~銀世界の再会~・おまけスキット
~ザッハとの思い出~
オグマ「ザッハ……」
イシェルナ「ねぇ、ザッハさんのこと、もっと話して。もしかしたらザッハさんも王様みたいに何かのきっかけで戻れるかもしれないし、そのためにはいろいろ知らなきゃでしょ?」
オグマ「そうだな……えーと……」
イシェルナ「たとえば何が好きだったとか」
オグマ「好きなもの……魔学研究一辺倒だったからな、ザッハは。あとは姉の話もよくしていた」
イシェルナ「お姉さん……ミレニアちゃんのお母さんね」
オグマ「それから本の貸し借りもよくしたな……読むのが早いのに、内容をよく覚えていて驚いた」
イシェルナ「今のザッハさん、その好きなもの全部から離れてしまっているのよね……」
オグマ「ああ……本当に、彼が彼じゃなくなっているみたいだ」
イシェルナ「そういうのって、悲しいわね」
オグマ「だから止めたい。私のこの手で、彼を……そして、出来ることなら昔のような笑顔に戻って欲しい」
イシェルナ「友達思いなのね」
オグマ「……あ」
イシェルナ「え?」
オグマ「騎士団を離れる時に一冊だけ借りっぱなしの本があったのを思い出した……悪いことをしたな、覚えているだろうか」
イシェルナ「じゃ、それもきちんと返さなきゃね」
オグマ「ああ」
~もの作りへの興味~
イシェルナ「オグマはガトーおじさまのところに通い詰めていたのよね?」
オグマ「最初は通りすがりに工房が見えて、覗き見してしまったんだ。そうしたらまるで魔法みたいに、綺麗で繊細な作品を作り上げるところを見たから……」
イシェルナ「心が動かされた、と」
オグマ「仕上げの工程は本当に命を吹き込んでいるようで……気付いたら夢中で見ていた」
イシェルナ「なんてやっていたらおじさまに見つかっちゃったのね」
オグマ「そんな所で突っ立っていないでこっちに来いと、すごい形相で睨まれて怒られるのかと思ったよ」
イシェルナ「おじさまも損するわよねーいろいろと」
オグマ「ふふ、そうだな」
~両手に……~
イシェルナ「うふふ、正統派二枚目騎士の色男さんと憂いを帯びた美形のオグマ……華やかになったわねぇ♪」
オグマ「えっ、いや、その」
トランシュ「そのままオグマさんには騎士団に華を添えて貰いたいところですね」
イシェルナ「あら、また勧誘?」
トランシュ「こんな状況だからね、こっちも人手が欲しいんだ」
オグマ「しかし私は……」
トランシュ「今ならよく切れる包丁に一瞬で切れ味が戻る砥ぎ石もつけます!」
イシェルナ「あら、いいわね」
トランシュ「そしてさらに同じ物がもう一本!」
オグマ「えっ」
トランシュ「包丁はいりませんか?だったら果物ナイフの方がいいですか?」
オグマ「あの、その……」
トランシュ「安心してください、送料は騎士団が負担しますから!」
オグマ「そ、そういう問題では……」
イシェルナ「やっぱりオグマじゃツッコミが弱いわねぇ」
オグマ「……いったいなんの話なんだ」
~大精霊の声~
オグマ「氷晶の迷宮に入った時に特に強く感じた気配……あれは大精霊のものだったのか」
トランシュ「大精霊といえば精霊を統べる王、そんなものが人間の前に現れるなんて……」
イシェルナ「氷の術が得意だから、ってだけじゃないわよねぇ」
オグマ「よく、わからない……ただ、なんとなく今までとは少し違う感覚が、己の中に満ちているみたいだ」
イシェルナ「前々から思っていたけど、オグマって敏感よね」
トランシュ「いろいろ感じやすい、と?」
オグマ「右腕を失ってから精霊の力を借りてばかりだったし、そういうものに触れる機会は他より多いのかもしれないが……」
イシェルナ「だから精霊がより近しいのかもしれないわね」
トランシュ「そこはオグマさんならでは、といったところですか」
オグマ「なんだか不思議な感じだな……」
~ごちそうさま~
トランシュ「こちらでのことは終わったし、早く王都に帰ってフローレットの顔が見たいな」
イシェルナ「あらあら、アツいのね」
トランシュ「もう随分会えていないんだ、話したいことが沢山あるよ」
オグマ「彼女もきっと待ちわびているだろうな」
トランシュ「北大陸と東大陸のお土産も買ってあるし……」
イシェルナ「どれどれ……って、ペナント!?」
トランシュ「その地に行ってきたって実感が強いでしょう?」
オグマ「でかでかと地名が書いてあるペナント……むしろよく見つけたな、こんなの」
トランシュ「あと神子姫フィギュアも……レファイナさんのフィギュアは特に人気が高くて入手に苦労しました」
イシェルナ「そ、それはやめときなさい?」
トランシュ「じゃあこっちの魔除けのお面と木刀と……」
オグマ「すごいセンスだな……」
トランシュ「いやぁ、それほどでもありませんよ」
イシェルナ「素なのね……これで素なのねこの人……」
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