karma10 ドッキリ大作戦
そんな時だった。東防衛軍基地事務局から、19名の新隊員のコネクターにメールが入った。
『伝令。明日19時、
戦闘訓練や
この日程はずいぶんと前から伝わっていた。だが最近はずっと第一訓練室で
特に深く考えることもなく、また反復練習と戦闘訓練だろうと思っている新隊員が大半だった。
そして翌日。新隊員が保管室に集まる。各新隊員は本格的な任務に就くことを見据え、最近は
氷見野も他の隊員と同じく、愛用している
氷見野と他の新隊員たちは第二訓練室に会する。訓練室には
「みんな俺たちの前に集合~」
藤林隊長が通信を使って新隊員を呼ぶ。
いつもの訓練とは違って指導する現役隊員が多い。戸惑いを覚えながらも藤林隊長の指示に従う。
「突然場所変更しちゃってごめんねー! ま、こっちは予定通りなんだけどー」
藤林隊長はサラッと気にかかることを言う。
「あの、どういうことっすか?」
西松は困惑しながら聞く。
「ドッキリだよ。ドッキリ! 新隊員となった君たちの活躍を見込んで、特別訓練を企画したんだよ」
「特別訓練?」
氷見野は戸惑いに心をざわつかせつつも、ヘルメットのシールドの奥にある顔を見つめる。ざっと見で10人はおり、その中にはいずなもいた。藤林隊長の他に車屋隊長もいる。ここにいる人たちは、
「僕たち
藤林隊長は不敵な笑みを浮かべて言い切った。ゾッとするような訓練内容に戦々恐々とする新隊員。
「
藤林隊長は困惑する新隊員を置いてけぼりにしてマイペースに進めていく。
「じゃあニュージェネレーションAチームから。あ、それとチーム振り分けで名前呼ぶ時に、今後の所属先も発表しちゃうね。ちゃんと聞いておいてよー」
このタイミングで発表されるとは思わず困惑する新隊員。藤林隊長のつけているヘルメットのシールドモニターに、新隊員のチーム分けが表示される。
「じゃ、Aチームからね。
シールドモニターに表示されるチームメンバー一覧にも、所属先がちゃんと明記されている。
「
勝谷は舌打ちをして悔しそうに顔をゆがめる。
「
新隊員の中では小さなどよめきが右往左往していた。
「おい、嘘だろ!? これ来たんじゃね!?」
西松は俄然興奮している。
「ふん、お前とチームかよ」
桶崎の耳が不快感を示す声色を受信する。視線で捉えた時、勝谷はイラついた様子で睨んでいた。しかしすぐさま勝谷の口に笑みが零れる。
「フッ、だがさすがのお前でも、エリート街道まっしぐらとはいかなかったようだな」
勝谷の挑発にうんともすんとも反応しない桶崎は勝谷から視線を外し、目の前で待機している現役隊員を見つめる。
食い入るようにこちらを見つめてくる桶崎の様子を車屋隊長の瞳が捉えた。末恐ろしい威圧感。そこらの新人が発することのできるものじゃない。
高鳴る鼓動と湧き上がる熱は彼の闘争心を引き出す。それが自分たちに向けられているとはなぜだか思えなかった。
ただそれがどこに対してなのかわからない。何が彼をそうさせているのか、彼の強さもまた、
「残りBチームな。
ドクンと心臓の音が跳ね上がった。まさかの名前が呼ばれ、目を点にした西松たちが氷見野に視線を注ぐ。
「……嘘」
氷見野はパニックになって息をつくように漏らす。同じく驚きを見せるAチームの隊員。勝谷の眉間には皺が刻まれている。
「すげぇっ!!! 氷見野さん!!」
西松は興奮した様子で氷見野に詰め寄る。
「ユウ、すごい! ってか、なんで!?」
琴海は自分のことのように喜ぶ。
「何はともあれ、ひみゆう氏は
藍川は鼻高々と言い切る。
Aチームの話すことも少なかった新隊員からも褒められ、氷見野は
「あの……みんな聞いてる?」
しばらく藤林隊長の声は届かなかった。
新隊員の興奮が収まり、ようやくチーム振り分けが終わって特別訓練へ移っていく。
まずはAチーム対
Bチームは、壁から出てきたゴンドラに入るよう
憧れの
ゴンドラは上昇し、5メートルほどの高さで止まる。それでも天井まではまだまだ余裕があり、候補生時代に走っていた体育館のような訓練室と同じくらい高い。
Aチームと
経験も、技術も違えば、
「最高目標は15分以内に我々
車屋隊長は前で並ぶAチームの新隊員たちに説明するが、最高目標は絶対無理だろと思う隊員がほとんどだった。
だが、この訓練が
「さ、準備を始めよう」
両チーム
「両者ともいいか? カウント5で開始だ」
藤林隊長が通信で互いの隊員たちに伝える。Aチームの新隊員は敵となる
「5、4、3、2、1――――――0」
合図と同時、前に並んでいた
ブーストランで
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