第8話 オーディション会場
今日は私の初めてのオーディションだからと、マネージャーが付き添ってくれた。
入ってすぐ、掲示板に入ってあるお知らせ用のメモに目を通す。
今日のオーディションに参加する人の名前と一緒に呼び出しの順番が書かれてあった。
15人中、私の順番は9番目。
けれど、中にはかなり名前の知れ渡っている人もいて、かなり驚いた。
こんなの演技と知名度で勝てっこない。
私が掲示板を前に、わなわなと自信をなくしていると、マネージャーさんが気の利いた言葉をかけてくれた。
「牧野さんはまだ事務所預かり(新人)なんだから、経費が安く済むと言う点で他の人よりも一歩有利なんですよ。あとは、普段通り持ち前の性格を活かして下さい。きっと大丈夫ですから」
事務所預かりというのは、まだ正式な所属ということではない。
だからこそ、払われる給料は低い。
それが実は雇う側にとってはメリットなのだ。
その後事務所に、声優として価値があると見なされれば、正式な事務所所属となる事ができる。
少し、自信が戻ってきた。
1人しか受からないのは最初から分かってたこと。
19人は泣く羽目になる。でも、どっちにしろ良い経験だ。
なるようになれ。
「9番 牧野 夏希さん、入ってください」
心臓が高鳴る。
大丈夫。頑張れ、私。
そう呟いて私はオーディションの部屋へと足を踏み入れた。
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