第25話 決意

『最近、このような痛ましい事件が続きますね、鈴木さん?』


『そうですね、この度重なる爆裂死事件について、警察は様々なケースを念頭に今も調査を続けている模様です。一刻も早く事件の全容が明らかになるとよいですね。以上、連続する凶悪事件犯人の不審死のニュースでした。続いて、天気予報です。酒井さ~ん?』


食堂の天井から下りている50インチ液晶テレビのニュースを、杏と丸尾は見るともなく見ている。オカ研定例会の帰りに見た夕方のニュースであった。ニュースでは女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人から少し日をおいて、障害者施設で大量殺人を犯した者や、連れ子をいたぶって殺害したとされる容疑者など、凶悪犯の爆死事件が起こっていた。初回の現地レポーターの発狂に続き、次の事件でも爆裂死した容疑者の周辺で心身に支障をきたすものが相次ぎ、その結果、報道も厳戒態勢が敷かれ、おいそれとは近づけなくなっているのであった。


「部長、この間の女子高生コンクリート詰め事件の犯人と言い、何だか続くわね。。。」


(なんで、私の周りにはこんな変な男しかいないのかしらね~。。。)


と、丸尾のしおれた茄子のような顔をしげしげと見て、あさってな事を考えながら杏は言った。


「これは私、確信しましたよ!人知を超えたものの仕業でしょ~!!杏さん、ちょっとこれを見てください!!」


「また変なもの探して来たんじゃないでしょうね!?」


と言って、丸尾の提供したスマホを見て、杏はその場に凍りつく。


そこには、死んだ宮野が残したものと同様、永富と植松の死ぬ瞬間の日記やTwitterが記録されていたのだった。


「ちょ、ちょっと、ホントにホントなわけ?これ!?」


「私も、私の持っているあらゆるオカルト網を駆使して調べましたよ~!!正真正銘、死者の更新情報です!!!そしてこれら容疑者には、あっと驚く共通点がっ!!!」


「え、何~?やめてよ~!!?」


――――――――――――――


(敏文、絶対に殺してやる。。。)


そして、同時刻、杏たちの頻繁な励ましの来訪を丁重に断ってしばらく、やはりゴミにまみれ埃だらけになってしまったアパートの真っ暗な自室で杏と同じ夕方のニュースを見ていた凛は、この瞬間、敏文への現実的手段での復讐をやめ、宮野や名だたる悪辣な人殺しを闇に葬った人知を超えた手段で敏文への復讐をする事にした。

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