4章 GWはゲートウェイ的なものではない
46話 明日からはどんな日々?お休みだよ!
******************************************************
《あらすじ》
遂にやってきたゴールデンウィーク。社畜を堪能していた琴音にとっては久々のまとまった休み。学校も楽しいがやっぱり休みは休みで欲しい!桜祭りに桜祭りに桜祭り……あれ?桜祭りしかないけど??
これは運動会の前のお話。
琴音とその周りは一体どんな日々を送るのだろうか?
果たして黄金色に輝く日々を過ごせるのだろうか?
これは運動会前のちょっとした非日常の物語……かもしれない!!
******************************************************
時は少し遡り5月2日——。
はろー、今日も元気な琴音です!今日はいつにも増して元気っす!めっちゃ元気っす!ご機嫌な鼻歌もふんふんふーん♪
どうしてこんなにもご機嫌か……それはね……ごぉぉるぅでんうぃぃくぅ!!黄金週間!皆さん!黄金ですよ!日々がキラッキラ輝いてますの!ますの!
社畜時代にはゴールデンウィークなんてものは存在しなかった……。周りがキャッキャ楽しそうにしてるのを尻目に職場で仕事に従事してましたよ。
それを思えば一体何年ぶりのまとまったお休みだろうかっ!!
学生時代なんて大したありがたみを感じなかったけれど、今ならそのありがたみが骨身に染みますよ。おでんの煮玉子みたいな感じ。大根も可!うま味汁が染みてまっせ!
学校生活も楽しいけれど、やっぱりお休みはお休みでワクワクするじゃない?しませんこと?しかも何年ぶりの地元よ!こんなん楽しむしかないでしょ!
……いやまぁ、1番の目的はブラザーズとイチャイチャするコトですケドね。いちゃこらして少しでも親しみやすい姉にならねばね。
「琴ちゃんご機嫌だね〜」
私が鼻歌を唄いながらスクールバッグに教材をしまっているとみーちゃんがニコニコしながら声をかけてきた。
うーん、キュートっ!いつ見ても君の笑顔は輝いてるねっ★
「そうかな〜。わかっちゃうかな〜」
「その様子見てわからない人はいないと思うよ?そんなにお休みが楽しみなの?」
何を愚問をおっしゃいますかリトルレディ!これが、楽しみに、せずに、いられますかっ!
だって黄金だよっ?!
古来より人は黄金が大好きなのよっ?!
黄金を求めて血なまぐさい争いが起きるほどに人が求めてならないもの!それが金だ!金は全てを制す!とある知り合いが言ってたけれど。
『貴音サン!お金があれば……なんでもできル!』
これを聞いた私たち家族はみんな納得したよ。
青森から東京に行くにはバスか電車か飛行機。バスは6000円前後で済むけれど体力と時間がメリメリ削られる。電車、というか新幹線だと3時間くらい。でも17,000円くらいするし、飛行機なんて2時間掛からずに20,000円くらいする。
旅行や帰省を楽しむなら移動時間は少なければ少ない程いいけれど、それと比例して料金も釣り上がっていくのだ。
大抵の人はその料金の壁に泣く泣くバスを選んだりする。ちょっと頑張って新幹線。でも片道というとこだ。
しかし!金があれば往復飛行機なんてちょー…………贅沢ができるのだ!
素晴らしい金!お金こそ全て!あればあるだけ困らないのはお金と時間だ!
……あれ?大分ズレてる気がする?金は金でも黄金違いだぜ琴音ちゃん!HAHAHA!
…………。
ごめんなさい。少しばかりテンションが高かったようだわ。
「楽しみに決まってるじゃん!逆にみーちゃんは楽しみじゃないの??4連休だよ?!」
4連休もあれば色々できてしまう。あいや、学生、しかもJCだからやれることは限られているけれど、子供らしい範囲でなら沢山やれることがある。
例えば桜祭り。
毎年弘前公園で行われるお祭りだ。外堀の周りに植えられた桜は弘前城……天守閣だけれど……それを囲んでおり、中にも沢山の桜で溢れかえっている。桜尽くしだね!
めっちゃ綺麗だよ!
桜吹雪に水面に浮かぶ桜の花びら、風に揺れる桜、そしてどんしゃかどんしゃかと様々な屋台があるし!楽しみー!
あ、時期が遅くないって?
それは関東圏とかのお話。こっちは下手すりゃ4月頭まで雪が残ってたりするからね。桜が咲く頃はちょうどゴールデンウィーク少し前くらいで、今年は運良くゴールデンウィークに満開予想となっている。なのでこれを楽しまないなんてのはナイナイのありえない。
ブラザーズとイチャつくのも自然な流れでできるので一石二鳥である。
後はそう、イラストとかもできるね。これはどちらかと言うと私の趣味の話になっちゃうけれど、こうして時間があるのならば思いきって描いてみるのもありだと思うのだ。
あとはあとはー、ハイキングとか?あ、これだと桜祭りと被りそう。もうさ、桜祭り2回くらい行っていいんじゃないかしら。
「うーん、ゴロゴロできるから楽しみだけど……」
なーんてみーちゃんはにへらと笑いながら言った。
休みの日にゴロゴロ、それもまた過ごし方の1つだろう。私は否定しないよ。前までの私は仕事に疲れ休みの日は家でダウンしてたからね!……それとはまたちょっと別だろうけど。ただ、こーゆー適度に暖かくて涼しい時期ってお外に出て芝生の上にごろーんてしたくない?私はなるなぁ。お日様の日を体いっぱいに浴びて光合成するの……。私ってば地球に優しい??
「桜祭りには行かないの?」
とは言え流石に4日間全てゴロゴロしてる訳では無いだろう。成瀬家と言えばイベント大好きなとこだから何だかんだ桜祭りは絶対行くと思うのだけれど。
「あれ?琴ちゃん聞いてないの?うちと琴ちゃんのところで合同お花見するんだよ?」
「え?そうなの?聞いてない……」
おや、どうやらうちとみーちゃんファミリーでお花見をすることになっているらしい。私、何も聞いてない。まぁお母さんのうっかりだろうなぁ。
「ねね、いつ行くの?」
「明日だよ」
「明日っ!?」
ママン……明日のことは前もって教えてよ……。報連相大事だょ?相談はする迄もなく大賛成一択だけれど準備とかあるし早く教えてくれ……。知ってる?報告がないとインシデントになっちゃうものもあったりするんだよ。つまり重大な障害に発展することもあるんだから。報連相大事!
「楽しみだね〜」
「そうだね〜」
とは言え、楽しみは楽しみなのでワクワク。早速1つ予定が埋まったのは良きことかな!
私とみーちゃんはうふふ~と周りにお花を浮かばせながら微笑みあった。会話は他にないのかって?私とみーちゃんは心が通じあってるからね!言葉を交わさなくとも分かり合える何かがあるのよ。
……時たま一方的に知られていることがあるけれど……それだけみーちゃんは私のことよく見てくれてるってことよね!ありがと!流石心の友!マブダチ!
「あ、そうだ。明日は何時からなの??」
とは言えとは言え。何時からかわからなければ私の心の準備などができない。乙女には色々な準備が必要だからねっ!
…………。
…………今失笑した子、素直に言いなさい。お姉ちゃん怒らないから。
「11時に現地集合だよ。例の駐車場だよ。多分市役所の駐車場は人多すぎて止められないだろうしね」
「11時ね……。ん、わかった。じゃあ帰ったら速攻で準備しなきゃだよね!」
「そうだね〜」
私とみーちゃんは帰り道で別れるまで明日のことはどうだーとか話し合いながら歩いた。
くふ、明日から始まるゴールデンウィーク。こりゃもう楽しい予感しかしないわね!
「ただいまー!」
程なくして家に着いてしまった私はお姉ちゃんが帰ってきたぞーと自己主張する。
「あら?おかえりなさい」
「うんただいまっ……て、おばあちゃん?」
いつも通りお母さんが出迎えてくれるのかと思ったら予想外の人物が出迎えてくれた。
小山内和美。お母さんである貴音の母であり私のおばあちゃんだ。
見た目は如何にもおばあ様みたいな感じで常にすましている感じだ。なんか感じが多用されてて分かりにくい感じになってる感じだけど、私の語彙力の感じが悪い感じなので気にしない感じが嬉しい感じ。
話がズレたけれど、おばあちゃんと言えばほんと背筋がピンと伸びている。ついでに
話し方もマダムというか、しっかりとしたものなので尚更である。現役社長でバリバリ仕事しているからって言うのもあるかもしれない。
因みに私ら家族の目は間違いなくおばあちゃんの遺伝だと思われる。
「あら、琴音。まず着替えてきなさい」
ついで、お母さんが顔を出した。若干その表情はいつもより硬い気がする。
私はお母さんの言う通り部屋に戻り着替える。普段ならラフな格好にするんだけれど、おばあちゃんがいるしと少しばかりきちんとした服装にする。
白のブラウスにシックな黒のスカート。おばあちゃんがいるし今回はちょっとしたお嬢様スタイルだ。
髪も多少は指でとかしてぴょんとハネっ毛がないことを確認する。サラサラ具合は変わらずなので本当に質の良い髪だ。あんまり意識したことは無いけれど、こうして見ると私って結構な美少女である。磨けば磨くほど光る宝石のようだ。って、うん、激しい自画自賛だね。あれよ?客観的感想ってやつよ?あ、いや。なんか余計ヤバい奴みたいだからやめとこう。というか、あんまり悠長に準備と言うか鏡チェックしてたらその内お母さんとかがカメラ構えて出てきそうだし。
適度なところでチェックを終え、私はお母さんやおばあちゃんの待ち受ける部屋へと向かう。
うぅ、にしても一体何事??
この時期ってなんかやらかしたっけ??
いや、私になってからは特にやらかした覚えは……な、ないです。
「琴音さん、座りなさい」
「は、はぃ!」
お祖母様はそう言うとテーブルを挟んで目の前を指す。相変わらず声は平坦だし正座だし、背中ピンとしてるし!
私は緊張しながら向かいに座る。お祖母様が正座してる以上私もそうしなければいけない気がするので、なれない正座で座る。
うちのお母様はと言うと、お誕生日席にアグラをかきタバコを吸ってらっしゃった。
……いいなぁ、私もそっちがいぃ。
「最近はいかがですか?学校ではきちんとできていますか?」
お祖母様は私が座り一息したところで質問してきた。と言っても中身はありふれたもの。言い方は硬いけれど、私が学校でどうしているのか気になるのだろう。
私は気付かれないように鼻で深呼吸をする。
これが子供であれば今ので既にしどろもどろになってしまうだろう。私も昔はおばあちゃんが苦手だったけれど、今の私にならどーゆー人なのかわかるし。だからだろうか、昔程緊張をすることは無く、思いのほか簡単に言葉が出てきた。
「はい。特に問題はなく過ごせています。友人も居ますし、勉強についても日々の復習を大切にしています。あぁ、そう言えば再来週に運動会を開くんです。よろしければおばあちゃんも来てくださいね」
最後には貞淑スマイルを付け加えてジ・エンド。
おばあちゃんは軽く目を見開き少し驚いた様な表情をした。
お母さんの方にチラッと視線を向けるとそこにはドヤ顔を隠しきれないでニヤニヤとする姿があった。
あらら?私としてはそのままスムーズに会話が進むもんだと思っていたのだけれど、そんなにたいそれた回答しただろうか?二人の反応を見る限りだと悪い回答ではないと思うけど……もしかしてやらかした??私なろう系主人公かましちゃった???
内心何がいけなかっただろうか、と戦々恐々としているとお祖母ちゃんが口を開く。
「琴音さん、変わったわね。以前まではお転婆でしたから少し心配でしたが……」
「あったりまえでしょ?あたしの娘だもの」
「あなただから心配だったのですよ」
「さいですか。あたしはそんなあんたの娘なんですけどね」
わお。わぁお。
自分の返答の仕方があれかなぁと思っていたけれど、それ以上に目の前で戦争が勃発しそうですよ、奥さん。しかもどっちも静かに言うもんだから冷戦だよ。私の精神ポイントがメリメリと減ってくんですが。
明日から始まるはゴールデンウィーク。文字通り黄金に輝く休日が待っているはずなのだが……どうやら今から始まるのは修羅場?!
私の明日はあるの?!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます