Another Side Story

 これは、春香がさくら荘にやって来る日の朝のお話。

 さくら荘の住人たちは、春香を迎え入れるために、共有スペースや春香の部屋の掃除をしていた。


薫「ほら、美空ちゃんも早く掃除手伝って!」

美「う~ん……まだ眠い~」

薫「もう10時でしょ」

美「普段ならまだ寝てる時間だもん」

薫「それは普段美空ちゃんが起きるのが遅すぎるだけ。ほら、シャキッとして!」

美「う~。康介だって普段起きるの遅いのに、なんでそんな元気そうなのさ」

康「平日なら仕事してる時間だからね。それに俺は、必要があればちゃんと起きれるの」

健「とか言って、お前だって8時くらいまで愚図ってただろ」

康「愚図ってねーし!あーもう、今ちゃんと起きてるんだからいいだろ!?」

健「はいはい」


 4人は雑談をしながら着々と作業を進めていく。2時間ほどもすると、さくら荘はすっかり綺麗になった。


美「いや~、ずいぶん綺麗になったね~」

康「そりゃあれだけ掃除すればな。もはや大掃除のレベルだったじゃん」

健「新しい人迎えるんだから、当たり前だろ」

康「いや、そうなんだけど……。にしたって、わざわざ家具全部動かすか?」

薫「でも、やっぱり綺麗な方がいいじゃないですか」

健「それに、やるならまとめて全部やった方がいいだろ?」

康「うん、そうなんだけど、そうじゃなくて」

美「まあ要するに、疲れたってことでしょ?私も疲れた~!薫、ご飯にしよ!」

薫「そうだね、ちょうどお昼の時間だし。みんな、何が食べたいですか?」

美「私そうめん食べたい!」

健「この時期に?まだ早くないか?」

薫「というかそもそも、今そうめんのストックないですね。麺だと、うどんとそばとスパゲッティなら」

美「う~ん、でも茹でるのめんどくさいし……カップ麺でいいんじゃん?」

康「めんどくさいって、美空ちゃんはどうせお皿出すくらいしかしないでしょ」

美「しないっていうか、薫がやらせてくれないんだもん」

薫「だって美空ちゃん、麺茹でるのもまともに出来ないから……。前に任せた時の惨事を思い出してみてよ」

健「ああ……」

康「あれは~……凄かったよね、色々と」

美「そんなことは~……あ~、ははははは……」

康「はいはい、素直に認めなさいね。で?どうするよ、昼」

健「別にカップ麺でいいんじゃないか?」

薫「なら、簡単に炒め物だけ作りますね」

美「じゃあ、私お湯沸かす!」

康「無理すんなよ~?」

美「してない!お湯沸かすくらい出来るから!!」

健「ほら、口の前に手を動かせ」


 4人は賑やかに昼ご飯の支度を進めていく。さくら荘がさらに賑やかになるまで、もう少し。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る