終焉のオルゴール(遭遇編)
「そんなこんなで、
「まずそんな話の流れは無かったし、物騒な注文をつけてんじゃねぇよ」
ところでみなさん、お気付きだろうか? 俺が一度にふたつのツッコミを入れていることに。日々成長する生き物、それは俺。
「え、何?
「いえ、別に。でも、愛おしいものほど壊したくなる気持ちってわかりませんか?」
わかりません。
「あたし、好きなものは最後に食べる主義なので」
話繋がってんのか、それ?
「なるほど、そういうのツンデレって言うんやろ? うち知っとるよ」
その認識が正しいのかどうかは置いておいて、徒らに笑う
「そんなこと有り得ませんよ、
つまるところ、彼女の邪推に関しては否定しておかなければならないという事だ。
俺も
しかしまぁ、
嬉しいような寂しいような複雑な気持ちである。
「そうですよ、あたしはツンなんて見せたことありません。常にデレている状態なので」
その言葉が本当ならツンの
「なんやなぁ、女の子ってみんなそうなん? うちにはようわからんわ」
せめて俺くらいはまともであろう。
「しかしまぁ、
あるんかい。
あるにしても紹介するんかい。ちょっとだけショック。
「……なんすか、これ?」
「なんやと思う?」
当ててみて、と差し出された木でできた箱。その黒さは着色されたものではなく、重ねてきた年月を意味したものだろう。その色合いは箱自体の重さを量増ししているかのように重厚だ。特別何か飾り細工が施されているわけでもなく、側面に小さな穴がひとつ空いているだけだった。
触れると滑らかな触感が指先を伝う。
上部が蓋になっているのがわかった。
「開けてもいいですか?」
「ええよ」
上面を開くと、中には何やら小難しく金属が噛み合わせられている。
複雑な装置であるとわかってながら、その細工には見覚えがあった。
「これ、オルゴールですか?」
「ただのオルゴールやないよ、『終焉のオルゴール』やから」
如何にも物騒な名前のそれは薄黒く佇み、彩の無い姿は不気味さを助長している。
……本当に殺されたりしないよね?
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