された。あれから、和倉さんからも田蔵さんからも一切連絡はなく、私はのんびりと毎日を過ごしてる。


「なぁ、ここ出てかねーか?お前も嫌だろ?」

「······。」


 母の四十九日が過ぎ、納骨が終わってから、淳一はしきりに、


「ここを出て、ふたりで暮らさないか?」


と言うようになった。


「仕事は?お金は、どうするの?」


 あんな事をし続ける義父を棄てようと思えば棄てられる。けど、女一人、まだ未成年···こんな子供にどこの不動産会社が部屋を貸してくれるだろうか?


 洗濯物を畳みながら、話を聞く早紀。


「金は、ここを売るさ。仕事は、まだ大丈夫だ···」


 この人は、昔からそうだった。口先だけの男···生前お母さんが言ってた。


(ほんと、なんで結婚したんだろ)



 それから数日して、


「おい、不動産会社行くぞ」


と淳一を誘われて駅前の大きな不動産会社へと出向いた早紀だったが···


「······。」

「あ、や、やぁ···」

「久し振り。元気?」


 不動産会社で、会いたくもない相手、和倉さんとその隣に寄り添う田蔵さんが···


「えっと、お父さん?」

「うん。まぁ、じゃ。」

「ねっ、どれにする?どれにする?」


 和倉さんに寄り添うように顔を近づけてニコニコ笑ってる田蔵さんの左手薬指には、キラリと光る指輪が嵌められていた。


(そっか、このふたり結婚したんだ。いいな、好きな人がいて)


「おい、さーき!こっちだ···」


 チラッと見たが、二人は担当者との話に夢中になっていて、早紀の事など頭にはもうないらしい。


「うん···」


 担当者は、長谷川さんと言って淳一と熱心に話していたが、早紀の視線はやはり和倉に向かれていた。


(忘れよう···そう思っていたのに···)


「じゃ、後日お伺いしますね」

「お願いします」


 どうやらこれから住む事になるアパートも契約が終わっていたらしく、翌日に引っ越し業者が来訪し、あれよあれよと言う間に全てが決まっていった。



 フゥッ···


「どうかしたか?早紀」

「ううん。なんでもない···」


(悟られてはいけない。知られたくない)


 そう思っていたのに···


「あの二人結婚したんだってな···」

「だね···」

「あの長谷川って担当者いただろ?」

「うん」


(人の良さそうな優しい感じの人だった)


「元カノってのらしい···」

「へぇっ···」


(どうりで、あんな目つきしてたのか···)


「全く誰も知らないとこだから···」

「うん···」


 義理とは言え親子である。淳一は、年齢の割には見た目も若く45を過ぎてるのに30前半に見えるから、早紀と並んで歩いても親子には見られない。


(嬉しくもなんともない)


「金もまだ貯金がある。」


(殆ど、私のだけど···)


「早紀···」


 チュパッチュパッと赤子が乳を吸うように淳一もまた、早紀の乳房を揉みながら乳首を弄っていた。


 んっ···


(憎むべき相手に抱かれてるといえど、身体が反応する···)


 あぁっ···


「声も段々と色気づいてきたな···くすっ」


 淳一は、手を伸ばし早紀の茂みの奥へと指を滑らす。


 うん···っ···


「まだ、出来ないのか?子供···」

「······。」


(出来る訳もない。ピルを飲んでいるのだから···。悪魔の子なんかいらない)


「早紀···」


 早紀の湿り気を確認した淳一は、早紀の腰を支えながら静かに挿っていく。


 ズッ···


(慣れない···。挿ってくるこの感覚が···)


 のに、声だけは出る。


 あぁっ······


「お前は、いいのを持ってる···んっ!!」


 淳一は、力を込め奥まで突くと、早紀の口から小さく声が漏れる。


(もう何度だろう?ほぼ毎日のように抱かれてる。飽きないのだろうか?)


 あふっ!


 淳一の指が、静かに腰のラインをなぞる。


「おぉ、更に締まった···」

「しな···いで···」

「あぁ、しないさ。早紀、後ろからヤリたくなった」


 淳一は、一旦抜くと早紀を起こし、身体の向きを変えてから、後ろから一気に挿入していく。


 うぁっ!!あっ···


「どうだ?早紀···前と後ろと···」

「わか···んない···んんっ」


 淳一は、後ろからゆっくりと突きながら、早紀の乳房を揉んでいく。


 うっ······


(慣れない···未だ、SEXに慣れない)


 あっ···あぁっ···


「アァッ···絡まる」


 早紀の肉壁が蠢く度に、淳一は悦び声をあげる。


 ヌプッ···ヌプッ···


「いいね、いいよ。早紀ぃ···」


 肌と肌がぶつかり合う音やヌチュヌチュとした自分の音が、間近で聞こえてくる···


 うはっ···んっ···ぐっ···あぁっ···


(熱い···胸が苦しい)


 パンッ······パンッ···


「だめっ···だめっ···」

「早紀···イクぞ、イクぞ!早紀っ!!アアッ···アアッ···」


(なに?この感じ。胸が苦しい)


「動いてる、動いてる。早紀のが俺のを···」


 淳一は、自身のが落ち着くまで早紀の乳房を捏ねるように遊び、横になった。


 ハァッ···


「早紀?」


 淳一は、早紀を抱き寄せ軽くキスをしながら、


「お前、飲んでないよな?ピル」


 っ!!


「う、うん···」


(嘘をついた···。いいよね?これ位)


 早紀は、起き上がりパジャマの上だけを羽織り、ベッドを降りる。


「トイレ行ってくるから···」

「あぁ。俺、寝てる。疲れた」


 静かに部屋を閉め、一階のトイレで用を足してから、リビングのソファにと座り天を仰ぐ。


(いったい、どうして?)



 数時間前···


[会えるか?]


 ただ1文のメールが、届いた。和倉さんから···


(どうしよう···)


 今更会ってどうなるでもない。彼には、田蔵さんがいる。


 でも、私の中では、既に決まっていたのかも知れない。



「明日?」

「うん。ダメかな?」


 淳一が、早紀の頼みに嫌とは言わないのは、百も承知で敢えて言う。


「いいんじゃないか?たまには···」

「ほんと?!わっ、後で美久にメールしておかないと!」


 美久というのは、私の中学時代の友達。実際、本当に会うんだけど···


「俺が知ってるのは、その子の子供が産まれたハガキ貰ったのが最高だったな」

「うん。おかわりは?」

「いいよ。あんま食べすぎると後が辛いでな。ごっそさん。旨かったよ···」


(会うだけ。会って話をして別れる···。それでいい···)


「あっ、そうだ。お義父さん。長谷川さんから連絡あったの。買い手が見つかりそうだって!」

「そうか。後で連絡しとくよ」


 夕飯を食べ終え、風呂···


「新しいアパート、この浴槽よりは広いからな···」

「うん。長谷川さん、熱心に説明してくれた」


 産まれ育ったこの家を処分するのは、寂しいが致し方ない。


 私の身体は、もう義父の愛撫を受け入れ、悦んでいるのだから···


(もう戻れない···)


「あと少しだな。こことも···」

「うん···」

「だったら、今夜は···」



「······。」

「どうだ?早紀。自分の部屋は···」


(この部屋で、何度あんなことをされたのだろうか···)


 性的虐待···お母さんとこの人が再婚して半年がたった頃から、始まった···


 何度となく震える声で、やめてと言っても義父はやめる事なく浸すら私の身体を触り、満足して自分の部屋へ戻っていった。それが、小学校卒業間際にお母さんにバレて、私がかなり怒られた。そんな事があってからも、義父は私の身体を触り続け、お母さんは何も言わなくなった。


「な···これ。外して」


(目隠しはともかく、両手を縛られるのは痛くて嫌だ。しかも···)


「いい身体になったな。早紀···」


 淳一は、裸のまま拘束された早紀の乳房をゆっくりと揉みながら、静かに囁く。


(だから、どうして!!裸···)


「懐かしいだろ?ふふっ···」

「······。」


(思い出したくもない。あんなこと···)


「いやっ···」

「そうか?でも、ここは俺を待ってるけどな」


 ヌチュヌチュとした小さな音···


 ゴクッ···


(大丈夫、今の私はそこまで怖くない···。平気···)


 そう思ってた···


 でも···


 ヴヴーーーッ···ヴーーーッ···


 静かなモーター音が、早紀の耳に伝わる。


「俺もこれ使うの初めてだけどな···。どうだ?」


 ビクンッ!


「なっ···やっ······めっ···」


 早紀の乳首が、その音をする何かで震え縮まっていく。


 チュパッ···


「なに······?んっ···」

「さぁな···。下はどうかな?」


 足を閉じようとしたが、一足遅く···


 ビクビクッ!!


「や······っあ···」


 感じとしては小さい何かが、モーター音を唸らせて敏感な部分に当たっては、その周りを渦巻くように回る。


 クプッ······ヌプッ···


 あぁっ···なやっ···ぁ···


「おやおや、早紀のここはこれを気に入ったみたいだな···」


 淳一の手にしていた小型モーターが、ゆっくりと早紀の中に入っては出るを繰り返す。


 うっ···あっ···


「おねっ···がいっ···うはっ···やめっ···」


 息を荒げ、必死に淳一に頼み込む早紀···


「しょうがないな···」


 クプッ···


「はぁーっ···」


 中に入っていたモーターが抜かれ、


「ふんっ!!」

「おわっ!!」


 今度は、淳一がすかさず挿ってきた。


 んなっ···まっ···まっ···


 早紀の腰を強く掴み、激しく突く淳一···


 休みたいのに休めず、気が悶える早紀は、


「やめっ······あっ、いやっ!あっ···だめっ!いやっ!いやっ!いやっ···やっ、やっ、やっやぁぁぁぁっ!!!」


 大きく叫び、身体を硬直させ、静かになった。


「えっ?あっ、おい?早紀?おーいっ!!」


 淳一は、早紀の顔を何度か軽く叩き、やっと···


「危なかった。あのまま、お前が目を覚まさなかったら···」


 早紀は、イッたらしくそのまま意識が飛び、淳一のが一瞬抜けなくなった···


「な、なに?今の···」


 息も絶え絶えに喋る早紀に、淳一は、


「お前、初めてイッたんだよ。しかも···ここ!」


 早紀が横たわってる周りがやけに濡れている。


「やだ、雨漏り?」


 頓珍漢な事を言い、淳一に笑われる。


「俺、初めてだ。ヤッた女が潮吹いたのって··。ちょ、刺激過ぎたか···」


 キョトンとする早紀に、淳一は嬉しさのあまり深く長く唇を押し付けた。

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