ミッション5:リレーで1位獲得後の君藤先輩とのお話!!(おまけ)
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昨日あのあと、私は君藤先輩に腕を引かれ、街中の某ハンバーガー屋さんへと連れ込まれた。(若干卑猥な表現です...。)その前日は、放課後ただ送ってくれただけだった。それだけでも嬉しすぎたけれど、やはり長く一緒にいれるとさらに嬉しいものだ。
君藤先輩は私を『さらいに来た』と言ったのだが、君藤先輩にはこれまでも何かとしてやられた感が否めない。だから『そのままの意味』だと言われても、いまいち信憑性に欠けるのだ。
なんて、そんなことを言っても心の中は、何気にほっこりドキドキで満たされていた。
『さらいに来た』ーーーーですよ?
女子ならば、当然の如くときめくに違いないセリフでしょ?ドッキューンとハート射抜かれちゃうでしょ?何やらその後もいろいろと期待してしまうでしょ?
君藤先輩との久々の逢瀬だというのに、先輩は黙々とハンバーガーセットをたいらげ、私が食べ終わるのを頬杖をついてじーっと無表情で眺めていた。この、じーっ...が私たちの逢瀬の大半を占めた。
だけど、収穫もあった。その間の会話で、結構ときめく場面があったのですーーーー。
『先輩...恥ずかしくて食べられないので目を瞑っててもらえませんか...』
『なんで?』
『いや、だから~…』
『なんで顔見てちゃダメなの?』
と、私から目を逸らし、ぼそぼそと呟いた。拗ねた子供のようで、母性本能を擽ったのは言うまでもない。
(なーんてかわいいの!!君藤先輩〜♪♪)
『えっ!?......し、仕方ないですね...。許可します』
と言うに決まってる。
『サンキュー』
この会話って、カレカノの会話みたいでくすぐったかった。
『なんで顔見てちゃダメなの?』ーーーー
↑これも、『さらいに来た』に続く期待と勘違いをさせるセリフだと思うのだけど、期待することがのちのち自分を苦しめることになりかねない。だからヤメヤメ!なんて思ってたった数分後のこと。『よし、食べたよね。帰ろ』と、あっさり逢瀬終了のセリフを吐く君藤先輩...。
さては私って、本当に君藤先輩の食事相手にさせられただけなのでは?そしていつもの意地悪のつもりで、私に思い上がらせるようなことを言って、いつか落とす...という戦略を思いついたのですか...。
(あー。君藤先輩は難しいにも程がある。先輩の頭の中を覗いてみたいよ!!)
帰り際。君藤先輩が私の顔を覗き見た。
『なんでそんな怖い顔してんの?』
『なんでだと思います?』
『さあ、わかんないけど』
『先輩のことが理解不能だからです』
覗き込まれて少し気恥しいやら、腹立たしいやらで私の声は小さくて低くなっていた模様。それで君藤先輩は、どうしたものかと少し大きなため息を吐いた。そしてーーーー。
『は?今日に限ってはいたって素直な言動しかしてねぇけど?あーあ、心外』
この時私は思った。私自身好きすぎてどうしようもない状況に陥っているお相手・君藤先輩になら、信じてバカを見るのもいいじゃないかーーーと。
そして、私はやらかしてしまった。
「うわっ、おいっ」
君藤先輩の片肩に両手を乗せて押え込み、背伸びをすれば先輩の顔に唇が届く程度まで、低い姿勢になってもらって。
チュッーーーー
君藤先輩が紡ぐ言葉をこれからは信じますよ!!という宣言を込めた行動だったのだと思う。なぜ断定ではないかというと、自分でも驚くほどに衝動的だったから。
そんな勇気ある大胆行動に及んでしまい、内心動揺していたが、わりと器用に表面上を取り繕うことに成功した。
『これはただのご挨拶ですよ!』
『ご挨拶って...お前は帰国子女か』
『違いますけど』
『知ってる...』
『もう、なんなんですか先輩!』
『それこっちのセリフ...』
君藤先輩と私はなんだかんだ平然と会話していても、顔は真っ赤のトマトコンビ。先輩は私の奇行っぷり?に、なんとなく呆れているようにも見える...。
『あの、先輩。さっきも言いましたけど、明日からまた覚悟しといてくださいね!!じゃ、家近いんでここで失礼します!ハンバーガーご馳走様でした♪』
『...慌ただしい』
私はピューンッと突風の如く去って行った。というのが昨日の逢瀬の全容。
(キャーッ!!どうしようどうしようどうしようっ!!やっちゃったよ...!でも君藤先輩、終始いたって冷静だったよね...。)
『頬チューかよ...』
そんな君藤先輩の呟きを、私は聞き逃していたが、聞き逃さなかった者もいた。
よって。
『また俺の出番がきたみたいだなー』
......なぜかあゆみくん、気合を入れた模様ですーーーー。
今日はとっても疲れたけれど、すごく達成感ある充実した一日だった。
応答なしのあゆみくんのことはもう知らない。電気を切ってと。布団に入って今日のおさらいをしましょう。
(今日の体育祭でリレーで1位取れてよかったなぁ。ミッションクリアでさらに君藤先輩との恋愛成就に近づいたよね♡あと、あゆみくんにはけなされたけど、ダンスも自分なりにうまく踊れてよかったなぁ。君藤先輩の競技はすべてチェックして見たけど、ハァ〜とため息もののイケメンっぷりだったなぁ。あのサラサラの髪を靡かせて走る姿。マジで最高すぎた。スーミンはあのあと怜羅ちゃんとうまくいったのかなぁ。学校行ったらすぐに聞こう。先輩にさらわれたなぁ。ハンバーガー食べてる最中じっと見つめられてて♡あ〜恥ずかしデレっていう造語が誕生しちゃったよ...。そして私からの”衝動的頬っぺチュー”。これも恥ずかしデレMAXってやつだ...あれ?そうだ...肝心なこと忘れてるじゃん私......そういえばハンバーガーショップを出る寸前......君藤先輩......に......zzz...zzz...)
寝落ちしたーーーー。
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