19話 ドキッ♪ イチャラブ妹ルーレット③
お兄ちゃんが意識を失うと、私たちはお兄ちゃんから離れる。
ふぅ、これで話に入れるよ。
今日、私が皆さんを呼んだのには理由がある。
勿論、お兄ちゃんと遊びたいというのも嘘ではない。
けど、私はどうしても確かめたかった。
私を含む、
「さて、それじゃあ話しましょう」
私はポンッと手を合わせ、笑顔を向ける。
多分、お兄ちゃんが見たら心配するような、歪な笑顔。
私の言葉に、皆さんは頷く。
「始めに確認しますけど、皆さんはお兄ちゃんのことが好きですよね?」
けど、
ゲーム中に向けている視線から、お兄ちゃんに好意があるのは確定している。
けど、その好意がどこまでのものなのか、私には分からない。
さて、皆さんの反応は──
「「勿論だよ~」」
「まぁ、お前は知ってるだろ」
と、やはり光月と朝日、霞さんはお兄ちゃんのことが好きなようだ。
私は次に、
楓さんは、少し頬を赤らめながら口を開く。
「そ、その……好きです。
ふーん、そうなんですか。
どうやら、楓さんも初恋の人はお兄ちゃんのようだ。
楓さんに続き、
「私も、にぃにのこと好きだよー!」
蓮唯ちゃんは、元気にそう言う。
多分だけど、蓮唯ちゃんも初恋なのだろう。
そして次に、
「……私も、にぃさまのこと、好きです……」
なんと言うか、凉ちゃんは私に似てる気がする。
気のせいでしょうか?
それはさておき。
「わ、私も、お兄ちゃん先輩のこと、好きだよ」
ふむふむ、やはりそうでしたか。最近は昼休み一緒に行ってますもんね。
と思っていると、司音ちゃんは言葉を続ける。
「この前の土曜日、告白したんだけどね。あっさり断られちゃった」
笑いながら、司音ちゃんはとんでもないことを告白してきた。
あれだろう、告白とは〝愛の告白〟のことなんだろう。
まさか、ここまで動きが速いなんて、予想してなかった。
ん? 土曜日に告白したってことは──
私は慌てて魅音ちゃんの方へ視線を向ける。
はやりと言うべきか、魅音ちゃんは茹でダコのように顔を真っ赤にしていた。
「わ、私も、葉雪さんのこと、好き、です……お姉ちゃんと一緒に告白しましたけど、断られました」
やっぱり……
この姉妹は想いですぐに動いてしまうタイプなのだろう。
と言うか、魅音ちゃんは好きだった男子にフラれて、それがショックで引きこもってたのでは?
そんな簡単にお兄ちゃんに惚れていいのでしょうか……
「み、皆さんがお兄ちゃんのことを好きということは分かりました。えぇ、それはもうすっごく分かりました」
まったく、お兄ちゃんはどれだけの人を惚れさせれば気が済むのでしょう。
お兄ちゃんは気付かなかったかもしれませんが、中学校の頃からすごい人気があったんですよ?
気付いたら『葉雪ファンクラブ』なんて組織が作られてましたし。
こんなことに気付けないなんて、やっぱりお兄ちゃんは鈍感です。
「それで、茜さん、私は重大な話がある、と言われましたけど」
楓さんがおずおずとそう言ってくる。
私はそれに答えるように、笑顔を作る。
そうだ、ここからが本番だ。
私は意を決して、口を開く。
「今から皆さんに話すことは、とてもとても重大な話です。なので、他言無用でお願いします」
私は全員が頷くのを確認して、言葉を続ける。
「私は、お兄ちゃんの、私たちによる、お兄ちゃんのためのハーレム、その名も『妹ハーレム』を作ることを、ここに宣言しますっ!」
私がそう言うと、皆それぞれの反応を示す。
でも、反対的な人はいませんね。
「それで茜、具体的なことを話してくれ」
霞さんが、腕を組ながらそう言う。
霞さんには、お兄ちゃんの〝妹〟になろうと誘ったし、霞さんはそれを承けた。
そのためか、こうなることが想像できていたのか、とても落ち着いている。
他の皆さんも、『妹ハーレム』の内容が気になるのか、期待の眼差しを向けてくる。
「そうですね、具体的なことと言っても、特にすることはありません」
そう言うと、皆は首を傾げる。
「まず、『妹ハーレム』に入る条件を話しましょうか。
条件その一、お兄ちゃんの妹であること。
条件その二、お兄ちゃんのことが心の底から好きであること。
この二つが当てはまる人は、『妹ハーレム』に入ることができます」
まぁ、ここにいる人は全員当てはまりますけどね。
私は一呼吸置き、言葉を続ける。
「そして、主な活動ですが、お兄ちゃんとイチャイチャする、これだけです」
そう、なにを隠そうこの『妹ハーレム』とは、お兄ちゃんと合法的にイチャイチャするだけのものです。
いえ、イチャイチャするだけなのに合法・非合法なんてありませんけどね。
け、結婚となると話は変わってきますが、まぁ、そこは楓さんに頼んで──おっと、これはまだ内緒でした。
「その、あかねぇさま、にぃさまとイチャイチャするって、どんなことをするんですか?」
興味があるのか、凉ちゃんが訊ねてくる。
私は笑顔でその質問に答える。
「そうですね、楽しく話したり、一緒に運動や勉強等もしたり、遊んだり──アッチ系の遊びもしたり、ですね」
私の言っていることが理解できたのか、皆さん顔を真っ赤にして俯いてしまいました。
さて、皆さんはどんなプレイを妄想してるのでしょうか。
特に光月と凉ちゃんが気になります。
光月はよく妄想してますから、バリエーションが豊かなのでしょうか?
凉ちゃんは、私と似たプレイが好きなのでしょうか? 先程、私と近いモノを感じましたけど。
と考えていると、お兄ちゃんが唸り声を上げる。
どうやら、そろそろお目覚めの時間のようです。
「それでは、この話はまた別の機会に」
私はそう言い、話を締めた。
◇妹◇
「ん、んあぁ……?」
目が覚めたら、茜たちが俺の目の前で座っていた。
なんだろう、さっきまで話でもしてたのかな?
そう思っていると、茜が四つん這いで近寄ってくる。
そのせいで、茜の胸がチラチラ見えるのだが、言わなくていいだろう。多分、わざとだろうし。
「お兄ちゃん、やっとお目覚めですね。ては続きをしましょうか♪」
あぁ、最っ高にいい笑顔してやがるぜ……
気付けば、茜以外の皆も俺に近付いていた。
……四つん這いで。
いやね、なんかシュールな光景になっちゃってるんですよ。
そんな軽口叩けるのも今のうちだけでした。
なにがあったのかと言うと、もう皆に揉みくちゃにされた。
もう、色んなところに妹たちのアレとかが当たって……
よく抑えれたよな、ナニがとは言わないが。
てか、本当に一時間もしやがったよ。
俺がなにかしてたわけでもないのに、すんごい疲れた。
「さぁ、お兄ちゃん、次のお題ですよ♪」
茜は恍惚とした表情でそう言う。
俺はため息を呑み込み、カードを引く。
「なになに──『妹に特性ジュースを飲ませる』──茜、この〝特性ジュース〟ってなんだ?」
そう訊ねると、茜はニヤリと笑う。
「それはですね、私が用意したジュースです」
そう言い、茜は冷蔵庫に向かった。
そして、缶ジュース程の大きさの容器を取り出し、こちらに戻ってくる。
「これです」
そう言い、茜は俺に容器を渡す。
「……変なモノは入ってないよな?」
そう訊くと、茜は微笑み答える。
「いえ、特に変なモノは入れてません」
ならいいんだが。
俺は若干不安を抱きながらも、ルーレットを回す。
針が指したのは、蓮唯ちゃんだった。
「それじゃあ、蓮唯ちゃん、いくよ」
「うん。どんな味なんだろうなぁ」
蓮唯ちゃんはこの特性ジュースの味が楽しみなようだ。
俺は蓮唯ちゃんの口にジュースを流し入れる。
蓮唯ちゃんは流れてくるジュースをゴクゴクと飲み、すぐに容器は空になってしまった。
「蓮唯ちゃん、大丈夫?」
中身が分からず、俺は不安から蓮唯ちゃんに訊ねる。
「……」
だが、蓮唯ちゃんは頬を赤くするだけで、なにも答えない。
「蓮唯ちゃん……?」
俺は何度か名前を呼ぶが、蓮唯ちゃんが答えることはない。
絶対このジュース変なモノ入ってたんじゃん……
俺は空になった容器を見つめ、そう思った。
少しして、蓮唯ちゃんがゆっくりと動き出す。
「蓮唯ちゃん?」
やっぱり俺の呼び声に答えない。
本気で心配していると、突然蓮唯ちゃんが抱き付いてきた。
「うわっ!」
俺は驚きながらも、蓮唯ちゃんの体を支える。
「蓮唯ちゃん?」
もう一度名前を呼ぶと、蓮唯ちゃんは顔を上げる。
向けられる瞳は潤んでいて、頬は紅潮している。
まるで、茜が発情したときのように──
まさかっ!
俺は慌てて茜に目を向ける。
「茜っ! お前まさかっ!?」
茜はなにも口にせず、ただニヤリと笑うだけだ。
だが、それだけで分かる。
やっぱりかぁ……
茜がこのジュースに〝ナニ〟を入れたのかは分かった。正直分かりたくもなかったけど。
つまり、今の蓮唯ちゃんは発情した状態ということだ。
いや、それ危ないよね? 特に俺が。
「にぃに……」
突然、蓮唯ちゃんが口を開いた。
「ど、どうした?」
俺はなるべく平然を装って、蓮唯に訊ねる。
「なんかね、体が熱いの……それに、にぃにと──」
俺は蓮唯ちゃんがその先を言わないように、手で口を塞いだ。
「んっ! んむっ!」
蓮唯ちゃんは、俺の手を退けようと必死に藻掻く。
そして、なんと蓮唯ちゃんは俺の手のひらを舐めてきた。
「うわっ!」
俺は驚き、手を離す。
瞬間、蓮唯ちゃんは俺の口を塞いだ。唇で。
「んんっ!」
「んちゅっ」
と、何故か皆に蓮唯ちゃんとのキスを見せることに。
蓮唯ちゃんを退けなければっ!
俺はなんとか蓮唯ちゃんを引き剥がし、前に座らせる。
それから十分程が経ち、蓮唯ちゃんは落ち着きを取り戻した。
◇妹◇
「そろそろ時間ですし、次が最後ですね」
窓の外を見て、茜がそう言う。
茜色の光がリビングに射し込んでいた。
「そうだな。これでこのゲームも終わりか」
俺はそう呟き、カードを引く。
「……………………………………………………」
俺はお題の内容を読み、絶句した。
そして、素早くカードの山に戻す。
「どうしたんですか、お兄ちゃん」
茜は不思議そうに訊ねてくる。
いや、ね? このお題はやっちゃいけないと思うんだ。
「いや、もう終わろうかっ!」
パンッ、と手を叩き、俺はそう言う。
「なに言ってるんですか。このお題が最後なんですから、早くやってくださいよ」
そう言い、先程俺が引いたカードを茜は取る。
「いやっ、そのお題はっ!」
俺は茜からカードを奪おうと手を伸ばすが、ギリギリのところで届かなかった。
「んん~? なになに──『妹全員とキス』──ふふっ、最後にこれを引くとは、流石ですねお兄ちゃん♪」
茜はお題を読み、小悪魔的な笑みを浮かべる。
あぁ、もうこれやらなきゃダメなやつじゃん……
「それでは、順番は魅音ちゃん、司音ちゃん、霞さん、凉ちゃん、蓮唯ちゃん、楓さん、朝日、光月、私でいいですね?」
茜は皆に訊ねる。
皆は頷き、茜はそれを確認してこちらを見る。
「さぁ、お兄ちゃん、最後のお題ですよっ♪」
「くっそ、分かったよ、やればいいんだろ、やればっ!」
俺は半ばヤケクソになり承諾する。
「そ、それじゃあ、お願いします。葉雪さん……」
魅音ちゃんは畏まってそう言う。
て言うか、今更ながら魅音ちゃんって小学生なんだよな。小学生のファーストキスを貰っちゃっていいのかな……
と思ったが、魅音ちゃんはそれでいいとのこと。覚悟が決まってるなら、まぁ仕方ないかな。
魅音は目を閉じ、じっと俺を待つ。
俺はそれに応えるように、魅音ちゃんの唇に軽くキスをした。
「んっ」
魅音ちゃんは声を漏らし、そして恥ずかしそうにはにかむ。
「えへへっ、私のファーストキス、葉雪さんに奪われてしまいました♪」
頬を押さえ、嬉しそうにする魅音ちゃんを見てると、なんだかこっちも嬉しくなる。
……これでいいのかなぁ。
「次は私ですねっ!」
司音ちゃんは、魅音ちゃんと対照的に照れる様子は全くない。
なんと言うか、司音ちゃんって色々積極的だよなぁ。
そう思いながらも、俺は司音ちゃんの唇にキスをする。
「んむっ」
「はい、これでいいだろ」
俺がそう言うと、司音ちゃんはニヤニヤと笑う。
「これからは毎日一回はしてほしいですねぇ~♪」
「調子に乗るな」
俺はそう言い、司音ちゃんの頭を軽く叩く。
「あふんっ♪」
まぁ、効き目はゼロだろう。寧ろ喜んでるし。
「さぁ、次は私だな」
かすみんはぶっきら棒にそう言う。
まぁ、頬が緩んでるから、嬉しいんだろうけど。
「なぁ、葉雪。私は大人だから、〝大人のキス〟をしてもいいんだぞ?」
かすみんは小悪魔的な笑みを浮かべ、そう言ってくる。
「……それはまたの機会に」
そう答え、俺はかすみんの唇に軽くキスをする。
「んっ……ふふっ、いいものだな」
かすみんは恍惚とした笑みを浮かべた。
「わ、私、ですか……」
凉ちゃんは、緊張したような表情でそう言う。
いやね、君は俺の誕生日にすごいことしてたでしょ。
と突っ込みたかったが、その時と今では状況が違う。だからなのだろう。
それなら、早く終わらせてあげよう。
俺は、凉ちゃんの唇に軽くキスをする。
「ふみゅっ」
……凉ちゃんはよく、分からない声を上げるな。
「あ、ありがとう、ございますっ」
凉ちゃんは顔を真っ赤に染めながら頭を下げた。
「次は私だねっ!」
先程のことなど無かったかのように、蓮唯ちゃんはそう言う。
「よろしくねっ」
いや、それは俺の勘違いのようだった。
蓮唯ちゃんは、とてもソワソワしている。
はやり、先程のことが恥ずかしいのだろう。
「それじゃあ」
俺はそう言うと、蓮唯ちゃんの唇にキスをした。
「んっ……あははっ、なんだか、体が火照ってきちゃった……」
そう言い、蓮唯ちゃんは服をはだけさせる。
が、すぐに茜と楓ちゃんに引っ張られていった。
「そ、それでは、私の番ですね」
こほん、とわざとらしい咳をして、楓ちゃんはそう言う。
「そ、そう言えば、あの時私だけちゃんと唇にキスしてなかったんですね」
「そ、そうだな……」
そう言えば、あの時は楓ちゃんが不意打ちでしてきたから、ちゃんとしたキスをしてなかったかもしれない。
「えっと、私の初めて、奪ってください。葉雪にぃさん」
楓ちゃんは頬を赤らめながらそう言う。
俺は頷き、楓ちゃんの唇にキスをした。
「んぅっ……これは、恥ずかしいですねっ」
楓ちゃんはそう言うと、スタスタと離れていった。
「うぅっ、またおにぃとキスできるんだね……っ!」
朝日は嬉しそうにそう言う。
実妹なのに──とは言わない。だって茜と色々しちゃってるもん。
いや、開き直ったわけじゃない。ただ、今更キスをどうだこうだいうことはないってことだ。
俺は、朝日の唇に軽くキスをする。
「んっ……えへへ、おにぃからしてくれるなんて、嬉しいなぁ」
そう言い笑う朝日は、いつもより可愛く思えた。
「おにぃ……ちょーだい」
光月はそう言い、目を閉じる。
いきなりかぁ。まぁ、早く終わらせたいから好都合だけど。
早く終わらせたい理由は、察してくれ。
俺は光月の唇に、軽くキスをする。
「んんっ………………当分はオカズ無しで……」
光月が言ってることは聞き取れなかったが、まぁ喜んでるんだろう。
「さぁ! 待ちに待った私ですよっ♪」
「いや、そんな待ったなら、先にすればいいだろ」
そう言うと、茜は「分かってませんねぇ」と言う。
「この焦らされる感じが良いんじゃないですかっ! あぁ、すごい興奮しますっ♪」
ダメだ、こいつはもう立派な変態だ。
「それじゃあ、お願いしますねっ♪」
俺は「あぁ」と返し、茜の唇にキスをした。
茜が舌をいれようとしたので、すぐに離したが。
「むぅ、いつもはしてくれるのに……まぁ、キスができたので良しとしましょう♪」
どうやら、お気に召したようだ。
「それではお兄ちゃん先輩、さようなら」
「また、遊びに来ますね」
「葉雪、イチャイチャするのもいいが、勉強もしろよ?」
と、三人は次々にそう言う。
正直、かすみんの物言いには反論したいが、全員とキスした後だとなにも言い返せない。
ちくしょう。
「あぁ、今日は楽しかったよ」
内心、なにがだよっ! と突っ込みを入れた。自分に。
俺は三人を送り、家に入った。
あぁ、今日は疲れた。
でも、皆とイチャイチャできて嬉しかったのは内緒だ。
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