第18話 引っかかり
晴れた日の午前中の事だった。
マイエンの家へと向かって、イギーとルーナが歩いていた。
「マイエンさんの家ってそろそろよね、イギー」
「ああ。あそこの丘の……お、見えてきた見えてきた」
手には手土産のクッキーの包みを抱えている。もちろんクロ用に材料を調整した物も入っている。
丘の上にマイエンの家が見えてくると、ふー、とイギーは息を吐いた。
「リリの奴、マイエンさんの様子がおかしいって言っていたけど、何だろうなぁ」
「そうねぇ。お泊りの後、リリを送って来てくれた時は、特に変な事はなかったけど……」
「……まぁ言われてみれば、マイエンさんがうちでご飯食べて言った時に、若干変かなって思ったけど」
「そうね……笑い方がちょっと変だったものね」
うーん、と二人は難しい顔になって、考えた。
イギーとルーナは、リリにマイエンの様子を見てきて欲しいと頼まれて、こうしてやって来たのだ。
マイエン宅でのお泊りの後に、星の家に帰ってきて早々、リリはイギーとルーナにマイエンの様子がおかしいと訴えた。
イギーとルーナは半信半疑だったが、その時だけではなく星の家で食事をした時も様子がおかしかったと言われ、思い返してみて確かにと思ったのだ。
「付き合いが長いわけじゃないから、何とも言えねぇけど。何でもなけりゃ、それに越した事ないよな」
「そうね。何でもないといいんだけど」
イギーとルーナは頷きあって、マイエンの家を目指した。
丘を上がったイギーとルーナは、その時ちょうどマイエンの家に、カッツェルと旅芸人の一座の座長が入って行くのが見えた。
「あれ? カッツェルさん?」
「あの人、旅芸人の人だよな?」
確かに旅芸人を呼んだのはカッツェルではあるし、リリが言うにはマイエンはロボットを見せる約束もしていたので、あの組み合わせが不思議でも何でもないのだが。
だが、何故か妙に引っかかる。
イギーとルーナは顔を見合わせると、こっそりと隠れながらマイエンの家の窓の下に隠れて、中の様子をうかがう事にした。
怒られるかなと思いながら、気づかれないようにそっと。
中ではマイエンがカッツェルと座長に紅茶を出している所だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます