第27話 心理
凛は見つけた、はるか昔から永遠に探していた怨讐の相手を。私とお兄ちゃんと私たちの持つものすべてを滅茶苦茶にした悪党を。私の尊厳を踏みにじり、誠実だったお兄ちゃんを嬲って殺害し、私達の生活と思い出と守るものすべてを燃えかすにしてしまった鬼畜を。その行為は何度許しを請われても許されるものでもなければ、何度血祭りにあげても足りるものでもない、どれだけ復讐してもお兄ちゃんは帰ってこない、どれだけ恨んでもどれだけ憎んでも何をどうしても、奴には決して足りない。
千葉から静岡へと揺られる電車の中で、暗く冷たく救いようのない沼の底へ落ちて行く意識の中で、凛は、この一点のみを繰り返し繰り返し強く念じ、彼女の精神をかろうじて保っていた。
何があろうとも、あいつだけは絶対に殺さなければならない。
―――掛川市のとある工場の来客ロビー―――
来た、あいつが。この糞みたいな工場の中でお兄ちゃんを殺して、まだなお一人あさましく人を虐げて回っているあいつが。殺人者が。私は絶対に復讐する。あいつが一生後悔しても後悔し足りないよう、未来永劫苦しめて殺してやる。
「敏文。私はお前を許さない。お前たちの一族郎党、ことごとく呪い殺してやる。これまで行ってきたことを後悔してやまぬように最大の苦痛を永遠に感じるようにして殺してやる。何度生まれ変わってきても、何度でも何度でも何度でも殺してやる。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます